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第2話 父

数年が過ぎ、この世界の生活にもだいぶ慣れてきた。近所の子供達と友達になる事もできた!

年相応の事が出来ているだろうか?時々そんな事をふと思う。

季節は、秋になり木々の葉っぱの色が変わり、地面には一面落ち葉が広がっている。この世界の自然は、前世の地球と比べてとても綺麗である、何より空気が美味しく感じる。まるで森の中にいるようだ。

変わり映えしない日を過ごしていると、とても嬉しい知らせを聞くことができた、何年も旅に出ていた父が帰ってくるという事だった。俺は、歓喜した。何より生まれてから一度も会った事がないからである。









数日が経ったある日の早朝、俺はまだ夢の中にいた。ーー男が軽快な足取りでテオ達が住んでいる家に向かう。ーーーコンコンと軽く男は、扉をノックしていたが中々出てこないので、さらに大きくゴンゴンゴンとノックをした。早朝に大きく扉を叩く音が家中に響いた、驚き飛び起きる。(まだ4時だぞ、誰だよ)という思いが込み上げてきた。母エミリーは、焦ったように扉の元へ駆けていく。エミリーゆっくりと鍵を開け、ゆっくりと扉を開ける。家に訪ねてきたのは、教師時代同じ学校で働いていた、同僚の吉澤にとても似ている男だった。お世辞にもカッコいいとは、言えない容姿だ。唯一違う点と言えば目の色や冒険で鍛えたと言いたげなガッチリとした体格だ。それぐらいだけなのだから驚くのは、必然だ。

エミリーが「お帰り~!」と勢いよく男に抱きつく。(とても羨ましく感じた自分に驚いたんだよね)「テオ、エミリーただいま」と男は落ち着いた様子で話した。

2人の会話を聞くに、男の名前は「ルイ・クラウド」要するに俺の父親だ。(最悪だ、同僚の吉澤が父なんて)けして、前世で仲が悪かった訳ではないが、父となるとなんとも歯痒い気分だ。驚いたことに彼は、人々に英雄と言われる大剣の使い手のようだ。その大剣は傷や汚れが付き錆びかけているので、長年使い古して使っている事が分かる(要は、剣も買い換える事も考えない脳筋でしょw)と内心嘲笑った。









月日が経ち、俺の6歳の誕生日になっていた。

朝起きて、リビングへ向かうと「パァーン!」と大きな音を立てて飛翔物がこちら向かって飛び出した。「テオ、おめでとう!!」同時に2人の声が聞こえてきて俺は、微笑んだ。今は父の事も尊敬したいる、まぁ色んな事があったわけだ。そんな父から誕生日プレゼントにナイフをもらえることができた、ナイフをよく見ると刃の周りには無数の文字が並んでいる、そして何より美しい刀身だ。

「こんないいナイフ貰ってもいいの?」と俺は、社交辞令としてリアクションをした。父は、長々と説明しているが、そんなことは頭に入らない。早くナイフを試したいという思いしかなかった。ようやく父の話が終わり、ナイフを試してみたいと伝えてみると父と試合を行うことになったのだ。勿論作戦は、ある。近くの小さい広場ではなく、森を越えた先にある大きな広場で戦うことだ。何故そんな事をするかだって?森に魔物が出るからだ、そこで父の実力を直に見定める算段という事だ。

父は、その提案に乗ってくれた。やはり脳筋だ。母が森に入るのは危険すぎるという事で、家でお留守番となった。


森に入っていく。父は、先に突っ走って行った。俺の安全の為だろうか?先に魔物を倒していくというのが、父なりの子供への愛なのだろう。しかし、俺にとっては非常にまずい事になった、父の戦闘がみれないからだ。俺は父に追いつこうと、必死になって走った、数百メートル先、微かに見える、どんなに頑張ろうと英雄の領域にある父相手に鍛えていない6歳が追いつけるはずがなかった。父が、先に倒してくれたおかげだろうか?俺は魔物に一度も出会う事はなく、安全に目的地の広場に到着した。



父は地面に突き刺した大剣に寄りかかりながら俺を待っていた。「さぁ、来いテオ。父さんはいつでもいいぞ」そんな事を喋っているが俺は内心、子供相手に大剣は容赦無いなと思っていた。そして俺は父に貰ったナイフを取り出し父に向かって切り付けた。父は軽くかわしたが、後ろの岩は真っ二つになっているのを見て俺は驚愕した。父が「ナイフの性能は気に入ったか?」というが、これで気にいらない人がいるだろうか、いやいないであろう。その後俺は、案の定ボコボコにされた。父によれば俺の戦い方は、同じ年の子供では考えられないほどだというが、俺はそうは思わない。

俺は少し高い丘に登る。日が暮れてしまうには間があるはずだったが、いつの間にか雲が厚みを増し、街は夕闇と西日が入り混じって、薄紫色のセロファンに包まれたようだった……。






この日の夜、俺は両親と神殿に行き鑑定しに行った……。





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