表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編集

安楽樹

作者: 安楽樹

僕は食いしん坊で、物語を食べ尽くす。

まだ足りない。まだ。

食べ続けてもまたすぐにお腹が減ってしまう。


現実っていう物語は、ひどくあっさりしすぎていて、頑張って温めようと思うのだけど、すぐに冷めて食べられなくなってしまう。

心にもたれて、時に胸焼けを起こすこともある。


だんだん材料も少なくなってきてしまった。

……また僕はお腹が減る。

一体いつになったらお腹は一杯になるのだろう?


街を見ていると、満腹そうな人をよく見る。大体そういう人たちは恋人同士。

彼らは何をそんなに食べているのだ?

僕は料理が下手なのだろうか。



ある時、僕の頭から芽が出てきた。

それは何だか分からなかったけど、その芽が成長して立派な木になり、そうしてできた実のことを考えると、よだれがジュルジュル出てきて、お腹がグーグー鳴りだした。


そうか、わかった。

僕から育って僕が味付けをしたその実なら、きっと僕を満腹にしてくれるに違いない。

それから僕は、小さな芽を大事に育てることにした。



僕は、その安らかで楽しそうな樹が枯れないように、時々その上に涙を落とす。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ