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マジック
「あのさ…私の話、聞いてくれる?」
ハヤトはゆっくりと頷いてくれた
私は人の心を読み取る能力を持っている
この能力に気づいたのは
小学4年生の時だった
その頃、私のクラスではマジックが
流行っていて、私もマジックが大好きだった
私達の特にお気に入りだったのが
人の心を読み取るマジック
本に書いてあるマジックに飽きた私達は
タネがわからないそのマジックを解くのに
夢中になっていた
私も、テレビで見たマジシャンみたいに
目をギュッと瞑って相手の心を読もうとした
そしたら、その人の声が聞こえてきたの
耳を通してじゃない
心に話しかけられているような感じだった
ビックリしてその人を見たんだけど
その人は何も喋っていなかった
その時から
目を瞑ると人の心が聞こえるようになった
友達には、魔法使いみたいって言われるし
その時は目を瞑らないと心は聞こえないから
私はこの能力が好きだった
この能力が嫌いになった日は…
あの日かなぁ…