第二話
人生をかけて信じる。信じ続けたさきに善悪を超えた何かを感じれるかもしれない。
そんな作品です。
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毎週金曜日に更新を予定しています。
第二話 勉強
一週間後約束の時間に真美は櫻子の家をまた訪れた、「こんにちは櫻子さん、またお会いできてうれしいです。」櫻子も一週間真美が来るのを心待ちにしていた。真美が話していた事が気になって仕方なかったからである。
「私もお会いできて嬉しいです」櫻子はそう言うと真美を家に招き入れた。
真美の胸も高なった、信者になって10年たっていたが新しい信者を生み出した事がなかったからである。
「この宗教は、聖書をベースにしているのですか?」櫻子が尋ねた。
「はい、そうです。でもキリスト教でもユダヤ教でもなく聖書をより正しく理解し、唯一の神を崇拝しています。櫻子さんは信じている神はいますか?」真美は櫻子に質問した。
「いいえ、私は宗教に触れる機会がなかったもので、でも神はいると思います。娘を産んだとき奇跡だと思いました。とても偶然できたとは思えない。きっと神様が作ったに違いないと思いました。」と答えました。
「いいことに気づかれましたね、あなたは幸運の持ち主です。この世界のもの全ては神によって作られたのですよ。なので我々の教えを学んで、神を喜ばせましょう」と真美は目を輝かせて言った。
「でも出産はとても痛いし、体力的にも辛いです。神はなぜそうさせたのでしょうか?私が神ならそうはしないわ」と櫻子、「聖書にはその答えも書いてあるんですよ」そう言うと真美は聖書を出した。
「えっと、どこだったかしら」真美は櫻子に紹介したい聖句を探し始めた。
櫻子は真美が持っている聖書が気になった。「真美さんその聖書は私が見たことあるものと少しちがうわ、なぜなの?」と質問した。真美は「よく気づいたわね、櫻子さんが知ってるのはきっと共同訳聖書ね、これは来世パラダイス教会が出している世界で唯一正しい聖書なのよ。来世訳って言うのよ」と真美が答えた。櫻子は少し疑問に思ったが、真美を信用しきっていたのでそれを受け入れた。
「あったわ、ここよ、ここ書いてあるのよ…」
真美との勉強会は1時間ほどだった、「そろそろ娘が起きる時間なので」と櫻子、真美は「また来週続きをお話ししましょう。今日は良い時間をありがとう。あなたに出会えたことを神に感謝しなければ」と言うと、小さく「アーメン」と言い帰っていった。
櫻子は真美のことを家族には内緒にしていた、話したら何と言われるかは目に見えてたからである。賢太郎の実家は仏教徒であったので櫻子が聖書をベースとしている宗教をやりたいというと面倒くさいことになるのは目に見えていた。
櫻子は言葉を聞いて救われるだけでいい、ほんの少し現実を忘れられたらそれでいい、ただそれだけだった。
その日から櫻子は一人考えていた、真美に神はいると思うと答えたものの自分はどこまで神の存在を信じているのだろう。ニーチェが「神は死んだ」と言ったけれども、やっぱり科学的にみると神はいないのか、こうして真美に出会えて教えを聞けたことがもう神様のご意志なのかもしれない…
一週間後また真美が約束通り現れた。
「こんにちは櫻子、会えてうれしいわ」
「私もよ真美」
二人の距離は急激に縮まっていた。
櫻子は真美に疑問に思っていた質問をした。
真美は「その科学を作られたのも神なのよ、だから科学も神の技よ」と答えた。
櫻子は深く納得した。
そして真美は「疑問に思うことはとても大事よ、でもイエスは神を試してはならないとも言われているわ、だから櫻子あなたには神に全幅の信頼をよせてほしいわ。」と伝えた。
櫻子は「ごめんなさい、そうよね、神を疑うなんてあってはならないことよね」と言い、考えることを辞めた。
「今櫻子が生きていること、ご飯を食べれること、すべて神のおかげなのよ。だから人間は神に感謝しなければならないの。感謝を伝えたいと思わない?」と真美。
櫻子はうなずいた、真美は「神の教えに忠実だったら感謝を伝えることができるし神を喜ばすことができるわ、櫻子にはそうなってほしいわ。」と言った。
「どんな教えか少しずつ教えてもらえる?」と櫻子、真美は満面の笑みで「もちろん、教えるわ。櫻子にも神が作るパラダイスで永遠に生きてほしいから」と伝えた。
来世パラダイス教会の教えでは、独自に解釈した来世パラダイス訳の聖書の教えを当てはめれば、いずれ来るハルマゲドンを生きながらえ、パラダイスで永遠に生きるというものであった。
櫻子は教えを当てはめなければと思い毎日を過ごした。
食事の前には心の中でお祈りをし、寝る前にも神に祈った。
「どうか神様、可哀想なこの私の状況が少しでも改善されますように…」櫻子の祈りは神に届くのだろうか…
つづく