3 イベント発生
「アクヤ・クレイジアとの婚約を破棄する!!」
「殿下…………」
待ちに待っていないが………
いつのまにか来てしまった、ダンスパーティー。
婚約者ではない女性とくっついているこの男が、私の婚約者。
ニード第二王子だ。で、こっちの女はヒロインの姉である………
フィビアン・マシティ。コイツもルートによっては私と同じく悪役になったりする。
顔立ちは…まぁ、モブよりかは、いくらか良いとは思うけど。
「そして!こちらのフィビアン・マシティ男爵令嬢と婚約する!」
元平民出身のご令嬢と、この国の第二王子が?
「ニード様ぁ!一昨日なんてあたしぃ、アクヤ様に悪口言われたりしましたぁ!」
「よし、アクヤは死刑だ!」
「きゃあ、ひどおぃ!待ってくださぁい!かわいそう!追放にしましょう!」
「ああ、心優しいフィビアン・マシティ!君に免じてアクヤは辺境へ追放しよう!」
頭の悪そうなテンプレ展開が、目の前で繰り広げられてゆく。
転生してから何もやらかしていないはずだから、事実無根だし、なんの茶番劇なんだ?何を見せられているんだ私は。
人前でやるならもっと面白いものにしてくれ。
「へぁっ」
マシティ男爵令嬢は、とても邪悪な笑みを浮かべていたが、突然素っ頓狂な声を出してその場にへたり込んだ。
「…わ、わたしは?あれ?ここ、どこ?」
そして、周りをキョロキョロし始めた。
もしや…というか、これは確定である。
「悪役令嬢のアクヤ様に似てる人いるんだけど!?まるでフリラブみたいな世界………ん?え、まさか」
うん、私も同じこと1ヶ月前に思ったよ。
「転生してる!?!?」
「……マシティ男爵令嬢。こちらへ」
「アアア、アクヤ様ぁーっ!?!?声付き!動いてるーっ!?ドレス似合ってるし!?素敵だし!?凄すぎる!!!」
小声で伝えた……が。
興奮し過ぎているのか、喉のスピーカーMAXでまくし立ててくる。
「……こ、ち、ら、へ」
「あ、はい!」
このまま放っておいたらやらかしそうなので連れて外へ出た。
クソ王子……じゃなかった。ニード第二王子は
「貴様!オレ様のフィビアンをどこへ連れていく!?オレ様とフィビアンの運命の糸は千切れないんだ!分かってくれ!嫉妬をするのは分かるが!……本当にどこへ行くんだ!?!?」
なんて言っていたけれど、無視をすることにした。
「アクヤ様〜!香水めっちゃ良い匂い!幸せ……成仏できます…」
「落ち着いてくださいませ……いや、本当に落ち着いて。私もフリラブ知ってる。転生者だし」
『はすはす』という効果音が合いそうだ。
ネットの痛いノリでしか聞いたことがないが、現実でやる人いるんだな。
毒されたフィビアンをどうにかして落ち着かせる。
「わたしのこの世界での立ち位置はなんなんですか?」
「あなたはフィビアン・マシティ。ヒロインの姉に転生してる」
「主要な悪役令嬢2じゃないですか!?」
「大丈夫。きっとなんとかなる。保証しないけど」
「『知らんけど』ですか」
……ふと。
「あなた、フィビアンの記憶のこと、思い出せる?」
「へ?……うわわわわ!?なんですかこれ!?」
私も、二週間くらい前だったかな。
アクヤの記憶を思い出そうとしたら…突然記憶が流れ込んできた。
「妹こと、覚えてる?」
「確か、良い子です。…あれ?この記憶から違う人みたいな振る舞いに!?」
「ヒロインも転生者ってこと?」
「そうっぽいですね…妹の性格が変わったのは数日前のようですが」
複雑になってきた。
今の所、転生者は私とフィビアンと…主人公兼ヒロイン、もといフロット。
「……転生ガチャ、恵まれて良かったね」
「えー!?でもアクヤ様の方がライバルポジだし可愛いじゃないですか!」
いや、それだけで済めば良かったんだよな。
フィビアンは、ルートによって追放されるけど、私よりは酷い刑にならない。
原作では、アクヤが指示役をしている。
アクヤは主犯格として……だいたい、死刑or野垂れ死にの二択である。
酷くない?救いはないの?
「フィビアーン?どこにいるんだーい?」
もう聞き慣れたな。
一途な自分に一途!自惚れ系、世間舐めまくり王子の鳴き声。
「探しに来たっぽいけど」
「ワタシ戻りたくないデス……」
「自分のことは自分で片付ける練習をしておかないと」
「はい…」
フィビアンを諭して、ニード王子のところへ見送る。
……原作と違う。このままでは今後の予想がてんでつかない。
もしかすると、最悪のルートに入ってしまう可能性だって…
また後日、私とフィビアンで作戦会議を開かねば。
………さて、どうなることやら。
更新が遅くなってしまい、申し訳ありません。
自由奔放に書かせてもらってます。




