scene6 応募
次の日。
彼と一緒に教室に入ると、昨日と同じようにヤマトが出迎えた。
「今日も英語のテストあるっぽいな!サオリちゃん、やった?」
ヤマトは相変わらず明るく、英語のテストがあって憂鬱なんて感じでは、まるでない。
「昨日は喫茶店で英単語覚えたんだけど、全然覚えられなかったよ」
「サオリは雑誌ばかり読んでたからな」
ユウは面倒くさそうに言った。
「いいでしょ、別に」
そもそも英単語なんて覚える気はなかった。ユウと一緒に喫茶店デートがしたかっただけだった。
「何かおもしろい記事でもあったの?」
ヤマトが興味あり気に聞いてきた。
「読者モデル応募の記事があってね。ユウに、コンテストに一度参加してもいいんじゃないかなって話してみたんだけど、全然興味なさそうだったね」
その記事がインターネットにも載っていたから、そのページをヤマトに見せた。
「興味なんてないよ。モデルなんかして、何になるのか分からない」
相変わらず関心がない。
「へぇ~。しかもトニー事務所が監修してんじゃん!これはもしかしたらビッグな芸能人になれるかもよ!」
「興味ないね」
ユウは机を整理して、いつも通り図書館に行く準備をし始めた。
「じゃあ俺応募してみようかな!」
ヤマトが言った。
確かに、ヤマトでも合格できると思う。
でも、ヤマトは部活が忙しいのにできるのだろうか。
「ユウもやってみようぜ!落ちたら落ちたでいいじゃん!受かったら、すごいぜ!」
「お前、部活あるじゃん」
「それは受かったら考える!」
顧問の先生には、前もって話しておいた方がいいと思うけどね。
「ユウもやってみなよ!モノは試しだよ!」
ヤマトに併せて、ユウにすすめた。
本当は、ユウが応募して、受かってほしい。
「コンテストって何かするのか?」
お?
またちょっと興味を持った!
「うーん…大きく分けて3つ。書類審査、面接、公開投票だって!最後の公開投票っていうのが、この雑誌のイベントで、いわゆるコンテストね。それで、応募資格は健康な男子であることだって」
「ふーん…あ、先生だ」
「やべぇ、英語のテスト忘れてた!」
英語の先生は教室に入ってくるなり、昨日と同じテストをすると言ってテスト用紙を配り始めた。