莉乃の初恋
すみません。
めっちゃ遅くなりました。
クリスマスと正月休みだったの…
いつものように、目が覚めた。
いつもの部屋で、いつもの時間。
でも、何か、新しい物語が始まった気がする。
千葉莉乃。15才。恋してます!
…何てね!
でも、あの赤い学生服の人、カッコ良かったな!
私の事、助けてくれたし、補助の魔法?を掛けてくれた時は、優しい感情が流れてきて…
あんなの初めて……
いや、初めてじゃない!
お父さんが、いつも見守ってくれていた。その時にいつも感じていた優しさ!
あれっ、じゃあ、あれは、親の思いなのかな?
私の今までの人生には、何時もお父さんがいた。
お父さんだし、お母さんでもある。たった一人の親。
大嫌いって、初めて言った。
大好きって、初めて言った。
小さいときは、本気でお嫁さんになるつもりだった。
初恋も、失恋もお父さん。
でも、初めて、お父さん以外に好きになったかもしれない人が出来たな。
だから、今日から、何かが始まる気がするの。
着替えは後にして、パジャマのままリビングへ行く。
2LDKの部屋は、お父さんの部屋と私の部屋、そしてリビングダイニングキッチンのシンプルな部屋割りになっている。
中学生になるまでは、一緒に寝ていたんだけどね。
お父さんへの失恋を機に、ぢゃなく、中学生になった時に部屋を貰った。
お父さんはもう起きていて、お弁当を作ってくれている。
「おはよう。」
「お、莉乃。おはようさん。」
「お弁当ありがとう。私、朝御飯作るね!」
「うん、お願いするよ。お弁当の残りもあるよ。」
「あれっ、じゃあ、あんますること無い?」
「まぁ、そうだな。お茶でも入れてくれ。」
「おっけ!」
何時もの会話。昨日お誕生日祝えて良かった。
このところぎこちなかったのよね。
たわいも無い会話をする。
「それでね、陽菜のダイエットがまた失敗してね」
「陽菜ちゃんかー。そのままで可愛いのにな!」
「うん、私もそう思うんだけどね。」
とか
「今日ね、小テストあるんだけどね。」
「昨日、全然勉強できて無いんじゃ…」
「うん、でも、できるだけ頑張るよ!」
「あぁ、まぁ、莉乃なら大丈夫か。頑張れよ!」
とかね。
「舞の彼氏、また変わったのよね。」
「舞ちゃんな。可愛いもんな」
私はともかく、私のグループはみんな可愛いのね。
美人の舞、癒し系の優香、ぽっちゃり系だけど、可愛くて人気の陽菜。私は普通なんだけど…
「私もね、ちょっと気になる人いるし…」
「なんだと………」
あ、口が滑った。
「あ、だからお父さんも昨日のファミレスの彼女さんと上手くやることね!」
「…見てた?」
見てたって!それで、昨日途中でふてくされて寝てたんだから…
「誕生日にファミレスってのもどうかと思うけどね!」
「いや、あの人とは、なんと言うか、…仕事の付き合いでね。」
ちょっと気まずくなったな。
あ、もうこんな時間、着替えないと
「あ、莉乃。ちょっと」
「ごめん。もう時間無い。着替えてくるね」
「あ、そうだな。ごちそうさま。」
「ごちそうさまでした。」
何か言おうとしてた?
何だろう?
彼女が出来たとか、あんまり聞きたくないし…
お父さんも、私の恋バナ聞きたくなさそうだったな。
着替えながら、スマホの魔法少女フルートのアプリを確認する。
魔法少女ペアー
ランク D
討伐数 6
356382p
あ、ランク上がってる!
ポイントも凄く沢山入ってる!
ナシオがDランクからが本番って言ってたっけ。
制服に着替えて、
「行ってきまーす」
学校へ向かう。
学校へは、昨日戦闘があった駅を通って、歩いていく。
徒歩で10分程で学校に着く。
いつもと同じ日常が、流れていく。
授業中なんだけど、スマホの通知がくる。
なぜか、私がスマホを見ても誰もなにも言わない。
ベジタリアン星人がでたらしい。手を上げて、
「先生、ちょっと…」
「千葉か、行って良いぞ!」
これも何故か、私が授業を抜けたことは、みんなの記憶には残らない。
学校を出たところで、ナシオと合流する。
いつものように少し血を吸われる。
「うふっ」
変な声がでた。何かイケないことしてるみたいで気持ちが良いのね。そして、魔法少女に変身した。
「かぁっー、やっぱりリノは美味いなー」
ナシオは満足そう。何か腹立つな。
魔法少女になると、運動能力が飛躍的に上がる。
1km位離れた場所だったんだけど数十秒で着く。
オリンピック選手も真っ青。車よりも速い。
既にフィールドが張られていた。民間人は、居なさそう。
広場の中では、葉っぱの化け物をが暴れていた。
…水菜かな?
「油断しないで、ランクはEだから十分倒せるよ」
ナシオが言う。
「わかった」
もう何度も倒してきたけどやっぱり緊張する。
「そこまでよ!」
水菜の化け物に呼び掛け、破壊を一度やめさせる。
ーナシ・スプラッシュ!
恥ずかしいので声には出さないけど、ナシ汁で攻撃する。
ドォーン
え、倒せた?一撃で?
「Dランクに上がったからだね!DとEには大人と子ども位の違いがあるのさ!」
ナシオが何故かドヤ顔で、親指を立てている。
「うん、やったね!」
ナシオとハイタッチした。
…
……
赤い学生服のお兄さんに会えなかったな。
野菜退治だから来てくれると思ったんだけどね。
会いたかったな!