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12. 火竜の国の王

 今日、俺はやっとじじぃ…もとい、父さんから王の即位を譲り受けた。

 やっとだよ。やっと!! 俺と同じ年の水竜の国の王のウォスタなんか俺がイディアと暮らしてる間に王になってるし。

 っても、その時は王なんて地位なんかどうでもよかったんだけど。


 ただ、イディアと話したくて。ただ、イディアに会いたくて。ただ、それだけでイディアを探してた、俺のところにウォスタが突然現れた。


「いいから、イディアは探さず早く城に戻ってくれ!!」


 普段穏やかなウォスタが声を荒げて言うんだから何かあったかと思って渋々、城に戻った。


 なんで、ウォスタがイディアの事を知ってるんだ?

 そう思った時にやっと自分の変化に気付いた。


 ……俺の中に水竜と光竜の気がある。


 よく考えてみれば、俺と父さんと母さんの髪の毛の色が赤いと言うのに俺は少し違う。

 父さんに力を封印される前の俺の髪の毛はパッと見は白いのだ。光が当たると赤っぽく見えるだけ。


 光竜の書物を持って帰った時の両親の反応もそれほど大きな物ではなかった。2人は、俺の中に光竜の気がある事を隠しておきたかったから、力を封印した?


 2人は、俺の両親ではない。

 自分が生まれた時の記憶がない事にこの時に繋がった。

 それに、水竜の国の王になったウォスタも何か俺に隠してる。


 そんな事を考えてる時に、イディアが俺の気の込めた箱に気付いたみたいだ。

 思わず「ばかやろう!」とは、言ったもののそれは混乱中の俺の愛嬌だ。

 俺の中に光竜の気の事を両親は隠してた。って事は、今はイディア…光竜の存在は知られちゃいけないんだと。


 …俺は火竜の国の王にならなければいけない。

 だから、火竜の国の王になったんだ。



******



「……本日は王位継承誠におめでとうございます」


 あー。もう!! なんなんだよ。話が長い!! むしろ、お前は誰だよ。早く、終わらせて久々に会うウォスタに聞きたい事があるから俺はそっちに行きたい。


 なんか、くれるなら全部まとめて代表者かなんかが祝いの言葉だかなんだか言ってくれればいいんじゃないのか?!

 糞つまんね。王にはならないといけないとは、思ってたがこういう社交辞令的なのは本当に嫌いだ。


「フレィ、あなたこのまま1人1人から祝いの言葉をもらうつもり? もう、母さん飽きたわ」


 横に座ってた、母さんが小声で俺にとんでもない事を言い出した。

 はぁ?! 聞かなくてもいいのかよ。だったら、もっと早く言えよ。母さんの顔を見ると、笑うのを我慢してる。わかってて聞かせてたな…



「フレィ様、ご無沙汰しております。失礼致します」

「って、なんだよ。気持ち悪いな、おい…」


 お披露目会が終わって、俺の部屋にウォスタが来た。


「それで、元気?」

「元気? っじゃねぇよ!! わかってて、言ってるだろ」


 思わず、ウォスタを殴ろうとすると


「あー!! 僕を殴ったら、国同士の戦争になりますよぉ?」

「わかったわかった。すいませんねぇ~」


 って、俺が悪いのか? まぁいいや、こんな風に絡んでくれるのはウォスタ位だ。


「で、フレィは、どこまでわかったの?」

「どこまでって…、光竜の事を少々?」

「じゃあ、僕が火竜と光竜の気を持ってるのは?」


 …はぁ? なにこれ、空耳? だから、こいつが水竜に国の王位に就けたって事? って、そう考えると俺も同じって事か。


「あ、その反応だと知らなかったの? じゃあさ…」

「いやいやいや、ウォスタ…。ちょっと待て!!」


 何かを言いかけたウォスタを止める。


「なぁ…。お前は俺に水竜と光竜の気を持ってるのは知ってるのか?」

「えっ?! ちょっと、待ってなにそれ?! だから、髪の色が普通と違うの? え、じゃあ、フレィは誰の子?!」

「それは、俺も聞きたい…。父さんと母さんに聞いたって、当たり障りない話されるだけだし」


 しばしお互いに、何も言えなくて無言。えーっと? なんだ? 


「あ、昔…。エーア様が、僕を引き取る時にフレィも任せて、僕まで任せるわけにはいかないってファイ様に確か言ってた」

「何? じゃあ、俺ってば、やっぱり光竜の気があるのみんな知ってたってやつ?」

「その後、そういう話題と言えばエーア様にも光竜の気を持ってて、あと気を持ってるのはエーア様の姉しか居ないから僕の母親がエーア様の姉かもしれないって位しか話してないからわからないけど…」


 えーっと? つまり、俺の話は無いってことね。


「とりあえず、エーア様に会って話を聞かないとじゃねぇの?」


 俺の話を聞いたからって、どうなるわけでもないけど……。



「あらーーーーーっ?! 王様2人で密会なんて、ここで爆弾ばら撒いたら世界は私の物になるかしらーーーーー?」


 はぁ?! なに、このフザケタ発言。相変わらず過ぎて、なんにも言えない。上から聞こえるって事は天井窓から入って来たのか…


「エーア様…。いつから、いたんですか」


 ウォスタも呆れたのか顔も上げずに答える。


「おい!! ばばぁ、いたならさっさと出て来て説明してくれても…って…ばばぁ?」

「相変わらずねぇ? 久々に会うからハグしてあげようかと思ったけど、2人とも可愛くないからやめとくわ」


 天井窓からひょいっと降りて来た人の顔を見る。

 えっと? 誰? いや、目の前にいるのはエーア様だよ…な? でも、何かが違う。


「あら? まだ、ウォスタってば私の事…言ってなかったの?」

「言ってなかったのって、あなただって僕に言ってなかった事あったじゃないですか。それに驚いて言うタイミング逃したんですよ」


 ウォスタと話してたエーア様が俺の方にクルッと回って一言。


「元水竜でエーアって言ってましたが、現在は光竜やってるクラウディアでぇす!! フレィ様、以後お見知りおきを」


 こんのっ!! ばばぁ…本当にでっけえ爆弾落としやがった!!!!


「なんで、ばばぁが光竜になってんだよ。ウォスタは知ってたのかよ?」

「あー。僕も、王位に就いた頃に知ったから、フレィも王位に就いたから言おうとしたら、フレィも光竜の気を持ってるとか言うからタイミング逃した」

「まぁまぁ、いいじゃない? 順番にフレィの誕生秘話って言うのから話すからちょっと聞きなさいって」


 フレィとウォスタは、同じ所でウォスタは人の姿でフレィは竜の姿のまま寝てた。

 その2人を見付けたのが、ウォスタが居た孤児院のユンノ先生。その時は完璧にウォスタからは竜の気はなく人だと思われそのまま孤児院に引き取られた。フレィは竜の姿だったからそのまま王宮に引き取られた。


「って、話よ!! わかった?」

「いや、わかんねーから!! ウォスタ、お前…わかるか?」


 なに、このどーでも良さそうな説明は。


「僕の記憶じゃあ…眠りに落ちる時に、なんとなくだけど子供の気配があったような気もするんだけど、孤児院の子供だったのかと目覚めた時に解釈してたんだけど。その気配がフレィだったて事?」

「私もその場に居たわけじゃないから、わからないけど多分そうじゃない?」


 ……多分って。なんで、ウォスタは人の姿になってて俺は竜の姿でいたんだよ。普通は親が人の姿に変えるんじゃなかったけ?


「なんで、俺だけ竜の姿だったんだ?」

「きっと、フレィの父親が火竜で、あなたが生れた所に水竜しかいなかったからじゃないの? 同族じゃないと、人の姿に変えてあげられないもの」

「はぁ?! それじゃあ、何か? 俺は水竜の子だって言うのか?」

「多分ね?」


 また、多分?!


「ちょ、ちょっと、待って?! じゃあ、僕の親は?! フレィの親が水竜で、その場にまだ水竜がいたってこと?」

「なんで、そうなるのよ。私の知ってる限り、その時に光竜の気を持ってたのは私と姉だけよ? 私の父も母も持ってなかったんだから。隔世遺伝だったんじゃないのかしら?」

「ちょっと、待てよ!! まじで何をばばぁ言ってんの?!」


 俺とウォスタの顔をばばぁは交互に見て溜息をつく。


「あなた達ねぇ…ここまで、話してまだ予想付かないの? 2人してさっきから「ちょっと、待て!!」って、何回言ってるのよ。そっくりよ?」

「「兄弟かもしんないって事?!」」


 同時にウォスタと声を上げると、ばばぁはなんだか楽しそうな顔をしてる。


「あら、やっぱりいい感じね? 私も竜で双子って聞いた事ないって思ってたけど、私も光竜になっちゃったし、イディアも生まれたしそういう事もきっとあるわよねぇ? あはは」


 イディア…? もしかして、ばばぁはイディアの母親なのか?! もう、なんだよ。俺ばっか知らない事ばっかりじゃねーーーか!!

 

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