25.姉妹のご対面②
どうも、フレィです。
再び俺の登場ですんません。このケンカを見てたらイディアを起こすタイミング逃して呆気に取られてます。
「それで、姉さんは今までなにやってたのよ!!」
「何って、そんなキンキン声で叫ばれたら何にも言えないじゃなぁーい」
「そんな事、言ってもしょうがないでしょ!!」
「まぁまぁ、エーア落ち着きなさいってぇ~」
……いや、ケンカというよりは、ばばぁが一方的にキレてんのか。
まぁ、そのケンカのお陰で光から脱出したのに気づいてないから、俺に火種が飛んで来てないんだけど。
ばばぁが来たら、イディアを起こすって約束したから起こした方がいいよな?
イディアに今、近付いたらばばぁの癇癪にまた触れたりしないよな?
いや、俺がイディアに近付くよりばばぁに声かけて起こしてもらった方がまだましか。
「……あのう。お取り込み中すいませんが、エーア様?」
「あ? なによ、フレィ!!」
「いや、エーア様が到着したら起こすとイディア様と約束してたんですが…。エーア様が来るのを待ちあびてたので到着早々、申し上げ難いのですが母上のエーア様が起こすのがいいかと思いまして」
「あ、そうね。私が起こした方がいいわね」
ちっ。なんで、俺がばばぁを媚び売って立てなきゃいけないんだ。今の俺だったら普通はばばぁが媚び売る側じゃねぇの?
女ってめんどくせぇ…な。
「フレィくんも大変ね…」
「そんな同情すんなら、ばばぁと一緒になって水を振り撒くなよ」
ラースに言わればばぁに吐けない毒をはいてみる。
ばばぁよりこの人の方が文句言いやすかもしんない。
「んー…、良く寝た気がする。ママ、キズ治してくれたの? ありがとう」
「当たり前じゃない、可愛い娘の為よぉ!!」
ギュっとイディアを抱きしめる、ばばぁ。
そんなに可愛いなら、イディア置いて1人で旅に最近までしてたんだよ!! 途中まで出てた言葉を飲み込む。
「エーア、まだ飛べるの?」
「当たり前でしょ!! イディアをお城に連れて帰るためにここまで来たんだから!!」
「あらそう…? じゃあ、そのお城まで私も付いて行っていいのかしら?」
「しゃくだけど、そのつもりで私はずっと探してたんだからヤダって言っても連れてくわよ!!」
俺とイディアは2人の会話について行けなくて、ぼーっと姉妹の会話を黙って見る。
「じゃあ、出発するのかしらぁ?」
「そうね。さっきまでケガしてたイディアは私が乗せてくから、姉さんはそこに居るあなたのノロマの息子連れて来てちょうだい!!」
…あ!!
俺とイディアが聞きたかった事をサラっとばばぁ言いやがった!!
「あら、まぁ、エーアそんな風に思ってたの? まぁ、いいわよ。息子と同じようなものだし、ほらフレィくんさっさと乗ってちょうだい」
「ちょっ、姉さん?! 息子と同じようなものって息子じゃないの?!」
そういや、4人とも兄弟で母親が違うと言った。
親の事は父親が黒竜って事を少しだけ匂わされただけではっきり聞いてないけど。
ばばぁとイディアは今初めて聞いてビックリしてるんだろうけど、俺はさっきちらっと聞いてたからそんなには驚かないけど。
「それを話すために、今からお城に付いてくって言ってるんじゃないのぉ。エーアは本当にキンキンうるさいわねぇ」
「うるさいって……。わかったわよ!! 黙ってればいいんでしょ!! 黙ってれば!!」
うん。本当にうるさいから静かにしとけばいいと思うよ。
……って、本当に静かになった。
うん。静かっちゅうか、黙って黙々とばばぁとラースは飛んでる。
空気が悪すぎて、気分転換にイディアに気で話し掛けてみる。
『お、おい。イディア? 静か過ぎて怖くねぇか?』
『う、うん。ママにさっきから少し話掛けたんだけど話は城に付いてからって言われたから「もぉ、話さない!!」らしいよ…』
左様でございますかい。
ただの意地で黙ってるのかよ…。
******
「ふぁっ~…!! やっと、付いたわぁ。エーアが結婚するって準備に来た時に来たっきりだから、何年ぶりかしらぁ~」
「フレィ、さっさとウォスタを連れて来なさい」
「はいはい」
まだ、機嫌わりぃのかよ。
あれか? 人で言う更年期…にしては、ばばぁはまだ早いか。
ん? 目の前から人が走って来る。
「あ、おい?! ウォスタ?!」
「なんだよ。離せよ!!」
通り過ぎようとした、ウォスタの腕を掴むとこいつも機嫌が悪い。
「離せって、どこ行くんだよ」
「イディアちゃんの所だよ。お前と一緒に居たのにケガさせたんだって?」
バッと俺の腕を振り払うウォスタ。
「今はイディアのとこに行くより、ばばぁの姉ちゃんのとこ行った方がいいと思うけど」
「姉ちゃ…、エーア様の姉が見付かったのか?」
「そうだよ。それに、イディアはキズはもう治ってるし、今は部屋に帰して寝てんよ」
「ちっ。何処に居るんだよ。その姉って人は」
舌打ち…。なんだよ、こいつもイディアにマジなのかよ。
あー、俺とイディアが出掛けたちゅうのもウォスタにとっては面白くないもんなぁ。
一緒なったのは偶然だったけど。
俺だって、カラスには感謝してたんだぜ? 俺が倒れてたの見付けたのカラスだって聞いてたし。
あの時は、あいつと話せなかったからちゃんと話してみたかったんだよ。
それで、こっちに来るっちゅうなら連れて来るつもりで。イディアは、連れて来る気はなさそうだったけど。
…イディアに入ってるウォスタの気も遮断したままだった。
あー…、それでもキレてんのかもしんない。ま、いっか、俺が居なくなった後、ちょくちょく会ってた
って言ってたもんな。
「エーア様っ!! 見付かったって?!」
ばばぁの顔を見付けるなり声を上げるウォスタ。
「ウァスタっぁぁぁ!!」
「はいっ?!」
ラースがウォスタに抱き付く。
「な、なんですか、あなたは?!」
ウォスタはビックリしてラースを引き離そうとする。
なるほどな、ラースはウォスタの母親ってとこか。
「息子に抱き付いて何が悪いのぉ?」
「む、息子って…あっちに抱き付けばいいじゃないですか!!」
「あっちって、フレィくんの事を言ってるなら違うわよ?」
「はっ?!」
あっちに抱き付けって…
固まるウォスタからそっと離れてラースはこっちを見る。
「何よ。フレィくん、少しは話しといてくれてたっていいじゃない」
「話とけって…」
「まぁ、いいわ。話をしましょう。みんな、座りなさい」
ばばぁとウォスタはムスッとした顔して座る。
「ま、とりあえず、フレィくん。さっきあった事とあなたに話した事を先に、話してちょうだい。私お腹空いたから、エーア何か美味しい物を食べたいわぁ」
「俺に丸投げかよっ!!」
…軽いよ、ラース。