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変わりゆく世界

 それからしばらくフィーレと話しているとリーシャが起き始めた。


「ん……」

「リーシャ、起きたのか」


 俺は先ほど起きたばかりの彼女に声をかけた。

 まだ眠たさが残っているようで、半分下がりかけている目を擦っていた。


「え、エビリスくん。今何時?」

「もう昼を過ぎる頃だ」

「え! ごめん、寝過ぎてた」


 すると、ばっと掛け布団から外に出るが、フィーレが静止した。


「気にしないで、二日連続だったし疲れていたのよ」

「でも、二人は起きてたんでしょ?」


 リーシャがそう言って質問するが、フィーレは首を振ってそれを否定した。


「私たちもさっき起きたばかりだから、大丈夫だわ」

「……そうなの?」


 そう真っ直ぐな目で彼女は俺を見つめる。

 その目は少し不安の混じった眼差しをしており、寝過ぎたことに自責を抱いているのだろう。

 だが、そうさせたのは俺であって別にリーシャが謝る必要はない。


「ああ、俺も起きるのが遅かったからな」

「そうなんだ」


 どうやら俺とフィーレの反応から少し安心してくれたが、少し恥ずかしいのか顔を赤くして顔を背けた。

 その後三人で昼食を食べ、俺たちは休日を過ごすことにした。

 それにしても妙なのはあのタイミングでシエラがやってきたことだ。

 ちょうど作戦を二つ成功させた後で俺たちが疑念を持ち始めた頃だったからな。

 何か監視されているような気がしてならない。

 今ここは政府軍の施設内だ。いつどこで誰が監視しているか分からない上に、高度に隠された魔法なども存在しているのかもしれないからな。

 まぁ俺がそれらを探したりしないのは変に警戒されないようにしているためだ。

 そして、問題が起きたのは夕方の頃であった。


 ジリリリッ!


 と警報のような音が施設内を轟かせる。


「侵入者のアラートよ」

「私たちも助けにいきましょう」


 慣れているのか二人はすぐに戦闘の準備に取り掛かる。


「わかった」


 その二人に合わせるように俺も戦闘用の動きやすい服に着替えて外に出ることにした。

 外に出るとそこにはジャイアント級の魔族が一体と、人型の魔族が一五体いることがわかった。

 しかし、彼らは魔族であって魔族ではない。

 魔族の形をしたニヒルだ。

 すでに魂はニヒルに乗っ取られてしまっている。


「まさか魔族までやってくるなんて、厄介な時期を狙ったわね」

「私はあの高台から狙撃するわ」

「何、この程度なら侵入に入らない」


 俺は手を振り上げる。

 青白い閃光が走ると魔族たちが一瞬にして消炭となった。


「え?」


 魔族の体は非常に強靭だが、肉であることには変わりない。

 それに巨大な魔族が多くいたわけでもないからな。

 本気で攻めるつもりならより大型の魔族を突撃させた方が効果はあった。


「ふむ、それにしても手応えがなかったな。防御魔法も扱えない奴らだとは思ってもいなかった」

「……弱い敵だったってこと?」

「ああ、あの閃光は一万度を超える温度を誇っているが、防御魔法を使えばなんとか防げたはずだ」


 二人は呆然としたまま武器をしまうのであった。

 それにしてもこのやり方、どこかで見たことがある気がする。

 数で圧力をかけてくる戦術、有効かどうか分からないが警戒させるという目的では成功しているのかもしれない。

 まぁどちらにしろ、古いやり方なのには間違いないようだなが嫌な予感は的中した。

 この時代に来てまで戦争をしたいわけではないが、仕方ないだろう。

 これからはより戦いの場が増えることになることに俺はある覚悟を決めたのであった。 


   ◆◆◆


 私、レイ・フィンドレアはエビリスくんの部屋で一人で過ごしていた。

 何日も彼と会っていない。

 彼の横には私が必要なのに……

 そんなことを考えているとインターホンが鳴った。


「……誰かしら」


 扉を開けると、そこには兵士の一人が立っていた。


「レイ副隊長、お久しぶりです」

「確か、フレス一等兵ですよね。どうしてここに来ているのですか」

「ちょうど一人でお暇でしたでしょう。エスタ隊長も退院する予定ですので、私の家に来ませんか」


 すると、フレスはいやらしい目で私を見つめてくる。

 彼の目的は知っている。

 入隊した時から私に一目惚れしているそうだ。


「私はここの学生になりました。あなたの家に行く必要はないのではないですか?」

「いいえ、そういう訳にはいきません。軍規の一つにありますよね?」


 そういえばあったような気がする。

 軍人は公共施設に一人で長居してはいけない。

 これがどう言った意味なのか分からなかったが、おそらくここも公共施設の一つに入るのだろう。


「……わかりました。ですが必要以上に近づくと怒りますから」

「ふへへ、わかっていますよ」


 それから私はフレスと一緒に部屋を出る準備を始めたのであった。

 どうして私がこんな人と一緒にいなければいけないのだろうか。

 私だってエビリスくんと二人きりで過ごしたいのに、どうしてこんなことになってしまったのか。

 そんなことを考えていると『脱隊する』その選択肢が私の脳裏を過ぎった。

こんにちは、結坂有です。


これからはニヒルとの戦いに本格的に移行していく予定です。

そして、レイは脱隊を決意するのでしょうか。

次章は大きく変化しますのでお楽しみに。



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