scene5 説得
彼氏が芸能人…
ちょっと憧れる。
雑誌に載っているイケメンの彼が、自分の彼氏だと思うと、ドキドキする…
でも、人気が出ちゃったら、私のこと忘れて、どこかいっちゃうのかな…
なんて、想像したりしてみる。
ユウは私のこと、彼女なんて思ってないよね。
「覚えたのか?単語」
ケータイから目を離さずに、ユウが聞いてきた。
「休憩って言ったでしょ!この読者モデルが気になって」
「何にそんなに興味があるんだ?」
ユウが珍しく、前のめりに雑誌を見始めた。
「このモデルが何だって?」
「この人ってわけじゃないけど、読者モデルが彼だったらいいなってちょっと思っただけだよ」
「ふーん、そうか」
ユウは急に興味あり気に、しげしげと読者モデルを見始めた。
「来週の日曜日に、東京でコンテストがあるんだって!ユウ、行ってみたら?」
「いや、やっぱり興味ないね」
またケータイを見始めた。
これは全然興味ないな…。
彼を読者モデルに興味を持たせるには、どうしたらいいんだろう?
でも最初に比べて興味を持ち始めたのはなぜだろう…?
「早く英単語覚えてここ出るぞ。もう1時間もいるぞ」
雑誌に夢中になって、時間なんて気にしてなかった!
必死に英単語を覚えたけど、どうやったらユウを読者モデルのコンテストに応募させるかを、考えていた。