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scene9 マサト

挿絵(By みてみん)


「遠藤マサト」


突然ユウが口走った名前は、聞いたことのない名前だった。


あれから次の日、ユウは少し嬉しそうに私に話しかけてきた。


何かそんなにいいことがあったのだろうか。


「トニー事務所所属の読者モデル。何誌も専属モデルをやっているけど、芸能人ではないから知名度は低いな。俺も知らなかった」


「へぇ。その人もコンテスト出身者なの?」


「そう。5年前の同じコンテストに合格してる。この人は今日の夜、渋谷である雑誌の撮影をするらしい」


「そうなんだ!そんなところまで情報を掴んでるなんてすごいね!」


「いや、そうやって彼のツイッターに載ってただけだよ」


ユウは別にこんなことは何でもないとでも言うように、無表情に切り返した。

でも無表情に見えただけで、内心どこかワクワクしているようにも感じた。


「じゃあ学校終わったら行ってみようよ!ヤマトも誘ってさ!」


「そうだな」


そう言うと、ユウはいつも通りに、鞄から何やら本を取り出し、読み始めた。



よく考えたら、今夜はユウと渋谷デートってことだ!


ヤマトを誘おうって言わなければよかったと、いまさら後悔。


渋谷なんていつ以来だろう。


高校生に人気のある街なのに、ほとんど行かないのは、ユウが渋谷に関して全く関心がないからだ。


ヤマトなら何度も行っているに違いない。ユウと対称的に、流行りものが好きだからだ。


「ヤマトは来ないんじゃないか。そういえばあいつ、もう部活休めないって言ってたからな」


やった!

ユウと二人だけの方が嬉しい。


「じゃあ二人で渋谷いこうよ!」


「そうだな」


ユウは本を読みながら応えた。


私と渋谷デートより本ですか…。


ただ無神経なだけなのか、それとも私のことは何とも思っていないのか…。


こんな感じの態度だと、ちょっと自信無くしちゃうな…。


まあとにかくこれでデートが決まったわけだし、良しとしようと思う。

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