貴女の名前は
さて行きますよ!
一日経過してまた新たな朝が来る...
永琳は目を覚まして目をこすりながら辺りを確認し昨日まで白狐だった少女を見て微笑む...
side永琳
「ふぁぁ...」
ベットの上で伸びをし横を見ると昨日まで狐だった少女が眠っている...
今の私の心は充実感でいっぱいになっている...自分の研究が成功し更に話し相手もできた。仕事の関係上他人を信用していないせいもあるけど...この子なら私と共に生活をしてくれるかもしれない...
「さて!朝ごはんでも作りましょうか!」
私は朝食を作るために台所へ向かう...
そして永琳がベットを抜け出した10分後ベットの中の少女が目を覚ます...
その顔はボーっとしており辺りを観察するように眺めている...
side???
「...う...う~ん...朝か」
...人に連れられて1日経過したか
まだ会ってそんなにたっていないがあの人に連れてこられて良かったと思う...
もうあんな生活はもうたくさんだ...二度と味わいたくない
「...さてあの人のところに行こうかな...これからお世話になるんだし...あれ?」
...おかしい私の言葉ってこんな感じだっけ?
そして心なしかいつもより周りの物が小さく見えるような?
ふと辺りを見回すと鏡が目に入る...あの生活でも見慣れたものだが何か映っているものが違う...
鏡には長い白い髪をした人間の少女?
目は赤く何もまとっていない...
おかしい...いつもなら狐の私の姿が出るはずだ...よく鏡を見るとその少女の頭には白い狐耳・尻には白い大きな尾がある...
「はて?」
人ってこんな感じだっけ?
まだ1か月しか生きていない私とて人間がこのような姿ではないことは分かる...
私は自分の体を確認する...
「うわ...」
自分の体を見ると人の姿になっていた...白い毛は耳と尾以外全て消えツルツルの肌をしている...
不思議と驚くようなことはなかった...
人生?何が起こるか分からないし何となく割り切っていた...
でも何故に私の姿が人間の姿になったのだろうか?
「...とりあえずあの人の所に行こうかな」
ベットを下りて私は部屋を出る...
side永琳
「フンフ~ン♪」
目玉焼きを作りながら私は鼻歌を歌う...
普段はこのようなことはあまりしないけど、これから過ごすことになる私のパートナーだもの...
せめて精一杯の歓迎はしないとね...
目玉焼き二つを皿に乗せ次はパンケーキの作業へ移る...
...たまたまあったパンケーキの素があと少しで賞味期限だから早く使ってしまおう...
パンケーキの生地をつくり焼く...簡単な作業ね...
「フフ!何かしら?今日はテンションが高いわね!!」
私は感情の赴くままにフライパンを大きく振ってフライ返しをする...
パンケーキの生地は天井すれすれまで宙を飛びフライパンの中に綺麗におさまる...
はずだった...
パンケーキは予想とは違う方向に向かい扉の方へまっすぐ飛ぶ..
「えっと~!ここかな...ワプ!?」
そしてタイミング悪く扉が開き入ってきた少女の顔にネチャとへばりつく...
「あ...」
「...」
少女の顔にはパンケーキの生地がべったりとついていて彼女は何も言わず立ちすくんでいた...
「...な...何これ?何か甘い匂いがするんだけど...」
少女は不思議そうに私を困惑したような目で見る...
マズイわ!!開始早々に今後の関係に大きな日々が入ってしまう!!
「ご...ごめんなさい!!早くお風呂に!!」
「え?ちょっと!!」
私は少女を担ぎ上げバスルームの中へ入りシャンプーを彼女にかけて頭を洗う...彼女の頭はどんどん泡まみれになり、大人しかった彼女も叫び声を上げる
「痛だだだー!!!シャンプーが目にー!!!」
彼女の断末魔が自宅に響く...
そして20分後私たちはバスルームから出て少女にサイズの合う白衣を着せ終わり居間へと向かう...
「...疲れた」
少女がぐったりとしてソファーに横になっている...
「ごめんなさい...大丈夫かしら?」
少女は微笑み手を振る...
「いや...大丈夫よ...今までの生活と比べたらずっとマシだよ...」
そういえばこの子仲間から孤立していたわね...一体どういう生活をしていたのかしら?
「そう...良かったわ...そういえば気分はどうかしら?その体も気に入ってくれた?」
少女は自分の体を確認する...
「これ貴女がやったの?気分はいいよ!こっちの方が楽だし貴女とお話しできるようになったよ!...一応連れて来てくれた時に言ったけどもう一度言うね!私を助けてくれてありがとう!おかげで助かったよ!」
少女はおじぎをする...
どうやら気に入ってくれたようだ...人間の体に対して困惑すると思ったけどこの子適応が早いわね...
「いいわよ...私の願いだもの...そういえばまだ私の名前を教えていなかったわね...私の名前は八意永琳...これから宜しくね!」
「...えいりん?...覚えたよ!名前かぁ...まだ私は名前が無いんだよね...」
そういえばさっきのパンケーキ事件のせいで忘れてたわ...この子に名前はつけていなかったわね...
少女は思いついたように私の方を見る...
「...う~ん!永琳がつけてくれる?私のご主人様だし」
「...私がつけてもいいの?」
私の言葉に彼女はうなずく...
...まぁ...もう決めていたんだけどね...
私は昔飼っていた犬のことを思い出す...小さな私の友達...貴女の名前を使わせてもらうわね...
「...暦...それが貴女の名前よ...どうかしら?」
「...こよみ...うん!とても良い名前だよ!気に入った!ありがとー!永琳~!」
暦は私に抱きつく...
この子は人懐っこいようだ...今後の生活も楽しくなりそうね...
「さてご飯にしましょ!お腹減ったでしょ?」
「そうね...じゃあ行こう♪」
私たちは朝食の準備をする。
これから長いこの子との生活が始まる...
神様...できることならこの生活が永遠に続くように願うわ...私からのお願いよ...
カシャ...
さて長い永琳との生活が始まります
ではこれにて