狐と投薬実験
今のうちに投稿です!
side永琳
自宅に戻り私はケースのふたを開け白い狐を出す...
白狐はケースの中から出て私を見上げて地面に座る。尾は振ってはおらず、まだ私のことを警戒しているように身を震わせている...
「ほら!おいで...怖くないわ...」
手招きをすると白狐はおずおずと私に近づき白狐は私の膝に乗り尾を振り始める...
(キューン!)
「フフ!良い子ね...」
まだ体が震えているが何とかなりそうね...
よく白狐を確認すると性別は女の子のようだ...
私は白狐の頭を撫でて近くのパイプ椅子に座り物思いにふける...
「さて...問題はこの子にいつ投薬実験をするべきかしらね...」
まだ出会ったばかりで絆がまだ完全にはできていない...この状態で勝手に投薬実験をしてしまうと今後の関係に深い溝ができてしまう...
あの薬は複雑な調合を必要とし更に時間が経っていくたびに徐々に劣化してしまう繊細なものだ...
いつこの問題に着手するべきか...
「ねぇ...貴女は私の事を信じてくれるかしら?」
「クゥ?」
白狐は首をかしげ疑問のような声を出す...
私の言葉を理解していないのは百も承知よ...せめてこのことは言わなくてはならない
私は白狐を抱えて青い液体の入ったフラスコを取り、深皿の中に入れて白狐の前に置く...
(クンクン...ペロペロ...)
白狐は深皿の中の液体を匂いを嗅いでいる...
警戒らしいものはない...
「...ゲプ」
薬を全て飲み干し白狐は軽くゲップをし私の方に来てすりすりと膝に顔を摺り寄せる...
「...え?」
...効果が出ない?
時計を確認するが5分・10分と経過していく、まさか薬の調合を失敗した?
「し...失敗!?」
馬鹿な...歴代八意家当主の中で天才と評されたこの私が...失敗?
おかしい!!この理論であっているはずなのに!!
頭の中が真っ白になり、力なくパイプ椅子に座る...
理論が間違っていないとすると調合でミスがあったか...またあの長い調合作業に戻らないといけないと思うと頭が痛いわ...
「ふぁぁ...」
白狐は私のことを気にせずに欠伸をしてゴロンと横になる...
「...シャワー浴びて寝よう...今日はもうやる気が起きないわ...」
白狐を寝室のベットの上に寝かせて私は風呂場へ向かう...
その1分後...一匹でベットの上で眠っている白狐に変化が起き始める...
小さな体は大きくなって人型になり形を作り終わる...
見た目は人間そのものになっているが狐のころのなごりとして白い狐耳・白い尾が残っていた...
そう...彼女が開発した薬は動物を人に変化させる効果を持つ薬...
天才故に孤独を味わっていた彼女の話相手を作るために開発したのだ
「むにゃ...」
しかし白狐は自分の体の変化に気が付くことなく、布団の中にもぐりこみ呑気に眠り続けていた...
10分後
「ふぅ...早く寝ましょ...?」
シャワーを浴び終え白狐の変化に気づいていない八意永琳がバスローブに着替え寝室に入ると彼女はある変化に気づく...
彼女の目線の先にはベットの上...布団の中でもぞもぞと動く何かだった...
白狐にしては大きい動きだったので彼女は息をのむ...
「まさか!」
彼女は布団をそっとめくり中にいた元・白狐の姿を見る...
side永琳
「...これは!」
毛布の中には長い白い髪の少女がいた...
歳は恐らく15~16歳くらいの体格で何も着ていない状態になっている...
これって...白狐よね?
少なくともここは私の部屋...私以外はいないはず...
でもこの子が白狐だったことが分かる...頭部には白い狐耳・尻には白いフサフサの尾がある...
「すぅ...すぅ...」
ベットの上で白狐だったものは寝息を立てている...
どうやら私の薬は効いていたようだ
「あはは...よかったわ!」
ベットに腰を下ろし私は彼女に毛布を掛けて隣に横になる...
残りは彼女が目覚めた後にどんな反応を示すだろうか?気に入ってくれると嬉しいのだけどね...
「明日...貴女に名前を付けてあげるわ...お休み...」
彼女を抱きしめて私は眠りにつく...
これからの生活が楽しいものになることを願いながら...
2話目終了です!
過去編はある程度書き溜めがあるので
ゆっくりと更新します
ではこれにて