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Another world...  作者: 珀夜
Discovery
2/19

わっひゃぁっ!?

ポン♪

「わっひゃぁっ!?」

妙に軽い音と共に感じる、仄かな浮遊感。と、すぐに背中に感じる地面の感触。

私、いったいどういう転び方をしたんだろう。前につんのめっただけだったはずで背中に感触を感じるような転び方はしていないはず。

「いったたた・・・何かに引っかかったつもりはないん、だ・・・け・・・」

頭を抱えながら起き上がる。その目の前に広がるのは空。空。空。ただただ青い世界。

前も上も、横にもなにもない。本当に、何もなくただ青色の世界。

「な、なにここ」

ゆっくりと右足を立て、次に左足。力の入らない腰を膝に手を置くことで支え、なんとか気力だけで立ち上がる。気持ちの悪いほどなにもない、ただただ青い世界。こんなの今の日本では考えられない。だからこそ興味が湧く。

一歩足を進め、また一歩。そしてさらにもう少し。

「なんにもない・・・いったいどういうこ、とおおぉぉぉぉ??!」

何歩目だったか、そこには何もなかった。目の前に広がっていた空と同じに。

ぐるぐると回りながら落ちる中、青・黒・青・黒と世界は回り廻り、混ざって黒くなる。

私何をしているんだろう? ココは本当に、現実ですか?

「あ・・・」

思わず声がでる。目に見えたのは、空に浮かぶ唯一の島の影と、今度は何も見えない黒でした。




「はっ?!」

がばっと効果音がでそうなぐらい、勢いよく布団を跳ね上げた。妙に息が荒い。

さっきみた夢は・・・なんだ?

「・・・汗が」

寝汗がひどい。これではシャワーを浴びなければ気持ち悪くてしようがない。

ノロノロと起き上がろうとするが、妙に身体が痛いことに気がつく。

「なに、これ」

傷を負ったような痛みではなく、筋肉痛特有の内側からくる痛み。我慢できないほどでもないのだが、身体が妙に熱っぽいのはこの筋肉痛のせいらしい。腕も足もお腹も背中も。全身が悲鳴を上げている。

さすがにこの状態はきついし歩けるどころか通勤なんてできようものではない。仕方なく休みの連絡を入れようと電話を

「あ、そだ。やめたんだった」

取ろうと身体を動かそうとする前に、辞めたという事実を思い出す。

それならばもっと寝てても問題ない、もっと至福を! とばかしに布団にもう一度倒れ込む。

冬の寒さこそ厳しいものの、室内の日当たりの良いココであればただののどかな空間に変わる。じんわりとくる暖かさに、久しぶりに笑えたように思えた。

「もすこし、ねて。そしたら彩に、連絡。とって・・・」

そのまえに、もうちょっと、だけ。寝かせて、ください。


もうちょっと、ほんのちょっと。

そう思っていた時期が私にもありました。

「なんで3日も経ってるのよ」

携帯を手に取り画面を見ればあの日からすでに3日経っていた。その間私が何をしていたのか全く記憶にない。

「本当に何をしていたの・・・」

何もわからないことが本能的に怖い、がそれよりも先にやることがある。

幸い3日という時間は筋肉痛の殆どを取り去ってくれた。だからこそ

「お腹すいた・・・」

3日も食べていないようであればこうなるだろう。2,3日食事を取らず水分だけということもやったことはあるが、そこまで酷い状態ではないように思える。

かといって家に食材などあろうはずもない。油断すると帰れずに腐らせ捨てることも多いため、食事のほとんどは惣菜でカバーしているし、日によってはその惣菜すら買わずに終わる。特に最近はブロックが多かった。

そんな自宅に食材なんてあるわけがない。であれば買いに行くか食べに行くかだが、時間を考えれば食べに行く方だろう。仕事をやめたおかげで時間の余裕もある。

まずは着替えて、それから財布を片手に。あとスマホ。

仕事に追われる日々に比べ、まったく急がなくていいこの状況は妙に心地よい。これならばなにも朝一番から出かけなくてもいいのかな? なんて思う私がいる。

「でも、それで引きこもるのもなぁ」

一気奮発、考えるより動け、ではある。幸いこのあたりには24時間開店しているバーガー屋やおいしいパンケーキを出してくれるコーヒー屋、半ば行きつけになってる牛丼屋(すぐ食べれるんだよ!)と結構揃っている。まぁ、歩くにはそれなりに距離はあるけれども。

「それもまた、楽しみになる、のかな? よくわからないや。」

元来であれば私は人と関わるのが好きだったはず。それがたかだか仕事をしているだけでこれだもの。日本って本当に面倒くさい。別の世界でもあればそっち行ってみたいね・・・。そんな事を考えながら玄関のドアに手をかけた。

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