崖の上野ボニョ
崖の上野ボニョ』へようこそ!
上野公園の西郷隆盛像に突如舞い降りた謎のぷるぷる生物・ボニョと、巻き込まれた高校生タカシの、ちょっとおバカで平和な上野観光コメディです。肩の力を抜いて、ゆるい世界観をお楽しみください!
「崖の上野ボニョ」
上野公園の西郷隆盛像の頭上に、突如として謎のブヨブヨした生き物が舞い降りた。体長約三十センチ、見た目はピンク色の巨大なタピオカ。名前は自称・ボニョ。
「ボニョ、上野のキングになる!」
ボニョは威勢よく叫んだが、なにぶん体が柔らかすぎて、西郷さんの頭から足元へポヨンポヨンと転がり落ちた。崖どころか、ただの銅像の段差である。
「だ大丈夫か!?」
通りがかりの男子高校生・タカシが慌てて受け止めた。手に伝わるのは、冷やしたわらび餅のような最高の触感。
「人間よ、我を崇めよ! ボニョは海から来た大魔王である!」
「そうなんだ。でもここ海じゃないし、上野動物園のパンダの列に並ぶなら最後尾あっちだよ」
「パンダ……? 我より可愛いというのか! 許さん、決闘だ!」
怒ったボニョは全身を素早く振動させ、必殺の「ぷるぷる攻撃」を繰り出した。しかし、それはタカシにとって「めちゃくちゃ気持ちいいハンドマッサージ」でしかなかった。
「うわっ、肩こりに超効く! ボニョすごいな!」
「ふははは! 苦しかろう! ……え、ほめられてる?」
すっかりタカシに気に入られたボニョは、そのまま上野の街を案内されることになった。アメ横で試食のマグロを一口もらい、「海より美味い!」と感動して涙を流し、不忍池のペリカンボートを見て「巨大な敵が現れた!」と威嚇しては自爆した。
夕方、西郷像の前に戻ってきたふたり。
「ボニョ、上野はいいところだな。ここを我の征服地第一号とする!」
「いいね。じゃあ明日は浅草でも征服しに行く?」
「アサクサ!? そこにはもっと美味いものがあるのか!?」
目を輝かせるボニョの頭に、上空から一羽のハトが舞い降りた。ハトはボニョを巨大な豆か何かと勘違いしたのか、思いっきり突っついた。
「ボニョーーーーー!?」
ボニョは素頓狂な悲鳴を上げ、西郷像の台座(高さ数メートルの本当の“崖”)からポヨンポヨンと転がり落ち、タカシのリュックの中にすっぽりと収まった。
「ふ、ふん! 今のは油断しただけだ! 崖の上のボニョは、明日から本気 SDS(出す)!」
噛み噛みの捨てゼリフを残し、ボニョはリュックの中で丸くなり、アメ横で買ってもらった人形焼をかじりながらぐっすり眠りについたのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
本作は「崖の上のポニョ」の響きから思いついたダジャレから生まれた、ゆるくてちょっとマぬけなショートコメディです。上野の名所をポヨンポヨンと転がりながら巡るボニョと、それに付き合うタカシの温度差を楽しんでいただけたら幸いです。
次回、ボニョ浅草を征服する(?)、あるいはおいしい浅草名物を食べる編もいつか書けたらいいなと思っています。
感想や「ボニョの触感を触ってみたい!」というお声など、お待ちしております!




