scene2 ユウとヤマト
私はサオリ。彼はユウ。
2人とも同じ高校の一年生。
雨の心配をしながら、学校に着いた。
2人より早く教室にいたのが、ヤマト。
「今日英語の抜き打ちテストあるってよ!ユウ、お前やった?」
「やってねーし、やんねーよ」
彼は面倒くさそうに返しながら、机に座る。
ヤマト。
彼が共通の友達。
共通の友達は、彼しかいない。
それは、私は何人か友達がいるけど、ユウはヤマトしか友達がいないのだ。
なぜって?
さあ…
ユウがヤマト以外の人と仲良く話しているところなんて見たことがない。
ただ、言えるのは、その友達ですらも無関心であること。
これは間違いない。
「まあ、お前はやらなくても出来ちゃうんだろうけど」
「さあな」
「サオリちゃんはやった?」
そう話しかけたヤマトと目が合う。
ヤマトも実はイケメンである。
類は友を呼ぶのか。
決定的に違うところは、性格。
ヤマトは明るく、落ち着きがない。
この2人を足して2で割ったら、普通の性格の人が出来上がると思う。
「全然やってないよ!本当にテストあるの?」
「やってないって言って出来ちゃうパターンかな?先生が昨日帰りがけにテストやるって言ってたらしいよ」
「範囲分からないと無理だよー。どの辺出るの?」
「昨日やったところと、あと単語かな」
「わかった!ねえ、ユウも一緒にやろうよ」
「俺はいい。ちょっと図書館に行ってくる」
そう言うと、席を立って行ってしまった。
授業開始まであと30分。
ユウはいつも暇さえあれば図書館に行く。
テストなんて全く関心なし。
それでいて成績優秀なんだから、どういう頭してんだろう。
「ほっとけって。どーせいい点取るんだから。あと30分だよ!一緒に単語だけでも覚えようよ」
結局ヤマトと英単語を覚えることに。
あーあ。
英単語覚えるなんて面倒くさいな。
結局、英語の抜き打ちテストはあり、ユウは100点を取っていたけれど、全く嬉しそうではなかった。