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第11話 実戦型戦闘学

長い間お待たせして申し訳ありませんでした。


祝1万アクセス突破!!


内容を改正、更に少し話を付け加えました。









あれから数日…とりあえず剣を手に入れた私は毎日ロイに貰ったお手入れセット(剣を買った翌日にプレゼントと称して渡された)で剣を磨いていた。

今日は初めての実戦型戦闘学の授業がある。


実戦型戦闘学とは卒業後、主に傭兵や冒険者ギルド、騎士、要人警護etc...戦闘する職業に就く可能性がほぼ100%、かつ殆どが有名人になるなど人気の科目で、私はこれもSランク特待生枠での受講になる。

この科目ではあらゆる情況に対応出来る様に様々な演習を行う事で、卒業後有名な戦士や騎士になる可能性もほぼ100%に保っている。

しかし、当然それだけ厳しい訳で卒業までに辞める人数は多い時には全体の九割にも上る。

…と言うのは、ミルの説明で、今朝食堂で朝食を摂っている時に教えて貰った。

因みに過去最高の全体30人の受講者の時には二人しか残らなかったとかで、その年から新任の先生に代わって今も同じ先生がこの学院で教えているそうだ。

さらに、その危険さと過酷さから月に二回ほどしか行われないので今回が初めてとなったのです。


前回の授業で10人いた生徒は9人になったそうだが私が入った事で再び10人に戻ったと言う事です。

今日何をするのか、詳しくは聞いてないので分からないが、今、学院北側の森の入り口(セドラスに会ったあの森)で待っていた。

時間までに半数の人とは自己紹介をしたが残りの半数は、こちらを睨み付けて来て挨拶どころはなさそうだ。


「お~、お前ら揃ってるなぁ~?」


間延びした感じで学院側からゆったりと歩いてくる男性は紅いウルフカットで戦士のように棘の付いた肩当を着け、背には重そうな大剣を担いでいた。


「よ~し、今日は、この森で実戦演習だ!前回と同じ様に俺も森の中をうろついてるから気を付ける様にな~」


楽しそうに言う先生の笑顔は少し歪んで見えたが、その言葉を聞いた生徒、特に私の方を睨んでいた生徒達はサッと先生の前に縦列して並んだ。

不思議に思いながら、その後ろに並ぶと順番が来るのを待った。


「よし、次~お!お前さんか学院始まって以来の天才編入生ってのは?」


「天才なんて者ではないです…マミ=オウカインです。よろしくお願いします!」


「おう、礼儀がなってる奴は好きだぜ?あいつらは礼儀がなってねぇからちょっと灸を据えてやったら静かになりやがった」


ハッハッハッと笑う先生は楽しそうだ。


「ま、俺はバズ先生とでも呼んでくれ。さて、まずはお前さんの武器を武器を出してくれ」


そう言われたので、言う通りに腰に付けてた剣を抜いて先生に見せた。


「ほー…中々の業物だ。手入れも行き届いている。ちょっと貸してくれるか?」


剣を渡すと先生は指先で剣身を軽く弾くと周囲に澄んだ綺麗な音が響いた。


「いい剣だ。響きが澄んでいる。相当な高名な鍛冶師が作ったんだろうな」


自分の物が褒められると中々に嬉しいものだ。


「よっと」


掛け声と同時にスッと撫でた剣身に土色の光が吸い込まれていった。


(今のは…地の精霊?)


「この剣に精霊魔法を掛けた。致死的なダメージを与えられないように制限を掛ける魔法だ。さすがに学院内で死者を出す訳にはいかんからな。後これも付けてくれ」


返された剣と一緒に手渡されたのは、質素なシルバーに紅い石の付いた腕輪で、黙って言われた通り腕に付けた。


「この腕輪には幾つか魔法が掛けられていてな。所謂魔具って奴なんだが一定以上体力を失う、もしくは傷を負うと強制転移される」


「どこにですか?」


「勿論ここだ。今から森の中で生徒&俺、全員でバトルロワイヤルを行う。傷も体力も戻った段階で完全に回復する様になっているから安心しろ。活躍次第では、授業の無い日に特別講習を開いてやる。他の奴には教えない事も教える」


「それは頑張らないとですね!」


「おぅ、頑張れ!因みに前回の特別講習は無しだった。俺の認めた奴だけに行うからな。後は実戦の中で見につけろ。魔法も使っていいぞ。その腕輪には魔法の威力制御もついている」


「はい!」


返事を返すと先生は満足そうに笑うと声を張って言った。


「よし、そろそろ始めるぞ。お前ら、健闘を祈る!」


その瞬間、目の前の光景が森の中に変わった。


「…え?」














気が付けば森の中にいて、しばらく呆然としていたけど、ハッとして演習中だったのを思い出した。


「えっと…まずは状況確認しないとね…」


近場にあった木に手を掛けて一気に登ると、その木の一番上に立って周りを見渡した。


「あたりは木・木・木…見渡す限り森って…どこまで広いの!?」


辛うじて地平線の先の方に学院らしき影が見える。


はぁ…っと溜め息を吐くと、数百メートル離れた所で爆発音が聞こえた。

その音の方を見ると辺りの木々が吹き飛び土煙が上がっている。


「あれ、先生かな?」


直撃したら一撃でゲームオーバーになりそうな破壊力を目にして背筋に悪寒が走った。

すると、離れた所で立て続けに二度爆発が起こった。

同じ様に土煙が上がり、木々が倒れていくのを目にして更に寒気がする。


「あの距離を一瞬で移動って…速過ぎない?車でも無理だよ…」


いや、もしかしたら先生以外の生徒の仕業の可能性が無いとは言えないけど、恐らく先生で間違いないだろうと思う。

再び同時に離れた所で同時に六ヶ所、爆発が起きた。


「えっと…受講者が10人で先生を合わせて11人、そこから私と先生を抜いた数が9人で…最初に一ヶ所、次に二ヶ所、最後に六ヶ所だから…え、もしかして最後って私!?」


指折り数えながらそう呟くと、突然背後に悪寒を感じて木から飛び降りた。


「正解だ!!」


その瞬間、さっきまで立っていた大木が真っ二つに切り倒されて周りの木々を薙ぎ倒しながら大木が倒れ地面から巨大な砂煙が上がった。



その頃、バズにボコボコにされた生徒達は森の入り口へと強制転移されて戻って来ていた。


「はぁ、相変わらず容赦ねぇな」


一人の男子生徒がぼやく様に零した台詞に周りの生徒も同意を示すように溜め息を吐く。

周囲の生徒達の中には顔が青褪めている者が大半で一撃の下に撃沈し、次の瞬間には強制転移して身体は回復するとは言え、その感覚は残っている。

自分の体が真っ二つになり一瞬感じた激痛を思い出して気分が悪くなり蹲る者もいる。


「あの化け者に勝てる奴なんて早々いないだろ?」


「そりゃ、そうだよな」


「そういや、あの転入生は?」


「先生も帰ってないよ?」


「大方、隠れて見つけるのに手間取ってるんだろ」


ははは…と笑う男子生徒に、周りで見る生徒は各々自分達の話に戻っていく。

その頃森の中では何が起こっているかも知らずに…






着地して直ぐに近くの木の後ろに隠れて様子を窺うと、先生が地面に大剣を叩きつけた状態から立ち上がる所だった。


「流石天才、今年で最初に俺の攻撃を避けたか…」


その後姿はまさに畏怖の対象、鬼の様だ。

恐ろしい事この上ない。

ゆっくりと後ろを振り向いた先生を見た時、嫌な予感がして横に転がる様にしてその場を離れた。


「はあぁ!!」


それと同時に先生の大剣が地面に振り下ろされ、地面の岩や草、木々を吹き飛ばしながら衝撃波が隠れていた木と共に、数十メートル後ろまで一気に吹き飛ばした。


「私、こっちに来て反射神経や運動神経以外にも第六感まで強化されちゃってるのか…」


呆然と吞気にそんな事を呟きながら剣をゆっくりと抜くと、構えて、次の攻撃に備えた。

一瞬で目前に距離を詰めた先生は私に向かって蹴りを放った。

一瞬反応に遅れた私は腕で受け止めながらも数メートル吹き飛ばされる。


「くっ…なんて馬鹿力…っ!」


ふと目を遣ると、私に向かって横薙ぎに剣を振るって来たので剣を受け止めようとしたが、剣同士が触れ合った時。


「ダメだ!」


咄嗟に剣を斜めにして受け流すと後ろに飛び退いて構えた。


「ファイアボール!」


魔力を抑える魔具を二個も付けているにも拘らず、他の生徒に比べて圧倒的な破壊力の初級火球呪文を先生に向けて放つ。

直撃と同時に爆発し、周囲に爆炎が散る。


「やった…!?」


爆炎の中心には大剣の剣身をこちらに向けて立っている先生がいた。

どうやら大剣の腹で受け止めたらしい。


「嘘だぁ!?」


「いいぞ、いいぞ、いいぞ!!マミ=オウカイン!初回の戦闘でここまで俺を楽しませた者はいなかった!」


大剣を一振りして周囲の炎を吹き飛ばすと、ニヤリと笑って走ってくる。

先程までの瞬間移動の様な一瞬の動きではなく目に見える。

しかし、人間かどうか疑うほどの速度でこちらに向かって走ってくる。

目前に迫った先生が足元を薙ぎ払う様に剣を振るうのを見てジャンプして避けると、先生の肩に剣を振り下ろした。

その剣を肩をずらして避けながら遠心力を利用してそのまま回転斬りを繰り出してくるのをしゃがんで避け、顔に向かって突きを二度三度繰り返す。

首を反らすだけの簡単な動作で避けながら、深く突き出した剣をガシリと掴む。


「な…っ!?」


「捕まえた」


剣を鷲掴んだ先生の手からは血が噴出し、笑いながら片手で大剣を振り下ろしてくる。

それを剣を放して避けると距離をとった。


「武器を捨てて勝てるとでも思ったか?天才でも身の危険を前にするとそこまで頭は回らんらしい…にしても珍しい構えだな?」


両足を前後に開き、斜めに構える。

前の世界では柔道を十年ほど習っていたので体術には少し自信がある。

しかし、この先生の事だから。熟練した腕でない私の腕前では歯が立たないだろう。


「決めるなら一発目で勝負!」


片手で大剣を握っている今なら勝機はある!

先生に向かって全力で走り寄ると先生が片手で大剣を振り下ろして来たのを咄嗟に避けると大剣は地面に刺さる。

そのままで正面から突っ込もうとすると、先生は握っていた私の剣を捨てて、血に塗れた手で私の首に向かって手を伸ばしてくる。


「今だ!…せぇいっ!!」


向かってくる先生に一歩、思いっ切り踏み込むと

伸びてきた腕を掴みそのままの勢いで地面に叩きつけた。


「…っ」


先生は無言で、目をパチパチとさせた。

掴んでいた腕を放して倒れた先生を見下ろしながら息を整える。


「ハッハッハッハッ!!」


「?」


「負けだ、負けだ。今回は俺の負けだ!」


先生は地面に横たわった状態で血に濡れてない方の手で目を覆って尋ねて来た。


「最後の技…名前はあるのか?」


「え?一本背負い、背負い投げ?」


「背負い投げ…ハハ面白い技だ」


よっと声をつけて立ち上がるとその伸長差から私の事を見下ろしながら、先生は私の肩に手を置いた。


「さてと、帰るか?」


「…はい」


すると次の瞬間には、元いた森の入り口に立っていた。

自分の身体を一通り見て、怪我をした所を確認する。

先生に蹴り飛ばされた傷も使い果たした体力も全て無かったかのようだ。


「よし、お前ら今回の成績を発表する。今日の勝者は俺…ではなくて。編入生のマミ=オウカインだ!」


因みに、特別講習はマミだけに行うからな~と言った先生の言葉を聞いている者はおらず。

生徒達は呆然と謎の編入生を見詰めるのだった…














復帰早々頑張り過ぎた感があります。

ちょっとこのペースは持ちそうにありません。

次回もよろしくお願い致します!

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