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16. 父親

 

 今、お空の上です。水竜のお城に向かってる所です。


「なんで、俺だけ銜えられての移動なんだよ!!」

「日頃の行いかと…」


 私の背中にはウォスタさん。ママの口にはフレィ。

 水竜と火竜の飛行スピードで行くより、私とママが2人を連れて飛んだ方がいいって事になってこの状況です。

 ママに銜えられて運ばれてるフレィはかなり不満のご様子。

 そんな、ママは銜えてるから完全にフレィの事は無視です。


「フレィ…ママが暴れると、落とすって言ってるよ」

「ここで、落とされたら僕達のスピードだと3日位かかるね」


 早速、フレィに教えてもらった方法でママが私に気を入れてあるから会話してみた。なんて、言うかさ…話せるんだったらママがどっかに行ってる時に話せたじゃん。

 って、言ったら「すっかり、忘れてたわ」だって。娘の心配はしてなかったのか…この方は。まぁ、いいさ、私だって一応ですが大人ですもん。


「ねぇねぇ、私がお姫様になったら何するの?」

『何もしなくて、いいのよ? ただ、本当はちゃんとパパに会わせたいだけよ。お城に入るには色々と面倒だし、イディアに変な虫が付かないように。ね?』

「あ。パパ!! そうだ、初対面だ」

「何度か僕と一緒にコッソリ2人でイディアちゃんを見に来た事はあるんだけど、イディアちゃんはちゃんと会った事ないのか」

『いい人よ。私の旦那様だからね』

「って、お前ら俺を無視して会話してんじゃねぇよ」


 ママとウォスタさんと普通に会話してたけど、フレィだけママの気は入ってないのか…。


「このスピードだと夜には着きそうだね。イディアちゃん、疲れたら言うんだよ?」

「うん。大丈夫、ありがとう」

「俺、疲れた…」

『あんたは、楽に移動してるじゃないの!! って、フレィには聞こえないのよね。ふふふ』

「そうだよ、ママ」

「クラウディアの息子でよかったよ。あはは」

「だから、俺にわかるように会話しろって!!」


 私も娘でよかった…。うん。



 ******



「あなた~!! イディアを連れて来たわよ~!!」


 ここは、なんという部屋なのかわからないまま竜の姿のままで、突入して入って来た所は天井には竜が通り抜ける事の出来るだけの窓から入りながら叫ぶ。

 突然叫びだしたママに銜えられてたフレィは、落下するわけでありまして…。


「あっ?! この高さじゃあ、受け身取るのに…あぁ?!」


 っと、騒ぐフレィを私の背中からスッと竜の姿に変わったウォスタさんがフレィを受け止める。


「城で騒ぎを起こすのは勘弁して下さいよ…。火竜の国の王が、ここに居るのも本当だったら不思議な事なんですから…」

「ごめんなさい? うふふ」

「クラウディア、笑いごとではないですよ? あなた達2人もまだ内密なんんですから!!」

「あら? あなたも小言が言えるようになったのねぇ~?」


 ママがウォスタさんを茶化す。

 内密。だから私の住んでる家からここまでの道のりは、錯覚で私とママの竜の姿は水竜に見えるようにして飛んできた。それが、意味ない事にするならウォスタさんの言う事は取り敢えず聞いとこうよ…ママ。


「そろそろ…イディアをちゃんと見せてはくれないか?」


 ウォスタさんとママのやり取りに割って来た声に視線をやる。


「あ、そうね!! ほら、イディアこっちに来なさい」


 グイグイとママに手を引かれて声の主の方に連れて来られた。

 目の前にはここに居る私達よりほんの少しだけ年上に見える男の人がいる。人で言うと30代位だろうか。髪の毛は青で、クリっとした二重で透き通る青い瞳。優しい顔立ちの男の人。

 この人が私の…


「パパ…?」

「……うっ、イディア」


 えっと、泣き出した?! ママを見るとニコニコしてるだけで、なにかしてくれそうな雰囲気はない。私からすれば、初対面だしどうすればいいかわからない。


「あの? 大丈夫ですか…?」


 恐る恐る、声を掛けるとパパも顔を上げる…


「ばじめで、ぢがぐでごえがぎげだぁぁあああああああ。いでぃああああああああっ」

「っ?!」


 何?! と思った瞬間そのパパの顔を見ると、元王様だったなんて誰が見ても思えない顔で、鼻からも目からも大量に水を流すほど変な顔で号泣しながら、凄い勢いで私に飛びついて来た。


「私は、遠くからいつもイディアを見てたんだ。エーアが、ちゃんと会わせてくれたのは生まれた時に寝ている君を抱っこした時だけなんだ。会いたかったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」


 子供か!! 突っ込みを入れたくなるほど、えっぐえっぐと泣いてる。もちろん、私の洋服は涙と鼻水ですごい事になってる…。


「そろそろ、離してあげて? イディアが困ってるわ」

「んぐっ…」


 やっと、ママも動いてくれてパパを引き離してくれる。

 

「クラウディア、イディアちゃんを客間に連れてけばいいですか?」

「ええ、あと洋服も準備させて。こっちはなんとかしとくわ、フレィ手伝いなさい」

「え?! 俺が?」


 有無も言わせず、パパとフレィを連れてったママ。呆気に取られてるとウォスタさんの声で我に返る。


「イディアちゃん、行こうか…」

「う、うん」


 ウォスタさんに言われて後ろを着いてくと、やっとここがお城だとわかる。


「初めて会った父親の感想は?」


 会った感想…。なんと言うか、良く言えば可愛い人? あれで、ウォスタさんの前の王だったなんて考えられないけど。


「本当に王様だった人だよね?」

「それ、聞いたらまた泣くよ? あはは」


 私のパパはほとんど優しさで、出来た人らしい。パパの朝はお城のお掃除から始まり、新人の侍女なんかはその人が王様って気付かない事がよくあるらしい。

 ウォスタさんが城を抜け出して孤児院に遊び行った時も、私が今日されたみたいに「心配したじゃないか」ってワンワン泣かれたらしい。それからは、2人で抜け出して孤児院に行って、ママに怒られるって言うのを続けてたって。


「こんな人だったから、僕もこの城でやって来れたんだ」

「そっか」


 なんか、ウォスタさんが私のパパの事を私より知ってるのに少し複雑。まだ、パパって実感ないからなぁ…。

 でも、ママが愛してる人だもん。


「ねぇねぇ、それでお部屋にはいつ着くの?」

「ここ曲がったらすぐだよ」

 

 しかし、本当に広い。

 本当だったら私が生まれ育つはずだった場所? なんか、良かった人よりの生活してて。だからか、こっちも実感湧ないし。


「はい、ここ!! 明日までには、ちゃんとイディアちゃんの部屋は用意出来るから。クラウディアが思い付きの用に言うから部屋の準備が出来なくてさ」


 なんだ? この広さ…。今まで住んでた家の広さありますけど?!


「あ、もう少ししたら侍女が服の準備して、持って来させるから湯浴びでもユックリしといて? フレィが居るから、お湯すぐ出来ると思うし。それから、みんなで夕飯にするからね」

「あ、ありがとう」


 ふぅ…。やっと1人だぁぁ。ママが詳しく話てくれないから、頭の中がごちゃごちゃだよ。

 ここのお城が本当は私のお家で、さっき号泣してた人が私のパパ…か。ここ何年かは、そういえば私のパパは? って、思ってたからパパに会ってみたいって思ってたけど。

 父親と娘って、何するんだ? フレィは確か「じじぃ」って呼んでたよね? いや、それは参考にならないか。ママの事も「ばばぁ」って呼んでたもん。流石に「じじぃ」とは呼ばないよねぇ? 泣いてない時にもう一回話せるかな。


「動き回ったし、カラダ洗おう」


 この部屋には、浴室もトイレも付いてるって言ってたけ。1つの扉を開けて浴室発見!!

 おー。泳げるほどではないけど、やっぱり広い。お水は張ってある!! さぁ、かけ湯してっと…


「冷たっ!!」


 水だし!! なんだ、まだフレィなんもしてなかったのか…。


『フレィ? お風呂のお湯が水なんだけど…』

『あ?! もう、入ってんの? どの客間?』


 おお、気で会話ってやっぱり便利だ!! えっと、この客間ってどの客間?


『入口にユリの花が飾ってあったけど、どのって言われても…』

『あー、わかった。ちょっと待ってろ』


 待ってろってそういえば、どうやってこれお湯にするんだろ?


「イディアー? 風呂お湯にしに…って、わりぃ!!」

「へっ?」


 フレィ?! 慌てて出てったけどなんで、ここに入って来た? お湯って、外からなんかやるんじゃなかったの?!


「こ、この部屋…そこからじゃないと、お湯に出来ない部屋なんだよ!! 早くなんか着て一回出て来い」


 浴室の外からフレィが叫んでる。そ、そっか。そうか、服着ようか。

 って、タオル巻いてるけど、タオル巻いてるけれども、見られたってやつ?! 


「いやぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」


 私の声はお城の中に響き渡ったのは言うまでもない。

 



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