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10. 人から竜になった日 2

 

 おばあさんの火竜様に火竜の国の王宮に連れて来られた。

 その僕の目の前にはと言うと、赤い目に赤い髪のとってもカッコイイお兄さんととっても綺麗なお姉さんがいる。

 おばあさんにこの人達は誰? と聞くと王様とお后様だと言われてびっくりした。

 

「ほぅ、君がウォスタくんかい?」


 王様がかがみながら、僕の頭を触りながら目線を合わせながら話かけてくれる。

 緊張して言葉が出て来なくて、無言でうなづく。


「あなた? ウォスタくん驚いてるわ。 もうっ」

「そ、そうか…。とりあえず、ウォスタくん今日は城で遊んでなさい。フレィ!! 覗いてないでこっちに来て城を案内してやりなさい」

「えー。隠れてたのバレてたのか?」


 王様に呼ばれて、僕と同じ年位の男の子が出て来た。男の子も王様とお后様と同じ目の色をしてる。髪の毛は…淡い赤??


「ウォスタくん。私たちの息子のフレィって言うの。仲良くしてあげてね?」

「ほら、ウォスタ!! 俺の部屋にお菓子持って来てもらうから行こうぜ!!」

「う、うん」


 フレィに手を引かれて連れて来られた大きな部屋には、見たことのないお菓子がたくさんある。


「フレィ、このお菓子は何?」

「お前、人として暮らしてたとは聞いたがチョコレートも食った事ないのか?」

「僕、親がいないから孤児院に住んでたから高価なお菓子とか知らないのかもしれない…」

「ふーん。旨いから、食ってみろよ!! ほら」

「なにこれ?! 甘くて美味しい!!」


 こんな美味しい物があるなんて、知らなかった。

 サイとか皆にも食べさせてあげたいなぁ……。


「なぁ? ウォスタ、お前は生まれた時の事を覚えてるか?」

「赤ちゃんの時の事なんて、僕は覚えてないよ。あ、でも僕を3才の時に森に置いてかれた時の事なら覚えてる。その時に名前を貰ったんだ」

「はぁ? 3才って人が決めた年だろ? 竜の生まれた時の姿は人の3才位と俺は習ったが。それって生まれた時の話なんじゃねーの?」


 え?! なにそれ。どう言う事だ?! フレィの言ってる事が本当なら僕まだ7才じゃん!! じゃなくて、キスをしてくれた人が僕の母親??


「なぁんだ、やっぱり生まれた時の事を覚えてるのか。俺は覚えてないんだよなぁ。いいなぁ~」

「いいなぁって、フレィは母親も父親もいるじゃんか。そっちの方が羨ましいよ」

「うん。まぁ、そうなんだけどな。覚えてないのが変って言われるからさ」


 竜も色々あるんだなぁ。そんな事を考えてると部屋がノックされた。


「誰だ?」

「フレィ様、フォスタ様に伝言を預かって参りました」

「ん。入ってくれ」


 今さ、僕のことフォスタ様って言った?! 僕、偉い人じゃないのに。それに、フレィは余裕で受け答えしてる。なんか、カッコイイ…


「失礼します。先程、王が水竜の国に文を出されたので4、5日で水竜の国のお后様が着くであろうとの事なので、話はそれからになるそうでございます。それまでお2人で城で遊んでろとの事です」

「本当か?! 父が遊んでていいと?!」

「はい」

「わかった。下がってくれ」


 使いの人が出てくとフレィは飛び跳ねて喜んでる。


「ウォスタ!! お前のおかげで、俺は遊んでられる。勉強しなくていいってさ!!」

「ねぇ、フレィ? なんで、あの人は僕の事をウォスタ様って呼んだの?」

「それは、お前が客人だからじゃねぇの?」

「そ、そうなんだ」

「あ、ウォスタ!! 明日、お前に飛び方とか教えてやるよ」

「うん。ありがとうっ」




 ******


 


 僕は今なにが起きているのか、あまり理解が出来てません。

 フレィに人と竜と姿の変わり方教えてもらっていたら突然、髪の毛が白いといってもいいほど白っぽい青の髪の毛の色のお姉さんが来て、なぜか抱き付かれて離れてくれません。


「もぉっ!! なんで、こんなに可愛いのぉぉぉぉ??」

「お、おい、ばばぁ!! ウォスタから離れてやれよ!!」

「ばばぁとは、何よ。まだ、ほんの60過ぎたばっかりよ!! フレィもギュウして欲しいの?」

「いらねぇよ!! ウォスタ、父さん呼んで助けてやるから待ってろ!!」


 そう言ってフレィは慌てて走ってどこかに行ってしまった。


「お、お姉さん、苦しい…」

「あら、お姉さんだなんてフレィと違ってイイ子ねぇ」


 と言って僕の頬にキスをした。

 キスをされて、僕はハッとした。この感覚、僕知ってる。

 僕に飛んでくっついて来たせいで、お姉さんの顔を僕はまだちゃんと見てない。


「あら、キス嫌だったかしら…。ごめんね?」


 キスをされて固まってる僕の顔を覗き込んだ、お姉さんの顔を僕は知っていた。

 

「僕、お姉さんを森で見た…」

「え?! 森で私を?」


 僕を森に置いて行ったのは、目の前に居るお姉さんだ。


「私を本当に見たのね?」


 無言で頷く。


「ウォスタ!! 父さん連れて来たぞ…って、やっと離れたのか」

「エーア様、来るのが少々早すぎではないか? あはは」

「ファイ様、内密にお話が出来る部屋を」


 お姉さんは、さっきとうって変わって真剣な表情でフレィに連れて来られた王様に話しかけてる。

 にこやかだった、王様も真剣な表情になる。


「わかった。エーア様、付いて来て下さい」

「ウォスタ、行くわよ。フレィは待っていなさい」

「お、おう」


 2人の真剣な顔に圧倒されたのか、フレィは黙って僕達を見送ってる。


「エーア様、さてどうしましたか?」

「さっき、抱き付いた時にウォスタの気を読ませて頂いたわ。そしたら、一番強いのは水だけど極少量だけど火と光も持ってる。それに、私の事をウォスタは知ってると言った、でも私は初めて会う」


 火竜の王様は目を丸くして、お姉さんの話を聞いてる。


「火は、ちょっとビックリしたけれど。この()が持って、なにしろ私の事を知ってると言う事は…」

「エーア様!!」


 王様に呼ばれて、お姉さんははっとして言葉を飲み込む。 

 僕は何を言ってるのか、サッパリ理解が出来ない。

 唯一わかったのは、お姉さんと僕は会った事がないと言う事だけ。

 

「フレィの事も任せて、この子をまで任せるなんて私には出来ないわ!! いいわよね? ファイ様」


 フレィ…? なんの事を言ってるんだろう。 


「それは、もちろんお願いするつもりで呼んだから頼むよ」

「きゃああっ!! なら、それを最初に言って下さらないと!! ウォスタッ、さぁ!! 水竜の国に一緒に行くわよ」

「あ、あ、エーア様!! そんなに、焦らずともウォスタにも挨拶したい方も居るだろうに。少しユックリして行ってはどうかね? それに、オゥク様がまだ到着してないではないか…」


 僕の腕を掴んだお姉さんを慌てて止めに入った王様。


「そ、そうよね。自分の旦那様の事まで忘れる位に嬉しくてつい…。ごめんなさいね? ウォスタ」


 なにがなんだか、わからないけど…この日に水竜の国に行く事に決まった。




 

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