プロローグ 狐と月の頭脳との出会い
東方大神五行伝の過去の話を始めます!
side???
...私は何故存在している?
そんなこと誰にも分かるわけない...
...生きているのは幸運?
それは人による...それぞれの価値観で決まる物だ...
他人と違うことは良いこと?
ほとんどの人はそれは当然と思うだろうが私はそうとは思わない...
他とは違う色をしているだけで孤立し心を傷つけるなんて私にしか分からない...
ついているようでついていない...この生を受けた私...
私の目の前には一人の人間がいる...
(...)
何を言っているか分からない...
次は幸運が来るのか...不運が来るのか私には分からない...
でもできることなら...誰か私を救ってほしい...
時は大昔...
現在月に住んでいる月の民がまだ地上にいた時の相当昔の話になる...
ここはハイテクな機械やビルが並ぶ大きな町...文明が発達し月の民になる物達が多くこの町に住んでいた...
そして町の一角にあるとある研究所...その研究所の一室にはある女性がいた。
彼女の名は八意永琳...幼きころから天才と呼ばれ史上最年少で王宮の専属薬師になったという経歴を持っている...
彼女は自分の研究室である薬品を開発していた...
side永琳
「...出来たわ!」
フラスコの中で水音をたてる青い薬品を見ながら私は調合書を机に置く...
机にある時計を見るといつの間にか朝の9時...
相当時間をかけてしまった...
只の風邪薬なら数分で終わるけどこの薬品はそんな普通の効果ではない...私の偉業の一つにのるかもしれない研究成果なのだから
「理論上ならこれであっているはず...」
一応理論上の話であり、まだモルモットには試していないが一番の問題はそのモルモットをどれにするかが問題である...
モルモットも心・感情を持つ...私と気の合う子を選別しないといけない
「残りは選別ね...さて今の時間ならペットショップは開いているかしら?」
白衣を脱ぎ外出用のコートをまとい私は近くのペットショップへ向かう...
研究所の近くにあるペットショップ
「あ!八意博士!いらっしゃい!いつもの実験用のネズミかい?」
店に入るといつもの店主が挨拶をする...これも見慣れた光景ね...
「いえ違うわ...今日は別件よ...お邪魔するわ...」
店の奥へ進み様々のコーナーに向かい...
犬コーナーで足を止める
「犬か...懐かしいわね...」
子供の頃犬を飼っていたこともあったわね...
幼いころから勉強漬けだった私の唯一の心の救いだったのがペットであった犬の存在...
病気で死んでしまったけど...あの子との生活は忘れることのできない貴重な思い出になったわ...
人と動物の寿命の差は大きい...いつかは別れなくてはいけないのが一番辛い...だからこそ私はこの別れの壁を今までの研究成果で越えて見せる!!
そんなことを考えながら進んでいくと本日のおすすめと書かれている札を見つけ足を止める...
その札の近くには大きなゲージがあり、その中には一匹のメスの狐と9匹の子狐がいた...
それぞれ母親のところにすり寄っているが1匹だけゲージの端でうずくまっている...そしてこの子...体毛の色が他の狐と違う
「...白の狐?」
その子狐の体毛は白く目は赤い...
まさかこの子アルビノ?
「珍しいわね...」
...アルビノとは動物学においてメラニンの生合成に関わる遺伝情報の欠損により先天的にメラニンが欠乏し体が白化する個体のことをいう...
これはかなり低確率で起こる症状...まさかこの目で見れるとは思ってもみなかったわ...
「そいつが気になりますか?」
後ろを向くと店主が笑みを浮かべながら手を揉んでいる...
「...この1匹だけアルビノみたいね」
「ついこの前生まれてね...そしたらこいつだけ白いから驚いたよ...これは高値...ゴホン!珍しいと思って置いているんだ...まぁ誰も見向きしないがな」
「へぇ...」
「キュ~ン...キュ~ン...」
「グルルル!!」
白狐は他の狐のところに向かおうとするが他の狐たちは全力で威嚇を始める
「!?」
「あ~...いつものことだ...こいつだけ皆と孤立しているんだ...全く動物にも差別があるのかね~」
「キューン!!」
もう一度ゲージを見ると親狐に白狐が咥えられブンブンと振り回されているのを目の当たりにする...まさか実の親にすら...
「こら!やめんか!自分の子を!」
店主は白狐を他のゲージに移す...
この子も一人ぼっちか私とよく似ている...
天才と呼ばれている私は周りからの嫉妬などにより孤立しがちだった...この子は自分の毛色が違うというだけで周りから親すらも避けられている...
私の足は自然と白狐の入ったゲージの方へと向かう...
「ねぇ...その子いくらするの?」
「こいつかい!?高いよこいつは...」
店主はゲージの札を指差す...
確かに0の数が多い...でもこの子は私と同じ...
これから長いパートナーにするには丁度良い...こんなところに置いておくわけにもいかないし
「...支払いはこれで」
私は店主にブラックカードを手渡す...
「ありがとうございました!」
店の外を出て私はケースの中を確認する...
「キュ~ン」
中には白い狐が入っている...隅の方で体を震わせている...
少し痛い出費だったけど...
この子なら私の気持ちを分かってくれると思う...
この子を見ているとあの子の事を思い出す...私の癒しであったあの子のことを...
「貴女はわかってくれたものね...暦...さて行きましょう!」
私はケースを持って自宅へと帰省する...
まだプロローグ
ではこれにて