表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

捕まえるなら現行犯で

次の日は、朝から曇り。




天気予報では午後から雨の確率が80%になっていた。


休み時間ごとに朔が傘を確認しに行ってくれた。天気予報を見ていた茉実は、いつもの傘を持参していた。


お昼休みまでは無事に傘は傘立てに存在していた。

雨は、5時間目が終わる頃に降り出した。




「降ってきたね。」

茉実と私は空を見ながら言った。


6時間目が終わり、ホームルームも終わって放課後。

そこまでは無事に傘もあった。

茉実は今日も委員の仕事があるので残ることになっていた。もちろん私もお手伝い。

その間、朔は傘立てが見えるところで張り込みしてもらうことにした。もちろん、蝙蝠の姿でぶら下がって。これなら目立たないしね。


しばらくして、朔が私を呼びに来た。

廊下に出てから「今、持って行った。部室のロッカーに入れてた。」と耳打ちした。

「やっぱりかぁ。」

「しかも今、ちょうど下校する生徒が少なくて、下駄箱に人気がない時間だしな。」

「そうだねぇ。で、どうしようか?今日とっ捕まえる?」

「とっ捕まえるなら現場を押さえる方がいいだろ。とりあえずホシは見つかったんだから、次回ってことで?」

冷静な朔の言葉に、私は唇を突き出す。

「う~ん。しぶしぶ了解。じゃあ、今日は裏をかいて早く帰ろうか。彼の部活が終わる前に!」

「…なんか泉原がかわいそうに思うのはオレだけ…?」

「むふふ。邪魔してやる。」

私は悪魔の笑みを浮かべて言うのだった。




有言実行。

今日は茉実を急かして5時過ぎには下校してやった。

ふふふ。もちろん泉原くんは現れず!

肝心の茉実の傘は、朔がこっそり取り返してきてくれて(もちろん私の指示!)、茉実の気付かないうちに傘立てに刺しておいた。


泉原くん、驚くだろなー。あるはずの傘がなくなって。しかも、わざわざ茉実のをぱくってきたものだからね。焦るかな?

でも、久しぶりに塾もなく早く下校できたから、茉実と朔と3人で駅前のカフェでお茶なんかできちゃった。

4人掛けのテーブルで、茉実と私が並んで座る。私はチーズケーキとレモンティーを、茉実はガトーショコラとミルクティー、朔はストレートのダージリンを注文した。


「あ~なんかホント久しぶりにゆっくりできたね~。」

私は大好きなチーズケーキを食べながら、茉実に言う。

「ほんとほんと。音々も永山くんもいつも付き合ってくれてありがとね!一人だとなんかやっぱ心細いし、わいわいやってるとあっという間にできちゃったりするもんね。」

茉実はミルクティーを味わってから、かわいく笑う。

「もうほとんど作業は終了でしょ?後はクラスの作業のみよね。」

私は茉実に言った。そう。居残りなどで頑張ってきたから、茉実の分担の作業はほぼ終了していたのよね。

「うん。ほんと、早くできてよかったよ~!」

「じゃ、今日は茉実のおごり?」

ニヤリと笑いながら茉実を見る。

「ぐっ…はい、リョ~カイ。もう、音々ってば笑顔が黒いよ!あはは。」

「ところでうちのクラスって、カフェやんだったっけ?」

私の腹黒い笑顔を苦笑しながら見ていた朔が言った。

「みたいね~。女子だけじゃなくて男子も接客するらしいよ?」

私はレモンティーを飲んでから、朔に答えた。

ワタシ的には普通のカフェだと思っていたんだけども、茉実がそこでびっくりカミングアウト。

「メイドと執事っていうのが基本コンセプトらしいよ~。セレブ気分を味わえるカフェ?みたいな?松本くんいわく。」

「「はぁ?!」」

朔と私の声がはもったわ。メイドぉ?執事ぃ?

セレブ気分とは方向が違うんじゃないか…?

「じゃんけんで決めるのかなぁ?荒れそうよね?」

茉実は何でもないことを告げるようにニコニコしてる。

「てゆーか、やりたい子、いるのかしら…?あ、朔、執事似合いそ~!」

そーいや初めて出会った時の朔の服装って、ほぼ黒に近いダークなスーツにマントだったよねぇ。マントを取れば普通に執事できんじゃん。

顔もカッコイイし、似合いすぎ。

「まあな。じゃ、執事やっとくか。」

ニヤリと笑って紅茶を飲む朔。

「あ~、でも執事っつーかホストと間違えられそうよね。」

「どっちでも。No.1取ってやる!」

「あはははは!じゃ、永山くんは執事決定ね!じゃ音々はメイドしとく?」

おかしそうに茉実が笑いながら言った。私までメイドにしようってか?!

「ダメ。音々は皿洗い。」

私が答える前に朔が即答。私に選択権はないのかーと言いたいとこだけど、むしろメイドなんてやりたくないのでうんうん、と同調。

「そうそう。私は茉実と裏方さんで充分よ。」

「え~!だって永山くんと音々がいたら最強よ!音々がメイドしないなんて集客力大幅ダウンじゃない!」

茉実がなぜか力説する。拳を握ってるよ。

「いやいやいやいや、そんなことないから。客なんて寄ってこなくなるよ?私の分、朔に頑張ってもらうから!」

チーズケーキを刺したままのフォークをぶんぶん振って拒否する。

「よし!音々の分まで頑張るか!」

「「似合いすぎて怖いかも~!」」

茉実と私の声がハモった。




なんて、文化祭の話で盛り上がっていたところ、ふと店の外に目をやると、ばちーんと見た顔と目が合った。

「あ、泉原くんだ。」

部活帰りかな?バスケ部の仲間らしき男の子たち数人と、ちょうどお店の前を通り過ぎるところだった。

「ほんとだ。部活帰りだよね?あ、もうそんな時間かぁ。」

と、茉実がのんびりした声を上げる。でも泉原くんの方は茉実を見てちょっと驚いたようになってる。そりゃそーよね。茉実の傘、なくしちゃったんだものね。ま、正確に言うと取り返したんだけど。

「部活お疲れ様ー。さよなら~。」

と、何も知らない茉実はかわいく手を振ってる。つーかここお店の中だから聞こえないよ。茉実。

ちょっぴり怪訝な顔をしつつ、泉原くんも手を振りかえして帰っていった


今日も読んでくださってありがとうございました!


次回で完結予定です☆

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ