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第2話 異界の神と怪しい光

お気に入り登録をもうして下さった方、本当に有難う御座います! もっと喜んで頂ける様に精一杯書きますので宜しくお願いしますね!
















『起きてくれないかな?そろそろ事情を説明したいんだけど…」


声が聞こえて目を開けるとそこには、地球の神様の着ていた服に似た真っ白の服を着た金の髪の青年が立っていた。

地球の神と同じで、陽炎の様に薄ぼんやりとして霞んで見える。


「う…ここは…?」


目を擦りながら上半身だけ起すと先程の場所と違い、周りが薄く青に見えるこの場所が何処なのかが気になって呟いた。


『ここは、バルトエント。君の居た地球とは違う世界…かな?』


「異世界…本当に来ちゃったんだ…貴方は?」


『私はこの世界の神と呼ばれる存在。君達の世界では神様を色々信仰してたみたいだけど、大概の世界には神様は数人しか居ないんだ。君が会った神は恐らく君のいた世界で一番信仰されている神なのだろうね』


少し低めのバリトンで響く声は何重かにぼやけて聞こえる。

しかし聞いていてどこか落ち着くような気がするのだから不思議な物である。


「貴方はこの世界で一番信仰されてるの?」


『そうだよ。信仰が強いほど力も強いんだ。他の神は異世界と干渉する程は力が強くないんだ。と、言っても。私は今回のトレードが初めてな程、若い新しい神だけど』


「じゃ、貴方が私を交換したの?」


『そうだよ。幾つかの候補を君の世界の神から出して貰ったんだ。近い内に亡くなる運命とこの世界に最も利益となる力を持つ存在をね』


「利益?私何にも特別な事出来ないよ?勉強も大した事ないしスポーツは…まぁ得意だけど」


『違うよ。僕の世界には君の世界には無い物があるんだ』


「私の世界に無い物?」


『そう、具体的に言うと…魔法や龍なんかが代表的かな?』


「…は?」


神様の言った事が理解出来ず、口をポカンと開けて聞き返した。

神様は何事も無かったかのように話し始める。


『君にはそちらの世界…いや、こちらの世界においても他の人にはない可能性が秘められているんだ。それは、君の世界では役に立たない物だったかもしれないし、向こうの世界ではもしかしたら強すぎるから神に封印されていたかもしれない…けどこちらの世界では多くの事が可能になる』


「可能性…」


前の世界では運動神経がいい事以外特に得意な事が無かった私に多くの可能性がある?

周りの人の役に立つ事をする事も、困った時に解決出来る様な力があるのかもしれない。


『そう言う事だから。君には僕の世界で自由に暮らして欲しい』


「え?自由に暮らしていいの?」


『勿論だよ』


「何もしなくていいの?」


『有りの侭の君でいいんだよ。君の存在は僕の世界を大きく動かす』


「?」


『じゃあ、違う世界で君の思うが侭の人生を歩んで欲しい。もう会う事は無いだろうけど、君の幸せを願っているよ』


そう言った、神様の顔が歪んで先程と同じ様に今度は淡い青が視界を埋め尽くし意識は闇の中に吸い込まれていった。





















「う~ん…ここは?」


目が覚めると、そこは鬱蒼とした森の中だった。

周囲は夜の闇の中で真っ暗。

でも、空は今まで見た事の無いほど澄んだ満天の星空だった。


「あれ…何だろう?」


ふと、空から目線を下げるとフワフワと翠の蛍みたいな小さな光りが飛んで来る所だった。


「蛍…ううん、それにしては大き過ぎるし…火の玉?でも、火の玉が翠って言うのも聞かないしなぁ…何なんだろ?」


暫らく考えていると何時の間にかその光は目の前にフワフワと浮いていた。

その淡い光は、暗い森の中をぼんやりと照らし、真っ暗の中で自覚していなかった心細さを拭い取ってくれた。

気が付けば、何気なくその光に手を伸ばしていた。

その光に指先が触れると、指先を微風が通り過ぎた様に感じた。

「涼しくて、気持ち良い…」


夜の森はジメジメとしていてひんやりとしてはいたが、この光に触れた時に感じたのは、爽やかな涼しさで、心の中がすっと晴れ渡る様なそんな不思議な風だった。

ゆっくりと手を離すと、その光はもと来た道をゆっくりとまた進み出した。


「あ、待って!」


ハッとして、その光を追いかけようとカバンを肩に掛け直して小走りに走り出すと、その光は待っていたかの様に少し離れた所で空中をフワフワと浮いていた。

後に付いて、導かれる様にその光を追いかけて行った。















光を追いかけて走る事数分、光は決して追いつけない、でも引き離す程でもないスピードで先を進み続けている。


「この光…私をどこかに連れて行こうとしてる?」


そう思った時、光は草叢の中を通って先に行ってしまったので、それを追って草叢の中に飛び込んだ。


「っ…イテテ…」


草叢を通り抜けたと思った時、突然壁にぶつかったみたいに何かに顔から衝突し、尻餅をついた。

ぶつかった物を確認しようと顔を上げるとそこには、黒い髪に黒い瞳のワイルドな見た目の男の人が立っていた。

どうやらこの男の人に顔から激突したようだ。

私を眺める様に見下ろす眼は鋭く、少し冷たい印象を受けたが不思議と怖いとは思わなかった。


「あの…」


声を掛けるとその人は、徐に着ていたマントを脱いで私の方に投げてきた。

太腿の上に投げ渡されたそれを手で持ち上げ眺めていると男の人は抑揚の無い声で言った。


「着ていろ」


「え、でも…」


「夜の森は冷える。寒いと感じなくとも後で体に影響が出る事が多い。それに…」


「それに?」


それに…と言って黙ってしまった男の人に聞き返したが、何も答えてくれなかった。

それどころか、目線を外してそっぽを向くような態度をとる。



「ありがとう」


それでも自分の事を気に掛けてくれている事には変わりないかと思い直して一応礼を言うと、マントを頭から被って体に巻き付けた。

流石に男の人が着ていただけあって少し大きかったが、引き摺らない様に気を付ければ大丈夫そうだった。

マントを包まる様に着て、立ち上がるとその男の人は私を疑う様な目を向けていた。


「こんな森の奥で何をしていた?」


「えっと…あの…気が付いたら森の中にいて…あ」


その時、自分はあの翠の光を追っていた事を思い出し、周りをキョロキョロと探した。

すると、それは直ぐに見つかった。

光は、男の人の周りをグルグル回って私の方に飛んで来たので手を出すとまた指先を風が通り過ぎて光は男の人の肩の上に戻ってフワフワと浮んでいる。


「あはは…」


何だか楽しくなって小さく笑うと男の人に聞いた。


「この翠の光は何なんですか?」


「光?」


怪訝そうに眉間に皴を寄せて男の人が聞いてくる。


「その肩の上をフワフワ浮いている光です」


「…お前は、これが見えるのか?」


そう言って親指で光を示すので頷いた。


「何なんですか?その光、触ると涼しくて気持ち良いんです。それに、私をここに連れて来てくれた」


「コイツは俺の…守護精霊だ」
















次回をお楽しみに!

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