先輩、無事でいて!
急がないと。
学校までは、直線距離で30km位か。
魔法少女の姿なら5分くらいで着くはず。
空中を移動しながら、並走?するチェリーさんを見る。
やっぱり、おとうさんがチェリーさんだった。
なんか嬉しい気がする。ドキドキもする。
おとうさんならドキドキしない?
ううん、お祭りの時、手を繋いでいたとき、おんぶしてくれた時、ドキドキしてた。
通学で一緒に行くときも、今日朝御飯食べてるときだって、何時だってドキドキしてた。
やっぱり、このドキドキとチェリーさんと接した時に感じるドキドキは一緒だったんだな。
……おとうさん(チェリーさん)と話したい。ちゃんと話したい。けど。
今はそれどころじゃない。
五花先輩が……
夏休みまでは、五花先輩のこと正直苦手だった。
挨拶しても黙ってるし、何か言ってても全然聞こえないし…
でも、夏休みずっと一緒にいて、学校に用事無くっても、私が一人にならないように補習中は学校に来てくれて、勉強も教えてくれた。
本当は優しくて、面白い五花先輩。
この前、とうとう触らせてもらって…
すっごい柔らかくて、気持ち良かった。
せっかく大好きになったのに……
いつも通り学校に行っていれば、五花先輩を一人にすることは無かった?
どうしよう、私のせいだ!
五花先輩、無事でいて!
やたらと長く感じた数分だったけど、学校に着いた。
運動場が、バトルフィールドになっているみたい。
運動場に入ると、魔法少女の姿の紫乃さんと紅乃さんに受け止められた五花先輩がいる。
魔法少女の姿ではなく、変身が解かれたのか制服姿になってる。
大丈夫なの?
「あ、莉乃。チェリーさんも。」
紫乃さんが私に気づく。
「チェリーさん。先輩をお願いしますわ」
紅乃さんが、チェリーさんを呼ぶ。
「わかった。回復させる。」
チェリーさんが五花先輩を抱き抱えて、回復魔法をかける。
「くっ、……」
五花先輩の意識が戻ったみたい。良かった。
「よそ見は、いけないなあ!」
あ、すぐそばにピーマンが…
吹き飛ばされる。凄いパワー。
でも、踏みとどまれた。特訓の成果かな。
「あれー。この前会ったときの力だったらこれで良かったのに?」
ピーマンが言う。私だって、なにもしてなかった訳じゃない。
「莉乃。紅乃ちゃん。いくよ。」
「はいっ」
紫乃さんの呼び掛けでフォーメーションを組む。
紫乃さんと紅乃さんが前衛になり、コンビネーションで錯乱して、力をためた私の攻撃で撃滅させる。
ピーマン対策で何度も練習した。
「よし、援護魔法かけるよ。」
チェリーさんから魔力が発散される。二人のパワーが上がる。ピーマンの動きが止まった。
「仕方がない。受けてみますか。」
ピーマンからは余裕が感じられるけど。
私の後ろにチェリーさんがきた。
「莉乃。いくよ!」
後ろから、手を回して抱き抱えてくれる。
「おとぅ、」
「この姿の時は、チェリーさんで。」
表情は見えないけど優しい声。おとうさんも、恥ずかしいのだろうと思う。
「うん、わかった。お願いします。」
頭を撫でられる。うん。心地いいな。力もどんどん入ってくる。
おとうさんってバレたから、際どいところをさわれないんかな?私は、…いいのに。
「莉乃。今だよ!」
紫乃さんから指示。
今までで、最大限の攻撃をする。
フルパワーで、これでどれくらいダメージが入るかで、これからの戦い方が決まる。
もちろん倒せたら…
フルパワーなんだから、倒せるはず。
………
ナシスプラッシュ攻撃による粉塵が晴れて、ピーマンの影が現れる。
「イテテ。なかなかのパワーでしたね。」
ピーマンは、なんともない感じで立っている。
そ、そんな、フルパワーなのに……。
「ち、無傷かよ!」
紫乃さんが呟く。
「ちょっと、距離をとりましょう。」
紅乃さんが言い、ピーマンとある程度の距離で対峙する。
「無傷ってことは、無いですよ。ほらっ」
ピーマンが、見せたところには、数センチ位の傷が…
「そんな傷…」
「そうですね。この程度じゃ、何回やっても私を倒すことなんてできませんよ。」
圧倒的な実力差を感じる。私達だってチェリーさんの援護でSランク近くまで、パワーが上がってるはずなのに…
「仕方ありませんわ。切り替えましょう。」
紅乃さんが提案する。特訓中に練ったプラン。
ダメだったら、時間かせいで助けを待つ。
Sランク魔法少女なら、30分くらいでここまで来れるはず。
「サクラさん。応援の連絡は?」
チェリーさんが、サクラさんに確認している。
「それが、連絡が…」
サクラさんは、タブレットと格闘中。
えっ、来れないの?
「どう言うことだよ。ピーマン大帝がいるんだよ!」
ナシオが電話で怒鳴っている。
「あ、多分、応援は来ないですよ!」
ピーマンが余裕たっぷりに言う。
「今、トウガラシ君達が、本部狙ってますので。」
…どう言うこと?
なら、私たちだけで戦えってことか?
ピーマンから殺気のようなものを感じる。
攻撃が、くる。
「くっ」
ピーマンの攻撃に、チェリーさんが援護魔法で対抗する。
一回は防げるけど、
「もう一回っってね!パワー上げていっくよー」
ピーマンのやたらと明るい声に、私たちは、絶望を感じてしまった。
地震か台風か、今までに経験したことのない、表現できない衝撃がきた。
ここにいる妖精達を含む全員が吹き飛ばされ、運動場のバトルフィールドの破壊率が限界に達した。
これ以上の攻撃は、バトルフィールドの決壊、現実世界の破壊に繋がる。
旧校舎はすでに破壊されているみたい。
ピーマンの攻撃に、なんとか踏みとどまったけど、他のみんなは吹き飛ばせれている。
おとうさん?
チェリーさんは?
みんなは?m
攻撃はチェリーさんを直撃したらしく、立ち上がれないよう。
今立っているのは、私だけ。
私が…
私が何とかしないと。
「ほー。立ってますか?でも、お仲間さんは、立ち上がれないようだね!」
ピーマンが笑ってる。
ぶっつけ本番だけど、やってみるしかない。
普段、魔法少女の負担軽減のために掛かっていると言うリミッターを外す。
「限界突破」
「あ、ダメだ。リノ!」
私の気配が変わったことにナシオが気づいた。
ナシオもダメージを受けているのか、動けず、声に力もない。
今やらないで、いつやるの?
限界突破したあとどうなるかわからないけど、このままじゃ、ダメなんだし…
いきますよ。ピーマンさん!
バトル書くの苦手だけど、読んでくださってありがとうです。




