夏祭り
お盆です。
お盆と言えば、夏祭り。
…違うよ。お墓参りっ!
永遠の28才千葉直子。私のお墓にも一組の親子連れが…
来ているんだけど、夏祭りで頭が一杯かな?
意識が少し薄いんです。
こらーっ。莉乃!ちゃんと私のこと想いなさい!
まぁ、エイスケちゃんとのお出掛けが楽しみすぎるんだろうけど。
でも、10年か…ようやく、、ようやく私の死を受け入れたということかな。まぁ、良いことだよ。
「まぁ、お墓にはいないって言うしね。」
「でも、こうやって手を合わせるんだ。見守ってくれてありがとうって。」
そうだよ。エイスケちゃん。あー、意識がはっきりしてきた。
エイスケちゃんもウキウキしてないのっ!
まぁ、二人が楽しいなら良いけど。
莉乃の気持ちが伝わってくる。
おとうさんがもしチェリーさんだったら…
私は、やっぱりこの人が好き。でも、おとうさんだよね。
…良いのかなぁ?お母さん、教えてほしいな。
良いのよ。その人は、チェリーさん。
身も心もチェリーだよ。(笑)
よくもまぁ、守ってきたものだね。
あ、わかってるよ。私のせい。だよね?
気持ち知ったの死んでからだったかな。
惜しいことをした。私も、多分、……。
だから、あなた達は、二人で幸せになるのよ。
でないと、私。もしピーマン倒されても安心して逝けないよ!
あ、大切なこと伝えたいんだけど…
伝わらないかっ。
でもまぁ、この事も言っておく。
あのピーマンが、近々攻めて来るわよ。
なんか拠点作るため、この地域を狙っているらしいのね。
頑張って、あなた達なら…
でも、無理だったら逃げるのよ。
私にとって、一番大切なのは、あなた達なのだから。
ーーーーーーーーー
お墓参りも終わって、
不思議なんだけど、ここに来ると義姉ちゃんに会えた気がするんよな。
莉乃のことヨロシクって。
最近は、ありがとうって気持ちが伝わってくる。
頑張って莉乃を育てた自己満足な、気持ちなんだろうけど。
「お祭り、連れてってくれるんだよね!」
莉乃が笑顔で言う。
「あぁ、でも、友達は?」
「舞と優香は、彼氏と行くって。陽菜は家族旅行中。だからおとうさんっ。お願いっ!」
って、娘から言われて断れる父親がいるだろうか?
いや、いない。少なくとも、俺はめっちゃ嬉しい。
それに、最近は二人で遊びに行くことも無くなってきたから。
「じゃあ、そろそろ行くか?」
「あ、着替えてくるから、待ってて!」
………
日が暮れてくる。なにやってるんだ?
コンコンッ
着替え中だ、いきなり入ってキャッ、おとうさんエッチぃ、大嫌いってなったら、泣いちゃう。ラッキーで目の保養にはなるけど……
「えっ、ちょっと。」
「入るぞー」
「いや、…どうぞ」
あ、浴衣着てたんだ。そりゃ一人じゃ難しいかな。
「髪型が決まらなくて…」
「よしっ、任せろ。」
昔よく姉ちゃんの手伝いやらされたんだ。あれっ、この浴衣。
「これ、姉さんのか?」
「うん、さっきお墓で、着て良いか、お願いしたんだ。」
「そっか、懐かしいな。お、浴衣はちゃんと着ないとだらしなくなるぞ」
少し着付けをやり直す。
帯も閉め直し。髪型は上げて纏めてみた。
うなじがセクシーだよ。うん、かわいくなった。
着付けさせると、娘の成長がわかる。首元からうなじのライン。うーん、せくシィー!
「お、できた。可愛いよ!」
莉乃が鏡を見て、笑顔になる。
「ありがとう。やっぱり、おとうさんって凄い!」
そう、莉乃から尊敬される父親であるために、いろいろ頑張ってきたんだ。料理とかもそうだし、勉強も聞かれたら教えたいし、運動会でもスゴいって言われるためにね。
だから、凄いっていわれるのが、うれしい。
うれしいので、取っておき見せてあげよう。
「これ見ろよ。」
古いアルバムから写真を取り出す。好きな写真だ。どこにあるかすぐわかる。
「え、これって。お母さん?」
「そうだよ。よく似てきた。莉乃は、義姉さんみたいに美人になれるよ!」
写真は、高校生の浴衣姿の義姉ちゃんと中学生の俺が写ってる。
「うん。」
写真を大事そうに抱える。嬉しそう。
「その写真。俺の宝物だけど、莉乃が持っとくか?」
「いいの?ありがとう。」
そうだよ。莉乃は、義姉ちゃんの写真あんまり持ってないんだよ。
あんま、残してくれてなかったんだ。
だから、俺もあんま持ってない…。
「お母さんもだけど、おとうさんも写ってる…」
ん、邪魔だった?切り取ってもらってもいいけど。
いいけど、でも、泣いちゃうかな。
「まぁ、おれが邪魔だったら…」
って言いかけたら、莉乃が否定してくれた。
「いや、違ってて…」
少し、迷ったのか、間を開けて
「お母さんと、その、おとうさんが一緒に写ってて、嬉しくて…」
莉乃は頷いて続けた。
「私も、この中に写ってたらなって。…でも良い。これ私の宝物になる!」
喜んでもらえて良かった。俺は、こんな莉乃の笑顔のために生きているんだから。
莉乃のため、莉乃のためって言うけれど。
お祭りは、俺自身とっても楽しかった。
お祭りには、ジェットコースターもないし、夜だけど、賑やかで明るいから、お化けもでないでしょう!
そういえば、今、無意識に手ぇ繋いで、夜店回ってる。
なんか、小学生の莉乃とはぐれないように手を繋いで、夏祭りを楽しんだ昔の思い出がよみがえる。
そうだな。父親としてずっと莉乃の事、想ってきた…。
たぶん、いや、多分違うな。
莉乃の友達の3人のお父様に囲まれて怖かった、入学式の時を思い出す。
そう、ちょっとした違和感。
3人のお父様方の娘さんへの想い。
俺の莉乃への想い。
血が繋がってないから?
本当の親子じゃないから?
俺に、恋愛経験がないから?
わからないんだ。
でも、たぶん、俺は、莉乃が小学校の時、手を繋いで夜店を回ったときも、莉乃の事、女性として、というかパートナーとして、愛してたんかな、と思う。
そうだよ。俺達は、パートナーなんだ。
良い言葉があった。パートナー。
パートナーの意味ってなんだっけ?
ググるべ。
相棒、相方、協力者。
そうそう、そんな感じだろ。
読み進める。
4行目くらいに、
配偶者。。
ん、配偶者って、何?
「何見てんの?」
俺の配偶者じゃない、娘の莉乃!
りんご飴を頬張り、たこ焼き持って。
ドンだけ食いしん坊なんだよって、つっこもうとしたら
「はい、おとうさんの分。たこ焼き好きでしょ?」
うん。大好きだよ。
たこ焼きもだけど、俺の優しい莉乃。
今話も読んでくださりありがとうございました。




