第三話 帰路にて初陣、かかれJK
一年ぶり更新()
やっと戦います。
齋はとぼとぼ歩き上野駅に入り電車に乗る。そして色々電車や地下鉄を使い、外に出て文京区にある自宅に向かって歩き始めた。
(齋よ、何故わざわざ上京したのだ?ここは家賃が高いらしいではないか)
大嶽丸は妙に現実的な疑問を齋に聞くと脳内で返事をする彼女。
(あんた達がどこまで現代の常識を知っているのかわからないけど、簡単に説明するなら地元の高校は偏差値が低いから東京に来たって訳。そして高偏差値の高校に通ってんだよ〜こう見えて私はちょー頭良いの!と言っても努力したと言うよりは、なんでか見た物を忘れずに覚えるのが得意なだけ。だから地頭は良くないんだよね......)
(ほう......卑下するが既に成果、つまり結果がある以上は自分を蔑むべきではないぞ。武の強さも己が信念あってこそだからな)
(鬼なのに優しいね、あんがと)
そうして脳内で色々話していると首のない酒呑が齋の身体を止めた。
(な、なに!?)
(その道はやめろ、何か無数にいる。そう酒呑が伝えている......あぁ?酒呑本気か?............まあ確かにここで避けていたら強くもならんか。齋!初陣だ、人目のつかぬ場で鬼と化し武器を握れ!)
(えっ、人沢山いるよ?写真とか動画撮られちゃうんじゃないの?)
(我らは祈祷師だの陰陽師だのセコく隠密に妖を滅せぬ。面頬をつければ顔は隠れる、良いか?ツノを戻す時と逆を考え......)
そう伝える途中に建物の影で齋は紫の炎に包まれ火が消え去ると立派な鎧に面頬つけツノが3本生えた鬼の眼をした齋が現れた。
(やるなぁ!)
「じゃあ、やるよっ......って何この刀!?私の身長半分以上あるじゃん......よっこいしょ、大して重くないけど違和感が......これしか武器無いの?」
(あるが良いから早く行け、相手は餓鬼だ。それもデカイの1体含めて6体程度、刀を適当に振うているだけで流石に勝てるだろう)
茨木は楽観的に齋に交戦する様に指示をしたので渋々異形の姿を晒し走り出す。だが周りは自分よりも何かに気を取られている様子に踏み止まる。
「ねぇ?あれ周りの人達も餓鬼が見えてない?」
それを聞き齋越しに見る酒呑童子は茨木にあることを伝えた。
(おいっ!酒呑が言うには吾ら以外にも強大な力をかつては持ち暴虐に振る舞った妖の類共が復活し始めている。酒呑の善意で吾らは封印を解かれたが、それがきっかけでその辺の雑魚も一般の奴らに見える程度に格が上がっているぞ!早く始末せねば物理的な被害で死者が出る)
めちゃくちゃ早口で伝えていると大嶽丸が困惑する。
(えっじゃあほぼ部外者の俺は眠っていた方がいいか?まだ力を大して貸せぬ故に......)
「もう今更!私が全て屠るッ!............ああー!刀が長過ぎる!」
(仕方ない、弓を使え。ただの小娘が当てれるか知らぬが。それと餓鬼は餓鬼道という地獄に堕ちた生前悪行を働いた奴らの霊だ、満ち足りることない飢えで凶暴だ。とは言え酒呑の目的は妖討伐もあるがこういう手合を供養するのもある。救われたがる輩は切り伏せたり貫いたりはあまりせぬ様にな)
「弓なら私弓道やっているから大丈夫っ!......おお!出た!ってボロボロじゃん、大丈夫?......そうだ、街灯の上に飛び乗って狙撃............」
一飛びで街灯の上に乗ると矢筒から矢を取り弓を引き、先ほどとは様子が変わり真剣な眼差しで今人を襲わんとする醜く腹が出っぱり涎を垂らす餓鬼の頭を狙い撃つ。矢は風を切る音を立てて餓鬼の頭部を破壊、その瞬間紫の炎が燃え盛る様に炎上し消えた。
「まだまだっ」
そう言い弓を弾き2体目、3体目とヘッドショットを決める。餓鬼の骸は燃え尽き消えた。
「よしっ!にしても力が増しているのがわかるっ!」
(だろうな、今のお前は屈強な男相手に軽々と倒す事ができる。だからだ刀の練習もしろ、矢も実質有限なんだ早く近接戦闘に慣れるんだ。そして多分だが、あのデカい餓鬼を倒せば終わりな筈だ)
そう酒呑は伝え無理矢理武器チェンジさせられた齋は街灯の上で困惑する。
「えっ!??ちょっと!......うわぁ!!?」
(いいから行け!実戦が一番の練習だ)
茨木はそう言っている間に街灯に攻撃をされ落下する齋。
「いてて......はっ!?マズッ......」
目の前にいた餓鬼の棍棒が目の前に迫り反射で刀でガードすることに成功した齋は、そのまま立ち上がる勢いで鬼を切り上げた。ブチッズバッと音を立てて鬼は消えた。
「はぁはぁ......グロっ......でも残り2体ッ!!!」
人混みを駆け抜けて最後の普通のガキの目の前まで行くと刀を突いて喉を突き刺す。
「ハァッ!!散れッ!!!」
そのままズバッと切り裂きと同時に炎に包まれ消滅、辺りを見ると死人は出ていないが道路や建物に損傷、怪我人も複数いた。そして交差点の真ん中には雄叫びをあげ暴れ続ける大きめの餓鬼がいた。
「うがあ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛!!!」
「キャー!!」 「一体なんなんだよ!」 「撮影なのか!?違うだろ??何故警察はまだ来ないっ」
一般人は走り逃げ回る、それを見て餓鬼は満足そうに笑う。
「ぐばっぐばっ!!」
「アンタはもう終わりだよ、散々迷惑かけて。罪を償いなッ!」
(他のやつよりも威圧感があるっ......)
餓鬼の前にシュタッと現れた齋は刀を向けて言う。
(そいつァ............地獄の責苦に狂っているだけで懺悔はしている、と酒呑が言っている。酒呑が編み出した技、鬼法・冥炎滅却でトドメをさせ。それで供養してやれ)
「マジ?見た目だけじゃかわからんねぇ......てか鬼法って?」
(さっき俺がちょいと言っただろ?鬼が使う妖術みたいな物だ、つまり特殊能力だ。お前さんそう言うの好きだろ?それとさっきのは酒呑の奴のオリジナルだから何だか知らんがな、酒呑やり方を脳に直接伝えてやれ)
そう言った瞬間に齋の脳内に複数の技のやり方が刻まれた。
「うわっ!いきなり知らない記憶出てきてキモっ!......でもこれで齋ちゃんガンガン倒せちゃうよ〜!!」
チャキッと刀を構え餓鬼と対峙する、餓鬼は棍棒を持ち身長は2.5メートルあるかないかだ。普通の餓鬼は子供の様に小さいがこいつは異質に大きい。
「ぐらあ゛!!」
棍棒を真っ直ぐ振り下ろしてくる化け物、それに対して彼女は鎧など装着していないかの様に軽やかに避けると、その流れで相手を斬りつけた。
「ぐぎぃっ!!」
まさかチビ相手にカウンターを決められると思わず怒る餓鬼。
「アンタがさこれ以上罪を重ねない様に供養してあげ............っ!ぐぅッ!」
話している最中だと言うのに無視して棍棒を振り続ける餓鬼から一撃を暗いビルの壁まで吹っ飛ばされた齋。体勢を変えて壁に足をつけて衝撃を減らし地面に立つ。付近の人間は慌てふためく。
「小さい鬼がこっちに飛んできたぞっ!!」 「なんなんだっ!?夢か?」
それに対してつい反応しちゃう齋。
「早く逃げてッ!現実だから死ぬよッ」
「おっ女の子......?」 「小さいと思ったらこっちは女なのか......」
齋の声を聞き驚き困惑、目を見開いて鬼の齋を見る。
(アホ!性別がバレただろ!)
と茨木が脳内で文句を言う。
「性別なんざ、どうせすぐにバレるよッ」
そう言葉にして悪態つきつつも餓鬼に向かって走る。疾風迅雷、とても人間の速さでは無い速度で鬼に迫る齋。
「てりゃあ!!」
剣を振りかぶり斬りつけたが棍棒でガードされ弾かれた齋。
「くっ!......なんか怠くなってきたよ............」
(いかん!身体が追いついてないんだ、早くケリを!)
大嶽丸は焦る。
「そう言われても......っきゃあ!」
よそ見をしていた所に鬼の蹴りが入り地面を転がる齋。
「はぁはぁ......えーっと鬼法?使うよッ。もうこれで終いだよっ!!」
齋は刀のを構え再度餓鬼に近づき言い放つ。
「鬼法・冥炎滅却!」
剣に紫の炎が纏った刹那、相手の反応速度を超えて袈裟斬りをした。相手は斜めに切り裂かれ紫の炎が纏わりつき燃える。
「ぐぅあああ!」
そう声を上げて身体は崩れ落ち炎上し続けた。齋は近づく。
「............来世は悪さしないようにね」
それに対してなんと鬼が日本語で答えた。
「あ、ありが......と............」
そのまま穏やかな顔で消えていなくなる、荒れた街中でただ1人齋は立つ。
「......虚しいね」
(仕方ない、あいつも救われただろう。あのままではアレでほぼ永遠に彷徨う事になるからな。まあ地獄から脱獄したのが悪いんだが)
そう大嶽丸が言うとサイレンの音が聞こえ始めた。
「まずい!警察が来るッ!怠いけど逃げるよっ!撤退!!撤退ぃ〜!!」
ドンドン走り進み人の合間を縫って帰宅して行った齋。その後現場は混沌と化していた、警察は誰に話を聞いても鬼がどうたら化け物が暴れただの女の子が戦っていたと説明されてしまう。
「いや、だからさ!小さい鬼がデカい腹の出っぱった鬼と戦ってたんだよォ!多分小さい方は良いやつですよ!」
一般人が警察に必死に説明する。
「うーむ......貴方以外にもそう説明する方ばかり、薬物は陰性............困ったな......」
「写真とかあんだよぉ!!」
そう言いながら写真や動画を見せた。
「......?確かに場所はここだな、破損の状況も合致している............私はどう上司に説明すれば............」
結果、この後はガス爆発で処理されたが博物館の鬼、事件現場で撮られた写真に動画はネットにアップされ世間を騒がせた。この小さいヒーローは誰だと世間は特定を進めようとする。
一方で何とかこっそり自宅に帰宅した齋、鬼の姿のままの帰路であったが家の屋根を走り抜け人目を避けた。
そして齋はお金があるので一軒家に住んでいる。
「ただいまぁ〜............って誰もいないけどね、寂しっ......てか鬼から戻らないと............よし!」
(もう慣れたモンだのぉ〜)
(大嶽丸のアドバイスがわかりやすかったからかな、どっかのアホと違って)
(なっ!小娘の癖に延々と舐めた口ばかりしおって!......まあいい確かに吾は知的ではない。それよりもさっさと休息を取れ、体に相当な負荷がかかっている筈だ)
「心配ありがとね......ん?スマホにめちゃくちゃ通知あるじゃん?ハルからじゃん、どうしたんだろ?」
(ハルとは誰だ?)
と茨木は聞く。
「蒼井陽翔、私の同級生の彼ピッピだよ。えーっと......あぁ私が博物館に行ったの知っていたから心配して連絡してくれていたみたい。大丈夫って返しておけばOK!よし冷房つけて風呂入ってご飯食べて寝よう!」
(たくましいなぁ)
おじいちゃんみたいな大嶽丸。
(彼氏か、鬼が彼女だなんて可哀想になぁ)
「アンタが本格的に鬼にさせたんでしょ!......テレビつけよ」
テレビには齋の話題で持ちきりだった。
「あーらら〜ヒーロー扱いまでされちゃった齋ちゃん漫画の主人公みたいだね!」
(酒呑はあまり目立って欲しくはないと言っているぞ、人助けをすると言っても吾らは鬼だ。話の通じない陰陽師、独善的な祈祷師なんかに攻撃されては堪ったもんじゃない)
「まあまあ、齋ちゃん頑張って強くなるからさ!勉強はさっき言った通り見れば勝手に覚えるから!......ってハルから電話だ、心配し過ぎだよ〜。私愛されてるぅ〜!!」
勝手に浮かれている齋。
「もしもし!」
「もしもしっ!!齋!無事か!?本当に大丈夫なのか?」
爽やか系の声した陽翔は割と焦った感じで問う。
「大丈夫だよ〜時間帯ズレていたから無傷!」
「そうか、良かったぁ......いきなり電話して悪かったな、ちょっと心配でさ」
「もぉ〜!大丈夫だよ!とにかく今日は疲れちゃったからごめんだけど電話切るね〜」
「うん、じゃあね。好きだよ」
なんて事は無い、挨拶の様に好きと言う。
「う、うん!私も!じゃあね!............ふぅ〜〜!未来は明るい!!」
(能天気だのぉ)
ウキウキになりながらそのままその日はやる事を終えて寝たのであった。
翌日は日曜日休みである。
彼氏を殺そうか迷いましたがやめました




