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意識を集中する。そして力を行使した。
毎日毎日飽きるほど繰り返しているが飽きない。
この行為は、一般人にとってはさほど興味をひかないのかもしれない。ただ、私は異常なのだ。
そして再び意識を集中しようとすると、ふいに声が後方から聞こえてきた。
「うい、待たせた?」
男の声だ。
作業をやめ、振り向くと、髪は短く、少し強面風味、しかし若そうな男がやってきた。
私の友人だ。
「飯食おうぜ飯」
「今から?いいけど、金ないぞ」
「うるせ〜〜」
結局また自分だけパンになるのか。
そんなことを思いながら店へ向かった。
「ところでさ、さっきやってたのはなんだったの?割と気になるぞ」
「あ、あれはね...」
踊場は一回パンを飲み込み、水を飲んでから、
「''矢''の練習だよ。いつもやってんのよ」
「相変わらず手堅いというかなんというか」
「そっちはどうなん?」
「ああ、自分で言うのもなんだけど、順調。
このままなら...うん、2回戦はいけちゃうかな。」
「言うねえ。」
「ままっ、お楽しみよ。そっちはご自慢の矢で優勝だろ?」
「できたらこえーわ」
「じゃ、そろそろ出るか」
こんな感じで前日は終わった。
そう、今日は待ちに待った大会当日だ。
二回戦に進むんだ。そのために頑張ってきたじゃないか。いけるさ。