蒼井さんと初デート!その2
「魔法少女って、想いの強さが力になるんです。」
蒼井さんが、教えてくれる。
「中学に上がったときに、ベジタリアン星人の襲撃があって…」
もう8年前になるか。
この世界への正体不明の襲撃があって、それに対抗する魔法少女の出現。
「私は、この地域では、まぁ、一応強い魔法少女なのですが、魔法少女初期メンバーの中では最弱なんです…」
「想いの強さ…か?」
「はいっ。私は、特に特別な想いがなくて、魔法少女になりました。で、8年間も魔法少女やってるのに、Bランク…みんなAランク以上になってるか、恋人できて引退しているのに…」
「でも、アップルさんはこの地域を守ってるのだし…」
「はい。でも、他の皆は、Aランクになって、もっと手強いのが現れる地域に配属されるか。首都で、主な戦場と言われる東京に行っています…。」
蒼井さんは、おちょこに口をつけると、話を続けた。
…ふふっ。仕草一つ一つがかわいいなぁ。
「千葉さん…チェリーさんの魔法力には底が見えません。何故ですか?男の人の魔法力は、想いの強さとは違うのでしょうか?」
莉乃を守ろうとしたことの想いか?
「いや、想いの強さって言えば、うん、そうかもしれない」
「えっ、じゃあ、千葉さんには、もうそういう人がいる?」
あれっ、蒼井さん。落ち込んでる?
莉乃を守りたいという想いの強さなら、誰にも負けないよ!
15年見守ってきたんだし、そして莉乃の母親……義姉ちゃんの分の想いも受け継いでいる。
もうひとつ言うと、莉乃への思いには、5才の時……義姉ちゃんと初めてあったときからの俺の35年分の片想いが詰まっている。
…その想いは、誰にも負けない強さだよ!
「蒼井さん。莉乃のこと知ってるんだよね?」
「え、莉乃ちゃん?えぇ、最近知り合ったんだけど、可愛い妹みたく思ってる。莉乃ちゃんが何か?」
急に、莉乃の名前出したからビックリさせたか…
でも、莉乃の事、気にかけていてくれていたんだな。感謝っ!
「うん、相談ってその事なんだ!」
蒼井さん、凄く難しい顔をしている。
「莉乃ちゃん?確かに可愛いですけど、まだ中学生ですよ!千葉さんが付き合うには、流石にちょっと……あ、私となら年の差あっても成人してるから問題ないと思いますけど……」
ん、付き合う?蒼井さんなら問題ない?
この人は、たまに訳のわからないことを言う。…それも、かわいいんだけどね。
「あ、違うよ。その好きとかじゃなくて、いや、好きは好きってか、莉乃の事は愛してるんだけど…」
「キャッ!愛してるって?莉乃って呼び捨てだし…私だってリンゴって呼んで良いのに…」
ん、なんか誤解してる?
「あのなぁ、莉乃は、娘なんだっ!」
「はいっ?………でも、チェリーさんなんでしょ?」
ううぅ、チェリー強調しないでよ……
童貞でも、法的には娘はいるの!
蒼井さんに、莉乃が娘だってこと、義姉の子ども引き取って育ててること説明した。
「よおやく、本題に入れる。」
と、思ったんだけど……
「と言うことは、莉乃ちゃん。千葉さんと一緒に住んでるの?あ、将を射ようとせんものはまず馬からって諺もある。……莉乃ちゃん、私のこと、お姉ちゃんって呼んでくれてる。と言うことは、馬はもう堕ちてるのか?一押しすれば、お母さんってなるかな?キャッ。でもまだ早いよね。……これは、チャンスありか?行くべきなのか?退くべきなのか?」
蒼井さん、なんかブツブツ言ってる…将やら馬やら言ってる。なんかのゲームか?時代劇かなんかかな?
「びっくりさせてゴメン。莉乃の事、隠していたつもりではなかったのだが…」
蒼井さんの独り言に俺がビックリしているんだけど。
「いえ、でも、少し安心しましたっ!」
今度は、明るくなった。表情がコロコロ変わるな。
会ったときは、無表情な美人さんって印象だったんだが……
「どうやら、莉乃が、魔法使いチェリーの事。俺とは気がつかずに、かなり気に入ってしまっているらしいんだ。」
「気に入っている?恋愛感情ですか?」
うーん。そこまではわからないけど…
「た、たぶん。それで、チェリーの正体を言った方が良いのかどうか。俺にはわからなくて……蒼井さん。どう思う?」
「そりゃぁ、言った方が良いと思いますけど…」
うん、そうなんだけど…。乗り越えたと思っていた俺への恋愛感情が、ぶり返すのは避けたいんだ。
…上手く、説明できん……
「とにかく、莉乃の気持ちが、チェリーから離れるためにはどうしたら良いかと思って?」
「チェリーさん。カッコよすぎるんです。無理ですよ。私だって……。あ、私は、素の千葉さんで良いんですけど……」
居酒屋シーンが、終わらない…
20才そこそこのコと居酒屋デートしたいって願望が、話を拗らせる……
ぢゃなくて。
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