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魔法使いは公務員なのです。


どーも、詠介です。

誰に挨拶してるのかって?


……

あの(エイジ)が、俺と莉乃の視点を一話づつ入れ替えるって言うから、説明が必要かと思いまして…


説明って、誰に?


まぁ、いいか。

でも、莉乃に説明させるわけにもいかんしね。



というわけで、魔法使いになったわけだがいつも通り、職場に来た。


・辞令

特別対策室 室長

千葉 詠介




…えっ!

私、ヒラ市役所職員だったのですけど…

室長?という時期外れの辞令が降りていた。


「千葉くん。急で悪いんだが、県庁へ移動ということだ。それで、君は防衛省から出向という形になるということだ。」

課長から声がかかる。おかしな人事だし、市役所勤務の職員が防衛省って突っ込みどころ満載なのだが、なぜかすべてスルーされている。


まぁ、なにか大きな力が働いたのだろう。この世界(やくしょ)では、たまにあることだ。

「すぐに移動してもらうよ。私物をまとめておいてくれ。送ってやるから。」

「承知しました。課長!」

上司からの命令は、絶対だしね。私物もほとんど無いので、簡単な引き継ぎだけして、午前中に県庁へ移動した。電車で3駅の距離、明日から電車通勤かな?


県庁に着くと、物置小屋の様なところに案内された。

ー運動部の部室みたいだな…

「一応、机と椅子、ネット環境とpcは用意しておきました。午後より知事から正式な辞令が降りますので、14時より知事室にいらしてください。」

社交辞令というか、感情の起伏があまり無い女性の職員が案内してくれる。美人ではあるのだけど…

「では、これから、ここでお願いします。」

「はい、では、」


特別対策室と書かれたドアを開けると、一人の女性が既に座っていた。

机は4つあるが、pcは2つ。2人部署かな。


「千葉さん。よろしくお願いしますね。」

「あぁ、サクラさんか。そういうことね!よろしく。」

昨日言っていたな。魔法使い用のお仕事というわけか…


「千葉さんの仕事は、県内の魔法少女の管理とベジタリアン星人の襲撃データの整理。後は魔法少女達の戦闘フォローと言うことになるわ。」

「了解。」

まぁ、仕事でも、莉乃を守れるなら良いか。

「ただでさえ男性の魔法使いは珍しいのに、攻撃手段がないなんてかなりレア。でも、昨日見た感じだと効果は高いし、市役所勤務だったので、職場異動は楽だったし、こういう形に落ち着いたのよ。」

うーん。ま、納得するしかないか…


pcを立ち上げて魔法少女データベースを開けてみる。

県内魔法少女データ

Aランク

無し


Bランク

アップル


Cランク

ブルーベリー

ラズベリー


Dランク

パイン

スター

パッション

ドラゴン

ペアー


あと、E.Fランクに10人ちょっとか


おっ、莉乃は、Dランクか。

データを見ているとスマホに通知が…


少し離れたところに、敵が登場したらしい。

「強敵ね、変身していきましょう!失礼しますね」

サクラに血を吸われる。

「あぁ、やっぱり美味しい!」

美味しいって何だよ!


赤い学生服の格好になり、現場へ急ぐ。

…めちゃくちゃ速いな。新幹線位?

数十キロ離れているはずの場所に10分くらいで着いた。


まだ、高速移動に慣れていないのか、少しふらついてしまう。

「凄い!移動速度は、Bランク以上ですね。」

サクラさん。あの速度に、着いてこれるんだ…


現場では、赤いコスチュームの魔法少女が、ギザギザの瓜のような化け物と戦っていた。ゴーヤかな?

「敵はアレですね。魔法少女アップルが先に着いて、戦闘しているようです。敵のランクはBですね。」


あれが、県内最強の魔法少女アップルか?

なにあれ!めちゃめちゃ、可愛いんだけど…

一瞬だけど、心奪われてしまった。

う、いかん。苦戦しているようだし、助けに入ろう。


戦況は、お互いに決定力が無く、拮抗していた。

ただ、Bランク同士の戦い離れている規模が大きく、戦闘境界の損害は大きい。敵の狙いは、そこにある?


「あ、お兄さんも逃げて!」

魔法少女アップルが、近付く俺に気付いた。

「いや、援護するよ。」

「危ないです。逃げて!」

ゴーヤの攻撃が、こちらに向く。種がマシンガンのように飛んでくる。

「あ、ダメ!」

魔法少女アップルが助けに入るが、間に合わない。

「たぶん大丈夫だよ!」

防御の盾を展開。これは、一時だけだが、敵からの攻撃を完全に防ぐ。

「えっ、なにそれ!」

アップルが驚いている。

「攻撃する手段がないんだ!コレでお願いするよ!」

アップルをサクラ色のオーラで包む。戦闘力がアップするはず。

「凄い!力が湧いてくる!」


俺のバフで、強化されたアップルの攻撃は、ゴーヤの化け物を一発で打ち砕いた。


「お兄さん凄いです!ありがとう!」

目の前の、美少女がお礼を言ってくれる。やばっ、惚れてまう…

「いや、俺、昨日からなんだ。これからよろしくね!」

「あ、そうなんですね。心強いです!よろしくお願いします!」

差し出された手を取り、握手をした。

柔らかい……やっぱ、惚れてもうた…



魔法使いやってれば、また会えるだろう。

そのまま別れて、県庁に戻った。


「まぁ、現実には魔法少女の姿じゃないんだけどね!」

サクラが言う。

「何の話だ?」

「アップルちゃん可愛いからね…あんたも現実ではチェリーなおじさんな訳だしね!」

「チェリー言うなって!」


PCを確認すると、さっきの戦闘履歴が残っていた。

あれっ、もうひとつ履歴がある。

魔法少女ペアー Eランク水菜撃破

「莉乃が戦っていた?」

「あー、それならペアーだけで撃破可能だから大丈夫だったのよ!」

「そういう問題じゃない!俺が魔法使いになったのは、莉乃の為なんだ!」

「そんなこと言ったって、アップルの方が苦戦しそうだったから…」

でも、無事撃破したようだ。これ以上言っても仕方ないか…

「今後は、出来るだけペアーの援護を優先させてもらえないか?」

「…仕方ないか。善処するわ。でも、あなたが行かないと、犠牲になる魔法少女がいるかもしれないこと、忘れないでね!」

「わかった。」


コンコン。ノックする音。

「失礼します。」

最初に案内してくれた女性だ。

…あれっ、何か雰囲気違う?

「あ、アプ…蒼井ちゃん」

サクラが名前を言う。蒼井さんって言うんだ

「あ、蒼井 林檎です。よろしくお願いします。時間ですので、知事室へお願いします。」

「あ、そうだった。千葉詠介です。よろしく!」


辞令の件か、忘れてた。

ん、名前が林檎?

でも、アップルさんは、中高生位の少女だったし…

目の前の美人さんは、二十歳越えてるだろうし…


魔法使いになってる時の若返った自分のこと振り替えると、すぐにわかったんだけど。

この時は、気が付かなかったのね…

まぁ、彼女がアップルさんだったら、俺より先に現場で戦っている訳無いし…





おじさんだって恋したい!

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