scene17 コンテスト③ 決勝選出
「ユウくん、凄かったね!」
アキちゃんは興奮気味に言った。
「バック転、格好よかった!」
「みんな普通にウォーキングだけやっていたのに、バック転したのは、輪廻─ロンド─のメンバーがやったからかなぁ」
でもバック転は思いついて即座にできる代物ではない。
その後のリュウジも、普通のウォーキングに徹していた。
後でユウに事情を聞いてみよう。
〈お疲れ様!きっと予選通過できると思うから、決勝戦も頑張ってね!〉
ユウにLINEを入れる。
決勝戦は、たった5人!
会場内の観客は、皆スマホをいじって投票していた。
**********
投票の15分が経過し、司会がステージに現れた。
「それでは皆さん!結果を発表します!」
「…ユウ!」
目を閉じて、神様にお願いする。
「決勝戦に勝ち残ったのは、この5人です!」
スクリーンに映し出されたのは、決勝戦に勝ち残った5人の名前だった。
そこには、ユウの名前があった…!!
「ユウくん入ってるよ!」
アキちゃんが嬉しそうにスクリーンに指をさす。
「よかった…!」
何だかもう優勝したような気分だった。
脱力…。
「サオリちゃん、よかったね!」
「うん!」
ふたりで両手をとって、自分のことのように喜んだ。
スクリーンをあらためて見直すと、そこにはリュウジの名前もあった!
さすがリュウジ…!
ヤマトの名前は、なかった…。
「ヤマトくん、残念だったね」
「うん、惜しかった」
何度も練習したウォーキングは、ヤマトが1番上手かった。
春日ジムの“オバチャン”には、トレーニングのおかげで、ヤマトは立派にモデルが出来たことを伝えてあげよう。
もちろん、圧倒的な盛り上がりを見せた、輪廻─ロンド─のメンバーの名前もあった。
「皆さん、投票ありがとうございました!それではこの5名が優勝をかけて最後のステージに上がりますが、その前に輪廻─ロンド─のライブをご覧下さい!」
司会が退出した後すぐ、輪廻─ロンド─がステージに上がり、パフォーマンスを始めた。
そこには、準備のためか、決勝に出るメンバーは欠けていた。
LINEをチェックする。
ユウから返信があった…!
〈なんとか決勝にいけたよ!すごい緊張するけど、頑張るよ!〉
準備中で忙しいはずなのに、律儀に返信をくれたのが嬉しかった。
決勝はどんなパフォーマンスをするのだろうか。
ユウはまたバック転をするのだろうか。
でもそれでは輪廻─ロンド─のメンバーには勝てないだろう。
優勝するには、輪廻─ロンド─のメンバーの絶大な人気を凌ぐ、何かをしなければ勝てない─────!
輪廻─ロンド─のステージが続く。
会場はすごい盛り上がりだ。
アキちゃんも、さっきまでのモデルショーを忘れたように、輪廻─ロンド─のステージに見入っていた。
もしかして、このモデルのコンテストは、もともと輪廻─ロンド─のメンバーの活躍を演出するためのものだったのだろうか…?
そんな気さえしてきた。
ユウ達は、ただの盛り上げ役の一員なのだろうか…?
輪廻─ロンド─の人気が上がれば、所属するトニー事務所はさらにお金を手にすることができる。
そんなロジックさえ、考えてしまう。
…でも、そんなことは関係ないか。
決勝は公開されたネット投票もあり、やりようによっては、十分に勝機はあるはず。
頑張って、ユウ──────!
輪廻─ロンド─のステージも、終盤に差し掛かっていた。




