13.集合ッ!!
さてさて、ヴァン一家がお腹を空かせてるので、ご飯をっと!!
あれから、ウン何年!! コーもママです。親が白カラスだから、子も白カラスかなと思ってたんだけど白も黒も両方いる。
「はーい!! 全員集合~。パン持って来たよぉ!!」
パンを空にかざすと、いっきにカラス達が集まる。
『わーい!! イディアママありがとーっ!!』
私は何匹かの子カラス達にイディアママと呼ばれてる。
なんでかと、思ったら原因は生まれる瞬間に立ち会ったから…らしい。子カラスって言っても、もう大人のカラスになってるけどね。
「明日はご飯何にしようか? …って、あれ? ねぇ、みんな? なんか空が騒がしくない?」
『空ー?』
ここに居たカラス達も空を見上げる。
こんな朝早くからなんだろ、竜の気配もするんだけど沢山いる感じもしないけど…人の叫び声もする?
「「うわーーーーーーっ!! 下ろせぇぇぇぇぇぇ!!!!」」
…え、ほんとに叫び声?! も、もしかして、人が竜に誘拐されたとか?! え、え、え、?! これって、助けに行った方がいいの?
「「って、おいっ!! うわっ!! ここで、下ろすなぁぁぁぁぁ。あっ!! あーーーーーーーーーっ」」
お、下ろすな? え? なななななな、なんか落ちて来る!! えっえっ?! 人?!! こ、こんなスピードだと、助けてあげられないよ。
「助けてあげられなくて、ごめんなさい!! きゃあああっ!!」
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんさ…い…?
…あ、あれ? 落ちた気配はしない? だ、大丈夫だったの?
「ったく、何考えてるんだよ、あんのくそばばぁ!!」
…生きてる? 目の前に居る男の人は、何事もなかった用にとは言えないけど洋服を叩いて直してる。あんなに、高い所から落ちたのに?
「だ、大丈夫ですか…?」
私の存在に気付いてなかったのか、ビックリした顔でその人は私の顔を見る。
「あ、あの?」
「い、イディア?!」
「え?!」
だ、この人誰? なんで、私の名前を知ってるの?
こんなイケメンどっかで会ったかな? 切れ長の赤い瞳のお鼻も羨ましいほどスーッと高い、背も高い。髪の毛は白い赤? こんな色あるんだなぁ…。それで、えーっと…
「だ、誰ですか?」
「へっ?」
あで? 固まっちゃった? あ、どっかで会った事あるならかなり失礼な事してるよね? でも、どこで会ったかなんてさっぱり思い出せないし…
「ぷぷぷ…。イディアちゃん、久しぶりっ」
「あ!! 久しぶりです。ウォスタさんは最近見なかったからどうしたかと思ってましたけど、忙しかったんですか?」
「うん。ちょっとね? あ、そうそう、村で買い物してから、クラウディアも来るって」
「え?! ママも居るの?! わー。何年振りだろっ」
後ろからウォスタさんが来た。あれから、何回か私の様子を見に会いに来てくれてたけど相変わらず、呼び捨てが出来なくて「ウォスタさん」って呼んでる。そのせいか、ウォスタさんも私の事は「イディアちゃん」って呼んでくれる。
それにしても、今日は本当に久しぶり。しかも、ママも今日は居るってすごいお土産持って来てくれた。
っと、それにしても視線が痛い…。だ、だから、この人は誰なんだろ。
「ウォスタさん…あそこに居る人は、知り合いですか?」
「え?! あ、誰だろうね? ぷくくく…」
小声で聞くと、チラっとその男の人を見て笑い出すウォスタさん。
なんか、私は変な事でも言ったかな? それにしても、視線が痛いです。
「知らない人はほっといて、お家に行こうか」
「ウォスタ!!」
ウォスタさんの背中を押されて家の方に、行こうとするとそこに居た人がウォスタさんの名前を呼んだ。
あれ? やっぱり知り合い?
「お兄さんも、家に来ますか?」
無言で頷くお兄さんを横目で笑ってるウォスタさん。な、なんだ?
ウォスタさんがお城から持って来た、美味しい紅茶をソファに座ってる2人に出す。
「それで、ウォスタさん…そちらの方は?」
「ああ。この人は、火竜の国の王にだったかな?」
「火竜の国!! そういえば最近、王位継承されたとかですよね? おめでとうございます!!」
「へっ?! あ、あぁ…」
そして、ウォスタさんはまた爆笑。
…はて? 王様はここに何の用だろう? あ、火竜の国の王様ならフレィの事知ってるかな?
「あ、王様!! フレィは知ってますか? フレィは元気ですか?」
私が言葉を発した瞬間、ガッシャーンと手に持ってたカップを落として、コップを持ってた姿のまま固まってる王様。
「えっえっえっ?! だ、大丈夫ですか?! 火傷してませんか?! た、タオル…!!」
「イディアちゃん。そ、それ本気で言ってる?」
「あ、そっか。火竜様なら火傷は大丈夫だよね? でも、洋服に染みが…!!」
「ちょっと、待って!! イディアちゃん、本当にわかってないの?! 本人にフレィを知ってますかって…。あー。やばい、お腹痛い」
…ん? 本人にフレィを知ってますか? 本人…
「?! …本人っ?!」
「あー、やっと気付いたの? 王様って言えば気付くと思ったのに!! 良かったねー、フレィ!!」
お腹を抱えながら笑ってるウォスタさんが王様…もといフレィの背中をバシバシ叩いて笑ってる。
髪の毛の色も、声も違うし、背も高くなってるし、気付かない方が普通じゃないの?!
「あ、え、あ?! 王様でフレィ?! って事だと、私ピンチ?!」
「え、イディアちゃん?! ピンチってなに? ちょっと、フレィはいつまで固まってるの!!」
やばい!! 逃げないと結婚でそれから、えっと、お城に連れて光竜って事が隠せなくなって…
「私は、失礼します!! ウォスタさん!!」
「ちょっと?! イディアちゃん?!」
ウォスタさんが何か言ってるけどそんなのは、気にしてる場合じゃない。
「あら、イディア~。何慌ててるの? ケーキ買って来たわよ~」
「ママっ!! 私、フレィが王様でのんびりしてる暇ないの!! ユックリしてって!! じゃっ!!」
「あ、クラウディア!! イディアちゃん、なんか勘違いしてるから早く捕まえて下さい。フレィが使えない!!」
あー、せっかくママに会えたのに!! 折角の家族の団らんが…。って、
「よくわかんないけど、待ちなさイディア?」
「いでででで、痛っ」
ママに髪を掴まれて制止される。
「ま、ママ離して!!」
「ウォスタとフレィを連れて来たのは私よ」
連れて来た? なんで?
「だ、だって、結婚で王様…」
「結婚って? 私に許可なしてイディアは結婚するの? ちょっと、ウォスタ? 何か知ってる?」
ママは私の髪の毛を掴んだまま、ウォスタさんに聞く。
「僕は何も知りませんけど…。フレィは?」
「フレィ? あなた、イディアと知り合いなの?!」
「え?! あ、いや、俺は…その…」
ん? なんか、話が噛み合ってないよね? 私とフレィが知り合いって知らなかったけ?
「あの、ママ? 前に会った時にフレィと離れろって言わなかった?」
「何を言ってるの? 私が出てってから、あなたと会うの始めてよ?」
なにっ?! 会うの始めて? えっ? フレィと別れた日に会ったはずだけど、あれは誰?!