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18. 闇の気

 

 フレィが叫び出した瞬間、ママとウォスタさんがフレィを羽交い締めしながら口を押さえつけて、なんとか叫び声が響き渡る事は避れたみたい。

 だけど、フレィはまだイライラしてるようでブツブツ文句を言ってる。


「そのせいで、俺は2回もワザワザ子供をやらされたんだぞ?!」

「まぁ、いいぢゃない? そのお陰で、イディアに気を入れてもらって闇の気なくなったんだから」

「……そりゃ、そうだけど」


 ママの言葉に言葉を押し殺すフレィ。


「それに、あの時に村を燃やした火竜は確か闇の気が確か入ってたのよね? あなた」

「あぁ、確かに入っていたね。連れて来るときにフレィは気付かなかったのか? それに、ウォスタも」


 フレィもウォスタさんも2人とも気付かなかったと返事してる。

 

「結局、なんでその竜は村を燃やしたの?」


 まさか、闇の気がやらせたとか言わないよね? 闇の気のせいで、悪い竜になりました!! って言ったら、子供騙しなんて言えないよね。


「それがね、覚えてないって言うんだ。なんで、この国に居たのかもわかってなくて混乱していて、気絶する前に光竜を見てハッとしたって言ってたが、それはイディアだろ? まぁ、記憶があやふやだったから気のせいだったのかもと、勝手に納得はしていたが」


 同族じゃないと気を抜かれて気絶してる竜を本来は気を入れてもすぐに起こせないらしい。

 光竜は、種別問わず気を入れて起こす事が出来るというのは昔の書物と私がフレィに気を入れて起こしたから、実証済みだって。

 だから、フレィがお城にその竜を連れて来てから、フレィが気を入れてその竜を起こしてからその日に話を聞いたらしい。


「その竜は、火竜の国で弱ってる竜に気を入れてくれと女に頼まれて、その場に行ったあたりから記憶がないと言ってたな。気を入れに行ったつもりが、もしかしたら入れられた可能性もあるな」

「…その女って、もしかして?」

「きっと、イディアちゃんが会ったクラウディアかもしれないね」


 火竜に気を入れてもらいたいって事は、その竜も火竜だったって事だよねぇ。

 その竜に気を入れてと頼むって事は、その女の人にとって…


「その気を入れて欲しい竜って頼んで来た人の大事な人って事になるのかな?」

「じゃあ、その頼んだのが偽クラウディアだったなら…」

「俺らの本当の父親かもしれないって事か」


 ウォスタさんとフレィはなんだか複雑な顔をしてる。

 子供は大事な子だとしても、自分の手元に居る訳ではないから他に大事な人がいるとしたら旦那様かもしれないって事になるのか。それに、気を入れて欲しい人が火竜ならウォスタさんにも火竜の気がある事も理解出来る。

 

「そこで、気を入れに行ったのにその火竜の記憶がそこから飛んだって言うのはおかしいわよね。そこに居た人がきっとなんかあるわね。まったく、行方不明になった挙句に変な男に姉は引っかかったって事でイディアが必要かもって事で迎えに来ると私は思ったわけよ。姉は私が光竜になったとは気付いてないと思うし」


 ママはお姉さんを探して、見つけれて会ってないから気付かれてないと思うってわけか。

 じゃあ、なんで私の名前を知っててママの振りが出来たんだろ? あ、コーか…。私と同様ママだと思って話かけたのかもしれない。それなら、納得出来る。


「それより、光竜の気を入れれば闇の気が消えるかもしれないけど、闇の気をイディアに入れられたらどうなるかわからないから、イディアのお披露目までに対策をみんなで考えましょう。だから、イディアは特に警戒して過ごしなさい」

「わかりました」


 パパに言われて素直に返事をする。そっか…入れられたらわからないのか。


「話も繋がった所で、今日はお開きにしようか? みんな疲れてるだろう。お披露目まで時間もあるし、みんなユックリ過ごしなさい」


 パパの一言でこの場はお開きになった。



 *******


 ――――ぉ……ぃっ……お…いっ…


 ……ん? なんか…呼ばれてる?


「……あー。ひゃい?」

「寝ぼけてんの?」

「コー、ご飯ならもうちょっと……」

「あ? 何言ってんの?」


 あれ? ここには、コーもヴァンも連れて来てない。男の人の声…? 男の人の声っ?!


「くあっ?! きゃあっ」

「お、おいっ?!」


 寝てたベットから誰の声か確認しようと起き上がろうとしたら、目の前に誰かの顔があったのかゴチンと音を立ててぶつかった。


「いてててててっ…」

「お前、急に起き上がるなよっ」


 おでこを押えながら、声の主を確認すると私と同じようにおでこを押えながらこっちを見てるフレィがいる。


「なんで、フレィがここに居るの?」

「なんでって、久々に会ってちゃんとした会話してないから話そうかと思って」

「まだ、暗いよ…って、暗い? 暗い?! え、あ、え、あっ?!」


 えっと、落ち着け私。ここは、私が休むために用意してもらった部屋です。そして、私は今ベッドの上に居ます。そして、私はナイトドレスを着ています。そんでもって、フレィは男の子です。


「ちょっと、待て!! なんも、今はしねぇよ」


 掛け布団を抱えてフレィを見ると、私が思ってた事に気が付いたのか慌てて弁解し始めた。


「う、うん…」


 何を話すんだろう…。

 なんだか、気まずくてお互いに沈黙になる。


「…イディア、あの時に俺がお前の前で初めて竜になった時、なんで泣いたんだ?」


 ポツリとフレィが言葉を発する。 

 あ、あの時はフレィに自分が光竜ってバレちゃいけないと思って適当な事を言ってたんだっけ。もう、隠す必要ないし話てもいいのかな。


「嬉しかったけど、寂しかったから?」


 何言ってんだ? って、顔でフレィは私の顔を見る。


「私、竜って事を隠して暮らしてたから、気を読まれたら光竜ってバレちゃうから普通の人より竜って身近に居なかったの。人より竜と話した事ないし、だから竜の友達も居なかったし。でも、フレィが竜なら一緒にいちゃダメなのに、フレィと離れるのも嫌…。みたいな感じだったんだと思う」


 その後にウォスタさんと知り合って、時々だけど話し相手になってくれたりしたから寂しいってあまり思わなくなってたけど。

 あれ? フレィ顔を手で覆って、何してるの? なんか、変な事言って怒らせた…? 手で顔が隠れてるから表情がわからない。


「…フレィ?」


 私が名前を呼ぶと、ベッドに腰掛けてた私の横にフレィも腰かけて私を抱きしめた。


「バカだな。もう、寂しい思いはさせないからな?」


 耳元でフレィがそっと囁く。あで? なんで、抱きしめられてるんだろう。

 …でも、フレィも大きくなったなぁ。フレィの腕の中に私がスッポリはまってる。フレィの成長した姿見れないと思ってたけど、こうやって目の前に居て見れるなんて思ってなかった。

 昔も可愛い顔してたけど、こんなにイケメンさんになるなんて。なんだか、少しドキドキする。


「なぁ、俺の気もっかいイディアに入れてもいい?」


 キスか胸を触らせるって事…だよね? あれ? もう1つなんか方法あるんだっけ?


「キスと胸を触る以外ならいいよ?」

「イディア、それ本気で言ってるのか?」


 抱きしめてた手を緩めて私の顔を見るフレィ。


「あー、いやー、でもなぁ…。うん。あー」


 ブツブツ何か呟いてるフレィ。別にフレィの気を入れられるのは嫌じゃないけど、キスとかは恥ずかしいし。


「キスしないで、胸も触らないで気を入れれるんでしょ?」

「そりゃあ、俺は出来るけど…イディアそれは初めてだろ? 多分、痛いよ? だったら俺はちゃんと痛くないようにしたいけど」

「痛いのっ?! 知らなかった…」

「あー、でも、キスはしたいんだけどなぁ」


 なんか、私とフレィの話が噛み合ってないよね? キスしないで、初めては痛い…? 

 でも、キスはしたい? 初めては…痛いっ?!


「ちょっと?! フレィ?! そそそそ、それって?!」

「ん? セックスで気を入れればいいんだろ?」


 せせせせせ…。そ、そりゃ、話が噛み合わないはずだよ!!


「フレィのバカぁぁぁぁぁ!! 部屋から出てってぇ!!」

「え? あ? おまっ…、わかってて言ってたんじゃ?」


 背中を押して無理矢理、部屋からフレィを追い出す。危うく、フレィに流されるとこだった。

 普通に言ったよ、フレィ。キスもそう言う事も好きな人とやるものでしょうが!! フレィの事は好きと聞かれたら好きだけど、子供の姿のフレィであってその好きだって家族的なもので…


 …今のフレィの事はよくわからないよ。





 


 


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