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最期のお願い。


こういう時は、

ー知らない天井だ。って目覚めるものだって聞いてる。


でも、まだ夢を見ているようだ。

なんで、夢だって解るんだ。って?


だって、おねえちゃんがいるもん。

もう死んだはずの莉乃の本当の母親。俺の義理の姉。初恋…いや永遠の人。


「エイスケちゃん。ありがとうね。」

お礼をいってくれた。

「おねえちゃん。どうして?」

「あなた達が、ピーマンを倒してくれたから、やっとあっちに行ける。」


ピーマンに殺されたおねえちゃんは、ピーマンを倒さないと成仏できなかったらしい。


「でも、いままであっちに行けなかったのも良かったかな。あなた達を見守ることができた。」

「お、お母さん!」

声のする方を向くと莉乃がいた。


「あ、莉乃。あなたもこっちに?」

「うん、私、やっとお母さんに会えた。これから一緒だね。」


えっ、そんな…

莉乃もいっちゃうのか?そんなの


「イヤだ。莉乃!行かないでくれ。」

「エイスケちゃん。莉乃に行かないでって、私は行ってもいいの?」


へっ?おねえちゃんは、もう死んだ人で、莉乃は?


莉乃は、俺とこれからも一緒に生きていく人だ。


「まぁ、いいわ。私は、あっちに行くけど、莉乃はどうする?エイスケちゃんは残るみたいだよ。」


俺も行けるなら一緒に行きたい。

けど、からだが動かないんだ。


「おとうさんっ。残るの?でも、お母さんも、3人で行きたいな。3人でいれないの?」

「そうだね。でもエイスケちゃんと私は、もうすれ違っちゃったから無理かな。」

「そんな、」

莉乃の顔が暗くなる。


「私も、エイスケちゃんのこと、ずっと好きだったんだけどね」


???

義姉ちゃんが、俺のこと?嬉しいけど、めっちゃ嬉しいんだけど、もう、はやく言ってよー。

家出ていって、子供まで作っちゃったら、絶望しかないじゃん!


「あー、ずっと言いたかったから、スッキリした。じゃあねエイスケちゃん。」


義姉ちゃんは、笑顔で去ろうとする。なんかヤり逃げされてる気分…

それより、り、莉乃は?


「もう、答えは出てるんじゃないの?」

義姉ちゃんは振り返り、莉乃に微笑みかける。


連れて行かないでくれ。頼むよ。

「私…どうしたら…」

「莉乃?あなたがしたいようにするの。あなたは、何がしたい?」

莉乃は…。戸惑いつつも、決心はしているようだ。

「私…おとうさんと生きたい!」

「そっか、ま、残念。いや、うん、良かったかな。。エイスケちゃん」

義姉ちゃんが俺に話しかける。


「私の大切な娘。エイスケちゃんのお嫁さんにしてくれるなら、置いていってあげる。」


ん?なんで?莉乃は娘で…


「もう莉乃は、エイスケちゃんしか見てないの。娘の幸せを叶えるのは親の願いよ。あなただって、あなたの気持ちに、素直になりなさい!」


「え、でも、」

お嫁さんにするってどう言うこと?素直になれって?


「あぁ、じれったい!もういいわ、一生そのまま童貞でいなさい!行くよ莉乃!」

「えっ、でも、おとうさん…」


一生…。それはヤダ。40過ぎちゃったけど、あきらめられないよ…


ぢゃねえ、莉乃が行ってしまう。

「莉乃!行かないでくれ。」

俺の叫びが届いたのか、莉乃がうつむきながら呟く。

「わたし、私を、お嫁にもらってくれる?」


莉乃が行っちゃう。

そうなったら、もう生きていけない。


「わかった。嫁でも何でももらってやるからこっちに来い!」

義姉ちゃんが、笑って言う。

「もらってやるぅー?もっと言い方あるでしょ」

このヒトは、昔から俺をからかって遊ぶ癖がある。


言い方って。でも考えるより声が先に出た。

「愛してる!だから、一生一緒にいよう!」


「うん、合格だね!莉乃(むすめ)をよろしくね」

莉乃をこっちに渡して、義姉ちゃんは去っていった。


莉乃を受け止めて自然、抱き合った形になっている。

「うれしい。お嫁さんにしてくれるって。」

莉乃の声が心地よい。体が触れあって温もりを感じる。

「まだ、嫁になるの早いけどな。でも、本当の気持ちだよ。」


でも、良いのだろうか?

あ、これは、夢だった。じゃあ、良いかな。


抱き合ったまま。

いい雰囲気。いける?少し体を離して、莉乃と見つめあう。

そして、莉乃と口づけをするってところで…




知らない天井だ。

って、目が覚めました。


病院なんだろう。ベットの隣には莉乃がいた。

「私もさっき目覚めたの。」

莉乃は、何故か顔を赤くしている。ん、なんだろう?

暑い?クーラー効いてるよ。


「大丈夫なのか?」

「うん。一週間くらい眠っていたらしいの。」


「一週間…」

そんなに意識がないのははじめての事だな。

「あ、魔法の力?」

魔法の力を、全く感じなくなってる。


そうか、限界突破(オーバーリミット)のせいか…

普通の人間に戻ったんだな。


「莉乃も?」

「うん、もう魔法少女にはなれないみたい。運動能力なんかも落ちてるみたい。」


日常生活に支障はきたさないものの、限界突破の代償として、現実の体にも負担がきているらしい。


まぁ、莉乃が生きていてくれていれば、良いや。

あの夢が、現実だったら、莉乃は死んでいたかもしれないし……


あの夢?さっきまで見てた夢の事思い出した。

莉乃とキスしかけた。いや、しちゃった?


はじめてだったのにな。

ん?悪いかよ!

いままで誰とも付き合ったこと無いんだから当然だろ!


しょうもないことで考え事してたから。

「お母さんいっちゃったね。」

莉乃の問いかけに

「うん、」

って言ってしまった。


後で聞いたんだが、これで同じ夢見たこと確信したんだって!



「本当に?」

莉乃が俺に問いかける。何の話だ?

「何が?」


「おとうさん。本当に?」

「だからなんだって?」


「本当に…。お嫁さんにしてくれるの?」

「へっ!な、な、何の話だ。」


動揺しすぎた。莉乃も同じ夢見てたんだな。

仕方がない…。


いや、仕方ないじゃなくて義姉ちゃんとの約束だ。

いや、約束したからじゃない。俺の気持ちだ。


じゃあ、答えるしかないよな!

「言ったろ、一生一緒だって!」

「うん、じゃあ、その前に言ったことも聞かせてほしいな。」

莉乃の顔が真っ赤になる。それじゃあ、梨じゃなくて林檎だよ!


…って、その前か。わかったちゃんと言おう。

「あ、ぁ、愛してるよ。莉乃。」

「ありがとう。私も」


まだ、ベットの上で身動きのできない俺の顔に両手を添えて、莉乃の顔が近づいて来る。



とうとう、そう、遂にやったよ。

はじめてのちゅう!

涙が出ちゃう?


俺の40才に過ぎてのファーストキスは、病院のベットの上で、女子高生の愛する義理のむすめに奪われたのだった。。。


チキュショー!

涙が出ちゃうな!


いちおう、一段落しました。


あと何話か、その後の話を載せて、完結する予定です。

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