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出会いは突然に

「やめろよ」

静かに、けれどはっきりとした声に

クラス中が静まり返った


…これが、私達の物語の始まりだった


それは、ある5月の放課後だった

眠くなっちゃうような暖かい陽射しの中

私は淡々と勉強を進めていた

今日の宿題は、数学

そして、

私はそれを4人分やらなくてはならない

まぁ当たり前だけど元から4人分の宿題がだされたわけではない

あの最低な3人組の分だ

本当なら、あの3人に散々罵倒を浴びせてやりたいところだが、

残念ながら、世界は不公平で

あの3人組のリーダー、

ミキの親が金持ちで

学校に大量の寄付をしているらしい

だから、先生達は、ミキをひいきしている

ミキの親が、親バカだから

ミキを怒らせて、ミキの家からの寄付がなくなったら学校はやっていけなくなるんだって

そんな環境で先生に告げ口をした所で

何も変わるわけがないのは解っている

抵抗するのも面倒だから仕方なく

3人に付き合ってあげている、という状況だ


…というわけで1人で宿題を続けていると

私に声がかかった

「おーい、こんな時間に何やってんだ?」

瞬時に様々な疑問が頭を駆けめぐった


なんでこの人はここに?

今はもう5時を過ぎてるはず

この時間にいるなんておかしいでしょ?


この人誰だっけ?

聞いた事がある声だと思うんだけど…


それに1番は…

「なんで私に話しかけるの?」


思った事をそのまま口にだしてしまい

慌てて口を塞いだ


「あ…ゴメン」

慌てて謝ると

その人は困惑したような声で私に聞いた

「えっと…

ゴメン、話しかけちゃダメだった?」


「別に大丈夫なんだけど…

でもこのクラスの人達は、

私を嫌うでしょ?」


宿題の手を休め、話しかけてきた人の顔を

見ようと顔を上げた

誰かわからなかったけど

見た事はある、と思う

困っている私に気づいたその人が名前を教えてくれた


「俺はハヤト

ハヤトって呼んでくれればいいから

よろしく、アカネ」


人を名前で呼ぶなんて久しぶりだな

小学生の時は名字で読んでたし

みたいなくだらない事を考えていたけど

ふいに聞きたい事を思い出した


「ハヤトはさ、私の事嫌いじゃないの?」


ハヤトは笑って答えた

「嫌いなわけないよ

お前、魔法使いみたいでかっこいいじゃん」


「そんな事ないよ…」


その時、私はハヤトに全部話したいと思った

本当はずっと誰かに聞いてもらいたかった

親にまで疎ましく思われたこの能力を

今までずっと隠してきた自分の気持ちを


「あのさ…私の話、聞いてくれる?」







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