表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[TL]地味系OLだけど水曜日の夜はびしょぬれ  作者: 地底乃人M


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/50

既成事実


 ベッドの上で首筋を吸われる桃瀬は、少し酔っていた。石和(いさわ)に「好きぃ」と告白して抱きつくと、ベッドまで誘導された。「理乃ちゃんは、ラム酒に弱かったのか」と、原因のカクテルグラスを横目に、石和は桃瀬のシャツを脱がせ、ブラジャーを取りはらった。



「石和さぁん……好きですぅ……」


「理乃ちゃん、ぼくも、きみのことが大好きだよ。不安にさせてごめんね」


「んっ、……んんっ」



 石和の息づかいを敏感にとらえる桃瀬は、なまめかしい声をもらした。しっとりとぬれだす下半身は、石和のぬくもりを求めている。


「いさわ……さん……、はやく……きてぇ……」


 いつまでも胸を愛撫されてもどかしい桃瀬は、石和の横髪に指で()れ、うっとりとした表情で、よく整った顔立ちを見つめた。


「……理乃ちゃん」


 期待に応えるかたちで桃瀬を裸身(はだか)にする石和だが、少しでも痛みを緩和させるため、戸棚のひきだしから潤滑ジェルを取りだすと、じぶんの指にぬった。ビクビクと膝がふるえる桃瀬は、酔った勢いでセックスをする展開へ突入したものの、今夜こそ石和といっしょに気持ちよくなりたいと思い、あたえられる刺激を従順に受けいれた。呼吸は乱れるいっぽうだが、それは石和自身も同様で、いつのまにかふたりは裸身で手足を絡めていた。



「石和さん……、大好き……」



 触れあう肌はどちらも汗ばみ、性的な興奮状態がつづく肉体は限界が近い。石和はコンドームをつけると腰を進めた。腹底が圧迫される感覚に、桃瀬の呼吸は限界まで乱れてゆく。


「んっ、はぁ、はぁ……!」


「理乃ちゃん、だいじょうぶ?」


「へ、平気ですぅ……」


「そう、よかった。少し動くよ」


「はい……、どうぞぉ……」


 小刻みに躰をゆらす石和は、桃瀬の体内領域で快感をとらえた。ゆさゆさと腰をゆさぶられる桃瀬は、他者のぬくもりと連動する初めての感覚に当惑した。なぜか、じわじわと涙が浮かんでしまう。恥ずかしさをがまんして、石和の存在を強く意識した。



「理乃ちゃん、また上手になったね……。躰のどこにも、よけいな力がはいっていないのは、ぼくを赦してくれた証拠かな」


「ゆるす……だなんて……、わたしは最初から……石和さんのこと……」


「それじゃ、もう少しだけがんばれるかな」



 深いところへ押しこまれた瞬間、桃瀬は「ひあっ!」と、短く叫んでしまった。石和の欲望は体内でさらに質感を誇張してくる。すきまなく密着されて桃瀬は身悶えた。この状態で激しく腰を突かれては、頭がおかしくなりそうだ。



「石和さ……ん……、い、痛い……」


「ああ、まだきつそうだね」


 浅いところをやさしく擦りあげ、桃瀬を適度な快感に浸らせて性交に集中する石和は、身体作用の抑圧を()いられたが、恋人を満足させるには充分なほど時間をかけ、互いに絶頂を遂げた。



「い、いまのは……?」


「これでフィニッシュだよ。ありがとう、理乃ちゃん。ぼくは、とてもうれしく思う。さあ、力を抜いて楽にしておくれ」



 石和は少しずつ腰をひき、コンドームをはずして処分すると、桃瀬の下腹部を愛撫した。ヌルッとした感触が恥ずかしい桃瀬は腰をひねるが、石和の指がきわどい動きをするたび、気持ちよく感じる思考が悩ましかった。また、最後までやり遂げた事実に安堵して、急に眠くなってきた。枕で顔を隠した桃瀬は、石和と同時に絶頂へ達した自覚がないまま、睡魔に襲われてしまった。



✦つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ