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17. 黒竜?

「だって、イディアが風呂のやり方知らないとは思ってなかったんだよ…」


 ウォスタさんとママにお説教されて、小さくなってるフレィ。

 なんか、フレィのキャラが崩壊してる気がする。もっと、威厳があったような、なかったような…。


「ノックして部屋に入るとか思わないわけ?!」

「まったく…。客人が来てるってもう少しで城の中の人にバレる所だったじゃないか…」


 私とママとフレィが来てるって言うのは、ごく一部の人しかまだ知られていないみたい。


「──…失礼します。お食事の用意が出来ました」


 侍女の人が私達を呼びに来てくれた。この侍女さんは、お城で一番偉い侍女さんのミュアさんって言う人らしい。

 さっきも、浴室事件の時に着替えの洋服を持って一番に駆け付けてくれた人もミュアさん。

 それにしても、偉い侍女さんなのに若い。同じ竜なのかな?


「ミュアさんは、竜ですか?」

「いえ、私は旦那が竜なので普通の人よりちょっと長生きさせて頂いてます。ここの侍女達はほとんど、人でございますよ」


 ニコッと笑って答えてくれた、ミュアさん。


 ウォスタさんによると、ここの侍女さん達は殆どが竜と結婚してる人か、竜との間に出来た竜の力を持てなかった人と言う事らしい。

 

「さぁ、こちらです。オゥク様もお待ちです」


 笑顔で扉を開けてくれるミュアさん。ママを先頭にご飯が用意してあるという部屋に入る。

 そんな広い部屋でもなく、ここの人数が収まるだけのテーブル。

 お城だっていうから、なんかも本で見たやつだと大きいテーブルに離ればなれに座るとかだったらどうしようかとちょっと心配したけど、この広さなら緊張しないで食べれる。


「さっきは、すまなかったね。イディア」

「いえ、大丈夫です」

 

 少しビックリしたけど、洋服も可愛いの着れたから大丈夫。


「さぁ、みんな適当に座りなさい。この食事は僕が作ったんだ、沢山食べなさい」


 みんなが座り始めて、空いてる席に座る。

 これ、パパが作ったのか…。凄いなぁ、お城の掃除とか普通にしちゃう位だから家事好きなのかな? 

 

「ほら、イディア? ボーっとしてないで早く食べなさい」

「うん。いただきます」


 いただきまーす、いただきまーす…。って、パパの視線が痛いよ!! もうね「早く食べて!! 感想聞かせて!!」とパパの顔に書いてあります。


「お、おいしいです!!」


 パクッと一口食べて感想を言ってみたけど、きっと美味しいんだろうけどそんな見られてたら味なんかしないよ。


「そんで、なんで俺らここに集合してんの?」


 あ、そうそう。なんで、こうなったか気になる。フレィが聞いてくれなきゃパパに会えました!! で終わる所だった。

 ママのお姉さん、ウォスタさんとフレィのママを探すだけならここに来なくても探せたかもしれないわけでしょ?


「私はね、この際だからあなた達3人に色々と後は任せて、オゥクとユックリ暮らそうかと思って」


 ん? ママなんだか、変な発言してませんか? 


「色々と任すって、何んだよ? 俺、一応は火竜の国の国王でその仕事じゃなく?」

「あ、僕も一応はそうなんですけど…」

「私は、一般人なんですけど」


 3人で口々に言う。


「うん。城と国の仕事は水竜も火竜の国の私達親もそこまで、老いぼれてないから出来るから気にしなくていい」

「国王になったけどそっちの仕事はしなくていいって事か?」

「そういう事だね。ファイとは話は付いてるからフレィは何にも気にしなくていい。もちろん、ウォスタもな?」


 えーっと、話が読めませんが…。私は? 何するの? 


「んー。と言うか、あなた? もう、面倒だから正直に話してしまわない?」

「えっ?! 正直に話すのかい?!」

「だって、隠してたってしょうがないじゃない」


 正直に? 隠してる? 話が噛み合ってなさすぎる…。私は混乱が混乱を呼んでますよ?


「正直にって、なにを隠してるんです? 中途半端にするならもう話しちゃって下さい」


 黙って、ママとパパのやり取りを見てたウォスタさんが口を開いた。


「イディアを私の姉が必要として、きっと迎えに来るわ」

「なんで私を?!」


 フレィとウォスタさんの母親かもしれない人が、この2人じゃなくてこの私を迎えに来る?! すんごい意味がわからない。


「水竜の気も入ってるはずのイディアには、光竜の気しか入ってないのよ。だから、私も産んだ時にその影響で光竜になったんだとは思うんだけど。光竜は闇の気に勝てるのよ」

「闇の気…?」

「そうよ、黒竜の気の事よ」

「なんだよ、それ? 黒竜って脅し文句だろ?」


 黒竜と聞いて、フレィが声を荒げる。


「フレィ、ウォスタ、ごめんなさいね? 私達、親はあなたにまだ隠してる事があったの…」


 ―-……隠してる事??



 ******


「火竜様、この先です!!」


 火竜の国の森の中にユンノがこの国の国王ファイに乗ってとある場所まで案内をしている。


「あれは……」


 ファイは森の中に寝ている、黒髪の子供と小さな火竜に気付いて近くに降りて人の姿に変わる。


「なぜ、こんな所に? 人と竜の子が一緒に?」


 周りを見渡しても、この子達の親らしい竜も人も見当たらない。

 そっと、小さな火竜の子供に手を触れて子供の気を読む。その気に中身にファイは驚いた。


 ――――火竜の気、水竜の気、光竜の気、それに黒竜の気? 一体、この子は…


 ファイはその子に触れて驚いたのだ。光竜は水竜の国のお妃も水竜と光竜の気を持ってるが4つの気を持つ竜などは見たことも聞いた事もない。

 しかも、黒竜は光竜よりも昔に絶滅…いや、年寄りの戯言だとファイは思ってたのだ。

 その戯言と言うのは、子供が悪い事をした時に「黒竜になるぞ!!」と大人の脅し文句なのだ。

 村を闇で覆ってしまって1人ぼっちになる、闇の気で悪に落ちぶれて一人ぼっちになる、などでいい話は聞いた事がない。

 黒竜に関するきちんとした書物など、何も残ってはいないからそれが本当なのか嘘なのか確認する手がない。


「火竜様、どうかなさいましたか? こちらの子は…」

「あぁ、すまない」


 ユンノに呼ばれて我に返ったファイは人の子供にも触れる。


「この子からは、なにも気は感じないから人の子であろう。親が見当たらないようだから私は、火竜の子供を連れて帰るが、そちらの子供はユンノに任せてよいか?」

「はい、大丈夫です」

「では、ユンノ頼んだぞ」


 ファイは火竜の子供を人の姿に変え、背中に乗せて王宮に連れて帰った。

  

 ◆◇


 幸いにもその竜の子供は自分が産まれた時の事は覚えてはいなかった。

 火竜の子をフレィと名付け、ファイは自分の妃キャンと共に自分達の子として育てて数十年たった。


「最近、フレィの闇の気が強くなって来てる気がするがキャンはどう思う?」

「えぇ、私もそう思います。しかし、ウォスタの方は黒竜の気は全く出てないそうですよ?」


 フレィを見付けた時に一緒に居た子もある時に水竜となり、もしかして同じ親の子かと水竜の国と連絡を取りあって確認し合ってるが黒竜の気を持ってるのは、今はどうもフレィだけのようだ。

 今はと言うのは、ウォスタも竜の封印がきちんと解けた数年後にフレィほどではなかったが黒竜の気を持っていた。


「エーア様が光竜の気を持っていたから、ウォスタの黒竜の気が消えたと言う事か?」

「フレィも光竜の気の近くに居れば、黒竜の気はなくなるかしら…」

「しかし、エーア様は今…子供達の親を探してて一つの場所には滞在してないのだろう?」


 2人は顔を見合わせて溜息をつく。


「あなた!! エーア様とオゥク様の姫様って、光竜じゃないですか!! その子は、村で人のふりして暮らしてるはずでは?」

「そうだ…!! さて、光竜と隠して暮らしてる姫様をこちらに呼ぶかが問題だな」

「いいえ、あなた。フレィをそちらに行かせた方が早いわ!!」

「年頃の姫様の所にフレィが行かせて、なにかあったらいくら穏やかなオゥクでも…」 

「フレィを子供の姿にして、竜の気も封じてしまえばいいのでは?」


 キャンの言ってる事はかなり荒業とは思いつつも、闇の気が強くなってるフレィを放置出来るわけもなくファイはそれを実行した。

 

「いや、だって親父がそこの本を燃やしとけって言ったんだろ?!」

「私はあっちの本と、言ったのだ!! あの書物は世界に3つしかない物なんだぞ!!」

「しらねぇよ。だったら、ちゃんとしとけよ!! ただの、昔話だろ? いてっ!! なんで殴るんだよ」

「どうするのだ!! 世界に3つしかない貴重な書物2つにしてしまって。しかも、光竜は既に絶滅してしまってるのだから、書物はどこにあるのかもわからないと言うのに」


 フレィが燃やしたという書物は確かに世界に3つしかなく貴重な物だ。ファイもただの昔話だとは思ってはいるが、大事な書物なので本当に燃やさせる訳にも行かず燃やしたと思わせとく。


「じゃあ、どうしろって言うんだよ!!」

「……探して来い」

「はぁ?」

「光竜の所にある書物を、人になったつもりで気合いと根性で探して来い!! バカ者ーーーーっっ!!」

 

 ファイが叫んだ途端、フレィを赤い大きな炎が包む。


「え?! ちょっと、親父?!」

「じゃあ、行って来い」


 混乱してるフレィの背中をトンっと叩いてファイは気を抜いて気絶させる。


「キャン、私の力だけでは子供の姿には出来ないから手伝ってくれ」

 

 陰で見守ってたキャンを呼んで、2人でフレィに手をかざすとフレィのカラダが小さくなっていく。


「こんなもんで、いだろう。では、私は城の上からフレィを吹っ飛ばして来る」

「はい」


 竜の姿になったファイはフレィの首根っこを銜えて、城の上に向かう。


「元気で帰って来いよ!! フレィ!!」


 ファイは気を込めて、水竜の国の方に向かってフレィを力一杯、放り投げた。



 ******



「ファイ様っぽいと言うか、なんと言うか…」


 話を聞いてウォスタさんは呆気に取られてボソッと一言。


「ママってば、なんでフレィと私が知り合いだったのか知ってたんじゃない」

「うふふ、知ってたわよ? あなたにじゃなくて、フレィの口から知り合いか吐かせたかったのよ」

「なんで?」

「なんでって、ねぇ? フレィ? やましい事なければ、イディアと知り合いだったってあなたの口からなんでも言えたはずよねぇ?」


 やましい事なんか、なんもないじゃんね? まぁ、いいや。フレィの方を見ると下を向いて小刻みに震えてる。


「……フレィ?」


 心配して声を掛けてみる。


「……ち……しょう…」

「何? フレィ?」


 何か呟いたみたいだけど、なにを言ってるのかは聞こえなくって聞き返してみる。


「……ふざけんな、くそじじぃぃ!!!!!!!!!!」


 フレィの声が城の中に響き渡ったらしい…。

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