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23.姉さん登場?!

 

「――ハイっ。ドーン!! っとな」


 …え、何この陽気な掛け声は? 


 地上から知らないお姉さんの声と同時にドーンと水が空から大量に振って来る。

 ただ水が降って来た事に驚いたのか、そのお姉さんの登場に驚いたのかイディアに噛みついてたのを、黒竜はパっと離した。


「二十歳やそこらのクソガキがそこの2人に手出してちゃダメでしょぉ~?」 

「なんで、お前がここに…っ!!」

「あら? 義母にそんな態度取っていいのかしら~ん?」

「お前はただの裏切り者だろうが!!」


 な、なに?! この状況。黒竜に義母とか言ってるお姉さんは見方なの敵なのどっち?


「はーい、イディアちゃんはボーっとしてないで、さっきバーンってさっさっとやって包んじゃってちょーだ~い」


 えっと。えっと? 竜の姿のままでさっきのって出来るの?! 


「ちっ。そう簡単に、あれをやらせてるわけねーだろが」


 あ、あ、あ、あ、せっかくあのお姉さんに気を取られてた黒竜が私に顔を向ける。


「きゃああああっ!! 来ないでぇぇぇぇぇっ!!」

「はっ?!!!」


 叫んで逃げようとした瞬間、無意識に翼に力が入って気を籠めてたのか羽ばたいた瞬間にバチーンと音と同時に眩しいほどの光が黒竜に向かって落ちてバチバチと音を鳴らしてる光が包む。


「な、なんでだ?! うわっ、はっ?!」

「バカねぇ、さっきのイディアちゃんの気が当たったのが効かなかったって思ってるなら勘違いよ。まぁ、そんな事を教えてあげる義理はないわね」


 あ、竜の姿でなんであれが出来たのか呆気に取られてる場合じゃなかった。

 早くフレィとここを逃げ出さないと。

 フレィのところまで急降下すると自力で抜け出せたみたいだけど、体力の消耗をかなりしてるみたいでぐったりしてる。


「イディア、誰だあの女」

「し、知らないけど助けてくれたんだと…」

「はいはい、下らない会話してる場合じゃあないわよぉ~。ブランがあれから抜け出すのも時間の問題だからねぇ」


 チラッと頭上の黒竜の方を見るとビリビリと光ってる中で声を押し殺してもがいてる。


「お前らぜってぇに、捕まえっからな!!」


 なんで捕まえられないといけないんだろう…? 


「ほら、行くわよ!!」


 パクりとお姉さんは、フレィを銜えて水竜の姿になって飛び立つ。


「お、おい!! なんなんだよ、あんたは!!」

「あ、あ、待って!!」


 フレィを銜えてるからかお姉さんは、喋らない。

 私も翼を噛まれたせいでただ黙って飛ぶことしか出来ないけど、私を撒いて逃げようとしてるわけでもなさそうだから必死にお姉さんの後を追った。



 ******


「あなた達ってば、無防備ねぇ~…。まぁ、ここまで来れば大丈夫かしら」


 どさりと銜えてたフレィを降ろして人の姿になるお姉さん。


「無防備って…、だからあんたは誰なんだよっ!!」

「ふ、フレィ、一応は助けてくれたんだから暴言は…」


 空を飛んでる時は怪我をしてる私のスピードに合わせてくれてはいたけど、フレィとかウォスタさんよりはスピードは速かった。


「う~ん。察しが悪いわね…。イディアちゃんは私とハグした仲じゃなぁい」


 …ハグ? いつ、ハグなんかしたっけ? ニコニコ笑うお姉さんの顔をジッと見る。


「あ、ハグした時…そういえばイディアちゃん気付いて無かったわね、私が錯覚使ってたの」

「んあっ?! ママの偽物っ?!」

「あ、ピンポーン。エーアの姉のラースよっ」

「「姉っ?!」」


 フレィと私は同時に声を上げる。

 って事は、フレィとウォスタさんのママかもしれないって事?!

 フレィはラースさんを睨み付ける。


「あら、怖い。そんな、睨まなくても何もしないわよ」

「そんなの、わからないだろ」

「えー。せっかく、逃げるの助けたのに」


 なんと言うか話し方は違えと、ノリがママとなんとなく似てる気がする。


「イディアちゃんまでそんな怖い顔して見ないでよぉ。寂しいじゃなぁい」

「…あ、いえ。そのラースさんはお子さんはいますか?」


 それを問うと目を丸くして驚いている。


「あら、そこまでバレてるの? うふふ」

「え、じゃあ…」

「今は当事者が揃ってないんだから、話すのはちょっと違うんじゃないかしら? まぁ、敵ではないから安心してちょーだい」

 

 当事者が揃ってないって、ウォスタさんの事を言ってるのかな?


「敵では無いって証拠は?」

「証拠ー? そんな物ないわよ? あっ、エーアにこの場所を気で伝えて呼びましょうか。さっきの場所からお城に戻った方向に来たから、早ければあの子だったら今夜中には来れるんじゃないかしら、ちょっと待ってねぇ」


 私たちから少し離れて黙り始めたラースさん。


「おい、イディアあれって本当にばばぁと連絡取ってると思うか?」

「わ、わからないけど、悪い人じゃない気はするけど…」


 コソコソ2人で話してると後ろから


「ねぇ、2人ともエーアが「イディアと会話出来ない!!」って、私が何かしたのかと思ってかなりの権幕でキレてるんだけど…」

「え?! なんで話せないんだろう…」

「へぇ~? なんで話せないのかイディアちゃんもわからないの…。ねぇ? 何かフレィくんなら知ってる?」

「いや、あ?! まじで、あんたエーア様と会話出来てたのか?! な、なんで会話出来ないんだろうな? あは…あはははっ」


 私の背中を笑いながらバシバシ叩くフレィ。すると、突然


『イディアっ!! 大丈夫なの?!』

『ママっ!! ちょっと怪我したけど…大丈夫』

『姉さんになんかされたの?! それともフレィになんかされたの?!』

『怪我は…えっと。黒竜? にさっき噛まれちゃって、そこでラースさんが助けてくれたの』

『あら…さっきね。そう、じゃあ姉さんの言った事は本当だったのね。じゃあ、犯人はフレィなのね…』

『え? フレィは黒竜じゃないよ?!』

『別件の話よ。別件。怪我してるのよね? すぐに行くから、そこに居なさい』


 嵐のようなママとの会話に固まってるとラースさんが声を掛けて来た。


「エーア、なんだって?」

「えっと、犯人はフレィって話は別件で、すぐに来ると…」

 

 ラースさんの問いに答えるとフレィが一気に青ざめる。

 そんな顔をしてるラースさんがフレィに小声で話しかけてる。


「なんで、エーアの気まで遮断させてるのよ。母親は子供の気の気配には敏感なの習わなかったの? フレィくん、あなたバカね…」

「バカって…、はい。認めます」


 フレィが何かラースさんに言われたみたいで小さくなってる。

 でも、さっきよりはフレィのラースさんに対する嫌悪感は無くなってるようにも見える。


「えっと、それであなた達2人で何してたの? もしかして、フレィくんが無理矢理と連れ出したとかではないわよね…?」

「いえ、違いますよ。何故か行先が同じだったと言いますか…」

「こいつが。勝手に付いて来たんだよっ」


 勝手に付いてきた来たって…私は行く意味あるけどフレィにはあんまり行く必要ない所じゃん。

 前に一緒に住んでた場所でもないんだから。


「まったく…。エーアには、あなた達の事を当分は外に出さないように言ってあったのに」

「ママと連絡取ってたんですか?!」

「えぇ。外であなたの子供達を見付けたら、私がただでは帰さないわよって、あなた達がお城に着いた日あたりかしら? かなり久しぶりに夜に気で伝えたわよ。それだけ言って遮断したけど」

「帰さない…」


 そんな脅し方してれば、さっきのラースさんに対するママの反応もおかしくないのか。

 

「で、ラースさんは、イディア迎えに来たのかよ?」

「あら、何かしらその話。寝耳に水ねぇ? えっと、私が今まで黒竜の近くに居たことが関係してるのかしら」

「近くにやっぱり居たのかよ」

「否定はしないわよぉ。まぁ、その話は後でちゃんとするからイディアちゃんは怪我してるんだから少し休んだら?」

「で、でも…」


 助けて貰ってありがとうございます!! って感じだったんだけど、本当に信用していいのかまたわからなくなって来ちゃった…。


「まぁ、初めて会うに等しいんだから信用しろって言うのも変な話よねぇ~。一応は言っとくけど、何もしないから安心しなさい?」

 

 どうすればいいかわからなくて、フレィの顔を見る。


「いいんじゃね? 俺の後ろで少し寝てれば?」

「フレィがそう言うなら…」


 少しだけ横になろうかな。


「ばばぁが来たら、起こしてやるから」


 そっとフレィが私の目に手を当てると、気が緩んだのかスッと眠りに落ちた。


 


 

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