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日常

ありきたりな日常に時間を溶かす主人公の 黒川雄大。

しかし、ある日を境にその日常が少しづつ変化する。

「起立。気をつけ。礼。」

テンポよく、聞き慣れたセリフがクラスに響く。


窓の外では草木の色が変わり始め、二週間前まで鳴いていた蝉の声はもう聞こえない。高校二年生の雄大にとって、高校最後の夏休みが終わったことを意味していた。来年には受験が控えている。両親はその話ばかりで、雄大は反発するように隠れてゲームやアニメを見ていた。


「あー、退屈で、憂鬱な日常だ。」

そんなことを思いながらニ時間目の準備をしていると、クラスメイトの会話が耳に入った。


「問題です!さっきの挨拶、入学してから何回目だったでしょう!?」

「わかるわけないだろ、笑」

「逆にお前は答え知ってんのか?笑」

「実はこの前数えてみたんだよ。そしたら――」


「おーい、黒川。」

突然、担任の新垣先生に呼ばれた。


「なんですか、先生。」

「この前振り込んでくれた学費が、千円多かったんだ。これ、ご両親に渡しておいてくれ。」


茶色い封筒を手渡される。中には千円札が入っているらしい。


「ついでに悪いんだけど、資料室から次の授業で使う地図を取ってきてくれないか? 先生、職員室に呼ばれちゃってて。」


申し訳なさそうに頼まれ、雄大は了承した。休み時間は十分しかない。急ぎ足で地下一階の資料室へと向かう。


資料室には、年代ごとに整然と並べられた膨大な資料が眠っていた。地図を探すのに苦労はしなかったが、ふと壁に掛けられたカレンダーが目にとまった。


今日――9月16日の欄に、「α」と書き込まれている。


「アルファ……?」


無意識に声に出した瞬間、チャイムが鳴り響いた。雄大は慌てて地図を抱え、教室へと駆け戻った。


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