「何も起きなかった日は、仕事とは言わない」と婚約破棄された私の、最後の一日です
「何も起きなかった日は、仕事とは言わない」
建国祭の壇上で、婚約者のジュリアンはそう言った。
「お前がいた七年で、一度でも何か起きたか?」
一度もない。
私が、そうしてきたからだ。
「だから婚約は破棄する。私は、晴れの聖女ルチアと結婚する」
満員の観客席から、どよめきが上がった。
彼の隣には、白い衣装をまとったルチアが立っている。
「見ろ、この広場を。これほど人を集めた建国祭はない」
ジュリアンが観客席を見渡す。
壇上では、金糸の建国旗が風を受けていた。
「今日を、新しい建国祭の始まりにする。これからは天候に予定を左右される必要もない」
拍手が起きた。
私は胸に抱えた三枚の雲図へ目を落とす。
三日前、二日前、昨夜。
雨雲の位置と厚み、風向きを書き込んだものだ。
観測所で風と雲を読み、雨がどこで降るかを決めるのが私の仕事だった。
うまくいった日には、何も起きない。
七年前、彼が初めて任された祝賀式典を、私は雨の前へずらした。
「君のおかげだ」
それから彼は行事のたびに雲図を見に来るようになり、その年の終わりに婚約を申し込んだ。
「これからも、私の隣で空を見てほしい」
けれど、何も起きない日が続くほど、彼は雲図を見なくなった。
一度、人に任せた観測で間違いが出たときには、お前が見ていれば起きなかった、と言われた。
それ以来、夜の観測を誰にも渡していない。
昨夜も、そうやって今日の風を読んだ。
東へわずかに傾いている。
城壁の外の雲は集めず、風に乗せたまま流す。
夕方に細く裂いて、十日雨のない麦畑へ落とす。
それが今日の予定だった。
私は雲図を差し出した。
「今日は、雲を一つに集めないでください」
「始まる前から水を差すな」
「散らしたまま流せば、それで済みます」
「だから、お前には任せないと言っている」
紙を持つ手に力が入った。
「夕方には、私が分けて麦畑へ降らせます」
ジュリアンは一度も雲図を見なかった。
「必要ない」
「ルチア」
ジュリアンが手を差し出した。
「皆に見せてくれ」
ルチアが壇上の中央へ進む。
その力を一度でいいから観測させてほしいと、私はジュリアンに頼んでいた。
晴らしたあと、押し出された雲がどこへ行くのかを確かめたかった。
「晴れるなら、それで十分だろう」
彼は取り合わなかった。
ルチアが空へ両手を掲げた。
白い光が指先から広がる。
散っていた雲が寄った。
重なる。
一つの黒い塊になる。
次の瞬間、その塊が城壁の向こうへ押し出された。
青空が開いた。
「すごい!」
「晴れた!」
「聖女様!」
歓声が膨らんだ。
ジュリアンが笑う。
「皆さま、ご覧ください! これが、晴れの聖女の力です!」
拍手が一段大きくなった。
私は青空ではなく、押し出された雲を見ていた。
消えていない。
一つに集められただけだ。
風は東へ向いている。
黒い塊が流れていく。
速い。
「ヴェロニカ様」
壇上の近くから声がした。
一人の農婦が、乾いた麦穂を胸に抱えている。
「祭りのあとには、畑にも雨をいただけるんですよね。もう十日、待っておりますので」
後方では、まだ聖女への歓声が続いていた。
「はい。本来なら、今日の夕方に」
三枚の雲図を重ねる。
昨夜の雲。
今朝の風。
今、押し出された方向。
線の先を見る。
下町。
喉の奥が冷えた。
「……ヴェロニカ様?」
「あの雲は、どこへ行くんです」
「下町です」
「え?」
「このままなら、下町の上で降ります」
農婦が息を呑む。
「どれくらい……?」
雲の厚みを見る。
「一度に落ちれば、古い屋根は抜けます。通りにも水が溢れます」
「妹が下町にいます」
農婦の顔色が変わった。
「知らせないと」
麦穂を抱えたまま、人の間へ駆けていった。
「下町だって?」
「うちの母がいる」
壇上の近くにいた者たちが立ち上がる。
後方では、まだ事情を知らない者たちが拍手を続けている。
広場の前だけが騒がしくなった。
「何を騒いでいる」
壇上からジュリアンの声が飛んだ。
私は彼へ向き直る。
「ジュリアン。祭りを中止してください」
「何を言っている」
「雨雲は下町へ向かっています」
「空を見ろ。晴れているだろう」
「だからです。雲はなくなっていません」
「必要ない」
ジュリアンが観客へ声を張った。
「空は晴れている! 建国祭は予定どおり続ける!」
事情の届いていない後方から拍手が返る。
「万一、被害が出たなら、主催者である私が責任を取る」
壇の脇にいた男が一歩前へ出た。
祭りの警備責任者、テオドールだ。
「警備責任者として確認いたします」
携行帳を開く。
「開始前、ヴェロニカ嬢より、雲を一つに集めてはならないとの警告があった。間違いありませんか」
「はい」
私が答える。
テオドールが書き留めた。
次にジュリアンを見る。
「そして今、被害が出た場合は主催者として責任を取ると発言された。こちらも間違いありませんか」
「そう言った」
「承知しました」
「好きにしろ」
ジュリアンは苛立ったように吐き捨てた。
そして私を見る。
「ルチアは、今ここで空を晴らせる」
青空を指した。
「歓声も上がる。誰の目にも成果が分かる」
その指が、今度は私の雲図へ向いた。
「お前の七年で残ったものは何だ?」
雲図を持つ手が震えた。
「何も起きなかった。それだけだ」
「そうですか」
指輪を抜いた。
壇上へ置く。
硬い音がした。
「では、今日で最後ですね」
私は雲図を抱え直した。
「下町へ行きます」
「待て」
階段へ向かう。
「誰が許可した!」
振り返らなかった。
階段を下りると、テオドールがいた。
「雨雲が下町へ届くまで、あとどれほどですか」
「四十分もありません」
「分かりました」
テオドールはすぐ警備隊を見渡した。
「ここに残る八名は観客を誘導! 残りは下町へ! 家ごとに声をかけ、動けない者を優先しろ!」
兵たちが動き出す。
「テオドール!」
ジュリアンが壇上から怒鳴った。
「祭りの主催者は私だ!」
「観客の安全は私の権限です」
「祭りは終わっていない!」
「安全を確認できない以上、続行させません」
テオドールは私へ向き直る。
「ヴェロニカ嬢は空を見ていてください。地上はこちらで動かします」
一度、息を呑んだ。
全部を自分で見なくてもいい。
「……お願いします」
「承知しました」
満員だった広場から、人の流れが外へ向かい始める。
私たちは下町へ走った。
背後で楽団の音が止んだ。
東の空から、低い雷鳴が響いた。
*
「雨なんて、まだ降っていないじゃないか!」
「降ってからでは遅い! 石段を上って!」
下町の西端には、高い街路へ続く石段がある。
警備兵たちは家々の戸を叩き、住民をそこへ誘導していた。
空にはまだ陽が差している。
逃げろと言われても、信じられない者がいるのも無理はない。
けれど屋根の向こうには、黒い雲が見えていた。
さっきまで建国祭の上に散っていた雲だ。
今は一つの大きな塊になって、下町へ迫っている。
「残っている家を確認しろ! 動けない者を先に!」
テオドールの声が通りに響く。
警備兵が二手に分かれた。
先に広場を飛び出した農婦は、一軒の戸を叩いていた。
「開けて! 私よ!」
扉から女性が顔を出す。
「姉さん?」
「来て!」
農婦が妹の手を取った。
二人を警備兵へ預けると、私は物見台へ駆け上がった。
三枚の雲図を広げる。
黒い塊の先端は、もう下町の上へかかっていた。
「東端の物置、屋根が損傷! 中は無人!」
下から兵の声が上がった。
先端の雨だけで、古い屋根が抜けている。
これが中心ごと落ちれば、物置一棟では済まない。
全部を一度にどうにかしようとしてはいけない。
まず端を削る。
魔力を伸ばす。
黒い縁に細い裂け目が入った。
裂けた部分から、弱い雨を落とす。
民家の瓦は持っている。
雲の中心を二度裂いた。
どちらも、すぐに閉じた。
普段なら数日かけてほどける雲だ。
けれど、あと二十分もない。
「……間に合わない」
なら、残った水をどこへ落とすか決めなければならない。
麦畑へ一度に落とせば、十日雨を待った麦を今度は水で潰す。
下町には落とせない。
「他に、水を受けられる場所は……」
「建国祭の会場があります」
階段を上がってきたテオドールが言った。
「あそこに?」
「石床の下に、城外へ水を逃がす排水路があります。警備の準備で今朝も見ています」
「この量でも?」
「会場の中へ落とせるなら」
ついさっきまで、満員の観客で埋まっていた場所。
今なら、人さえ退避させれば使える。
麦畑にも、下町にも落とさずに済む。
残っているのは、そこだった。
「会場へ落とします」
「分かりました」
テオドールは、なぜとは聞かなかった。
「人は私が動かします」
彼は階段を下りながら声を張った。
「広場を空にしろ! 全員、石廊より上へ!」
◇
「触るな! 私は祭りを中止していない!」
広場からジュリアンの怒鳴り声がした。
まだ壇上に残っている。
二人の警備兵が左右から近づいた。
「退避してください」
「私が主催者だぞ!」
「安全確保が優先です」
「離せ!」
抵抗するジュリアンを、兵たちが石廊へ連れていく。
ルチアも別の兵に促され、階段を上った。
途中で、下町の方を見る。
下町の屋根の上に、黒い雲が低く垂れ込めていた。
「あれ……」
足が止まりかける。
「お進みください!」
兵に促され、ルチアは階段を上る。
「あれが、わたくしの動かした雲……?」
「そうです」
近くの兵が答えた。
ルチアの顔から血の気が引いた。
最後の警備兵が広場を出る。
「退避完了!」
テオドールが私を見る。
「人はいません」
黒い雲が会場の上へかかった。
もう待てない。
「落とします」
三枚の雲図を重ねる。
「止めろ!」
石廊からジュリアンの声が飛んだ。
「ヴェロニカ! 何をする!」
会場の上に来た雲の底を開く。
雨が広場を白く消した。
轟音が響く。
水が壇上の脚をのみ込み、観客席の下へ走った。
椅子が浮く。
「やめろ! それがいくらかかったと思っている!」
ジュリアンの叫びを雨音が呑み込む。
「私の祭りだぞ!」
木の壇上が大きく軋んだ。
中央から折れる。
壇上に掲げられていた建国旗が傾いた。
七十年、祭りのたびに掲げられてきたそれが、支柱ごと折れる。
金糸の紋章が濁った水へ沈んだ。
私は空を見続けた。
まだ終わっていない。
「下町は」
テオドールが下の兵へ声を張った。
「負傷者は!」
「ありません!」
息が抜けた。
「……よかった」
雲の中心は、ほとんど消えている。
残っているのは、薄く散った雲だけだ。
これなら扱える。
今度こそ、最初に決めていた場所へ届けられる。
◇
西門の外へ出た。
乾いた麦畑が広がっている。
残った雲を細く裂く。
一筋。
もう一筋。
乾いた土に黒い点が生まれた。
点がつながり、細い雨の境目が畝を進んでいく。
同じ畑の中に、乾いた麦と、雨に濡れた麦が並んだ。
西門の脇に、先ほどの農婦がいた。
胸には、まだ乾いた麦穂を抱えている。
「あなた!」
彼女が畑へ駆けていった。
一人の農夫が振り返る。
細い雨が二人のところまで届く。
農夫がしゃがみ込み、濡れた土へ手を触れた。
農婦もその隣へ膝をつく。
頬が濡れていることに気づいた。
ここまで雨は届いていない。
「雨が強くなってきましたね」
テオドールが、畑を見たまま言った。
「……そうですね」
私は頬を拭った。
彼は、こちらを見なかった。
「届きましたね」
「はい」
細い雨は、麦畑の奥へ進んでいった。
ジュリアンのために空を見る日は、これで終わった。
*
「この内容で出す」
建国祭の翌朝。
広場に面した詰所で、ジュリアンは事故報告書を机へ置いた。
窓の外には、まだ濁った水が残っている。
中央から折れた壇上が、その中に沈んでいた。
室内にいるのは、ジュリアン、ルチア、私、テオドールの四人。
事故報告書には、現場にいた私とルチアの確認署名が必要だった。
原因欄には、
『雨雲を集中させた危険性について、事前の説明が不足していた』
と書かれている。
「私は署名しません」
紙をジュリアンの前へ戻した。
彼の顔が険しくなる。
「私は『雲を一つに集めるな』とは聞いた。だが、下町が危険になるほどだとは聞いていない」
私は何も言わなかった。
「それだけだろう!」
ジュリアンが机を叩く。
「私は天候の専門家ではない! そこまで危険なら、分かるように説明するのがお前の仕事だったはずだ!」
テオドールが机へ帳面を置いた。
「では、記録を確認します」
昨日の携行帳をもとに清書された、正式な警備記録だった。
「開始前、ヴェロニカ嬢より、雲を一つに集めてはならないとの警告。雲が下町へ向かった後には、屋根が抜けるほどの雨量になると説明しています」
顔を上げる。
「ジュリアン殿も、その場にいました」
さらに記録を読む。
「その直後、中止の要請。ジュリアン殿は続行を決定し、被害が出れば主催者として責任を取ると発言されています」
帳面が閉じられた。
「以上です」
ジュリアンは何も返さなかった。
記録の話が続くのを避けるように、隣のルチアへ顔を向ける。
「君は気にしなくていい。私が晴らしてほしいと頼んだ。君は求められたことをしただけだ」
「いいえ」
そこで初めて、ルチアが口を開いた。
「わたくしは、聞いていました。雲を集めてはいけないことも、夕方に麦畑へ降らせる予定だったことも」
「だが君は――」
「それでも晴らしました」
目に涙が浮かんだ。
「皆さまが喜んでくださって、成功したと思ったんです。押し出した雲の先を、確かめようともしませんでした」
「君は知らなかったんだ」
「知らなかったから仕方がない、では駄目です」
「君まで責任を認める必要はない」
「力を使ったのは、わたくしです」
ルチアは事故報告書をジュリアンの前へ戻した。
「わたくしも、事実と違うものには署名しません」
「ルチア、君は――」
「わたくしは、もうあなたに頼まれて力を使いません」
それだけ言うと、ルチアは口を閉じた。
ジュリアンは何か言いかけ、やめた。
報告書を引き寄せる。
少し黙ったあと、苛立ったように息を吐いた。
「なら、聖女など要らない」
私を見る。
「ヴェロニカ。お前が戻れ。七年、それで回っていたはずだ」
ルチアは、まだ同じ部屋にいた。
彼は一度も、そちらを見なかった。
「私が費やした七年を、無駄にする気か」
あまりに当然の口調だった。
「婚約破棄も、なかったことにしてやる」
してやる、と彼は言った。
当然、私が頷くと思っている顔だった。
「今、分かりました」
「何がだ」
「あなたにとって、誰が空を守ったかなんて、どうでもよかったんですね」
「私が何日かけて雨を避けても、何も起きなければ誰にも見えない」
風を読む。
雲を裂く。
先に手を打てば、危険があったことすら誰も知らない。
「だから、その仕事を自分の手柄にしても困らなかった」
「結果を示せる者を評価して、何が悪い」
迷いのない返事だった。
七年前、なぜその時刻なのかと聞いた人は、もういない。
「だったら、一度だけ言ってください」
「何をだ」
「何も起きなかった日も、私の仕事だったって」
ジュリアンは私を見た。
「今さら、そんなことに何の意味がある」
胸の奥に残っていたものが、静かに切れた。
「……そうですか」
報告書を彼の前へ押し戻す。
「事実のとおりに書き直してください。そうでなければ署名しません」
「待て」
「私の話は終わりました」
テオドールを詰所に残し、私は階段を下りた。
広場の中央にはまだ水が残っている。
端では人夫が濡れた板を運び、その脇を家へ戻る人々が通っていた。
「ヴェロニカ!」
ジュリアンが追ってくる。
「待てと言っている!」
人夫が手を止めた。
家へ戻る途中の男が足を止め、隣の女へ言った。
「昨日あの人が来なかったら、うちの通りは沈んでたよ」
「お前までいなくなったら、私はどうなる!」
声が広場へ響く。
「次の行事はどうする! 雨が来るなら、いつ開けばいい!」
ジュリアンの声が上ずった。
「ルチアは――」
そこで止まった。
「……誰が、空を見てくれるんだ!」
「それを、七年間、私がしていました」
◇
その日のうちに、事故報告書は事実のとおりに書き直された。
警告を受けながら祭りの続行を命じ、避難を止めようとしたことも記された。
ルチアと私も内容を確認し、署名した。
三日後、ジュリアンは建国祭の主催者を解任された。
人命より祭りの続行を優先した判断を理由に、今後、王都の公的な祭礼を任されることもない。
会場の再建と、中止に伴う補償も、主催者として負うことになった。
委員会の席では、出演者と商人、下町の住民へ頭を下げることも求められた。
それが、ジュリアンが人前に立った最後の日になった。
ルチアは聖女の称号を剥奪された。
力の行使は、公私を問わず禁じられた。
破れば、王都への立ち入りそのものを失う。
解除の条件は示されていない。
建国祭の被害の一部は、聖女として受け取ってきた報酬から返還された。
残りは、彼女の生家が負う。
王都を出る前日、ルチアは詰所へ来た。
目が腫れていた。
深く頭を下げたまま、動かない。
「下町の東端で、屋根が一つ落ちました」
私はそれだけ言った。
「中には誰もいませんでした。落ちたのは、それだけです」
ルチアの肩が震える。
「それだけで済んだ理由を、これから考えてください」
顔を上げたとき、彼女はもう何も言わなかった。
◇
一か月後。
観測所の私の机には、王都から三日かかる農村から手紙が届いていた。
『来週まで雨を待ってよいでしょうか。それとも、明日から井戸の水を使うべきでしょうか』
私は雲図を開いた。
窓辺には、麦穂が一束置かれている。
建国祭の日に見たものより色が濃く、穂には重みがあった。
扉を叩く音がした。
「どうぞ」
入ってきたのはテオドールだった。
「今日は、職務とは関係のないお願いがあります」
「はい」
「仕事のない日に、あなたを訪ねてもよいでしょうか」
「空の相談ではなく?」
「はい」
「警備でも?」
「ありません」
それ以上は言わなかった。
私の答えを待っている。
麦畑で、最後までこちらを見なかった横顔を思い出した。
「では、次の休みに」
私から言った。
「西門の外を歩きませんか」
テオドールが少し目を見開く。
「よろしいのですか」
「今度は、仕事ではなく」
彼が笑った。
「はい」
「天気は、どうしましょう」
「雨の日でも構いません」
窓の向こうで、麦畑へ細い雨が渡っていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
少しでも「面白かった」「ヴェロニカを応援したい」と思っていただけましたら、☆評価やブックマークで応援していただけると、とても励みになります。
感想もいただけましたら嬉しいです。
「何も起きなかったことも、誰かが何かをしてくれていた結果かもしれない」
そんなことを考えながら書いたお話でした。
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました!




