04 親友からのアドバイスその2
次回が長くなるので、このエピソードは短めです。
「兄ちゃん起きろー。朝だぞー。」
「うぅ…」
いつもの時間に起こしに来るナタリー。もう朝か…4時間ほどしか寝られなかった…。
「ほらほら、起きないと大変だぞー」
「ううぅ…辛い…」
昨晩はネイトの話が頭にこびりついて寝つきが悪かった。結局、デートの誘い文句は決められずじまいだった。
まあ、そんな深く考えなくてもいいか。今朝も昨日と同じように駅へ向かいタイミングが合ったら、みんなの前だけど遊びに誘ってみよう。
僕らの友人としての関係値は両家族も十分わかっているはずだ。
昨日と同じように洗面台に立ち、朝食を食べ、用意をし、家を出る。残念ながらモモア家とタイミングは合わなかったようだ。
駅に着き、アンクーバー行の電車に向かう途中、ダビデを見かけた。
ここにいるってことはこいつもアンクーバー行だな。隣に並び、肘で小突くとちらっとこちらを見てから小突き返してくる。そのまま電車に乗り、隣の席に座る。
「おはようジン、今日も寝不足か?」
「おはよ。4時間。かなり寝不足です。」
「マジかー。体に気をつけろよ」
いつも通り、電車が発車してから朝の挨拶。
「今日もお互いアンクーバーなんだな。」
「そだね。ちなみに昨日の帰りネイトと一緒になったよ。」
「え、いいなー。アンクーバー間の微妙な移動時間が一番暇なんだよね。他ならぐっすり寝れるのに。ちなみにどんな話したのさ?」
ぐっ。思い出してしまった。アリエルが僕に気があるかもって話だぜ!なんて言ったら大分恥ずかしいやつになってしまう。
「いやー、仕事の話とかだったかなー」
「そか。そりゃそうだよな。」
嘘はついていない。
「あー、あのー、と、ところでさ…」
「ん?どした?」
嫌な予感…。数秒もごもごしてからダビデが口を開く。
「い、いやー最近どう??あのー、えー、恋愛的な話とかなんとか!」
「君不器用だねぇ」
おもしろ。
「い、いやーね?俺も頑張って恋したいなーなんて思ってね?ジンもそうでしょ!?」
このまま暴走を見続けるのもオツだが、顔を赤らめながらオタオタしてるのが少しかわいそうだ。
「昨日、ネイトと何か話した?」
「んぇ?ネイトとは何も話してないけど。」
「ん?」
ん?そんな事ある?こいつはこの通り、嘘や隠し事が苦手なタイプなので、この素の反応を見る限り本当にネイトとは話していないようだ。どういうことだ?
少しの間考え事をして頭の中がぐるぐるしていると、ダビデが追撃をしてくる。
「い、いやー!俺らももう16歳だし、恋人とか作らないとだよなー!ところでアリエルのことどう思う?」
こいつおもしろすぎるだろ。
「どうってどういうこと?」
「ほら!アリエル超かわいいじゃん!恋人にしたいとか思うでしょ!」
「現時点だと分からないなー。お前も知っての通り、僕まだ恋愛とかよくわかんないんだよね。」
「あ、あぁ、そうだったな。ごめん。」
少しシュンとするダビデ。なんか僕が悪いことしたみたいじゃんやめてくれよ。
「いや、昨日ネイトに同じようなこと言われたんよ。アリエルと最近どうなのって」
本当に二人は繋がっていないのか確かめるために、もう一回ネイトの名前を出す。
「ぅえ!?そうなの?何で!?」
あ、本当に何もなさそう。
「何でだろうね。あいつは僕のこと自己肯定感が低すぎるのが欠点で、彼女ができると幸せだから、彼女を作ったら自己肯定感も上がってダブルでハッピーだぞって話してたかな。そこで幼いころから仲のいいアリエルなら彼女にぴったしじゃないか、みたいな感じだったと思う。」
「ふ、ふーーん。そうだったのか」
と生返事を返し、逆を向きながらボソボソと独り言を話し始める。
ダビデは本当にまっすぐな男で、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いと正面からいうタイプだ。だから何かを画策しようとするととんでもなくポンコツになってしまう。
でも、コイツは筋を通すときは何があっても通すもんだから、一緒にいて気持ちがいい。こうしてポンコツになるのも見てて楽しいし。
…ということは、今何かを画策してるのか?
「そうだな!ネイトの言う通り、お前は自己肯定感が低すぎるぞ!だから彼女を作ろう!」
うーん、すごく突拍子がない。
「彼女にするとしたら誰が良いと思う?」
「アリエルだ!」
少し面白くなって、変な質問をしたけどやっぱりまっすぐ返ってきた。楽しい。
「ちなみに何でアリエルなの?」
「それはアリエルがジンのっ…ジンにぴったりだからだな。うん、そういうことだ。」
なんか歯切れが悪かったな。
「でもアリエルに他に好きな人がいたら無理じゃない?」
「それはありえっ…そんなことはないと思うぞ。多分だけどな。」
「そうなのかなー」
正直、昨日の今日でこれだと少し考えてしまう。何でこのタイミングで二人とも僕にアリエルのことを意識するように仕向けてきてるんだろう。
もしかして本当にアリエルが僕のことを想ってくれていて、この二人が僕らをくっつけようと策を弄してるのか?そう考えるとすべて辻褄があってしまう。
…マジで?アリエルなら誰だって選び放題だろうに、なんで僕なんかを…。まあまだ決まったわけではないけど。
「ちなみに、なんでこのタイミングで僕にアリエルと一緒になってほしいって思ったの?」
「そ、それは…すまん、答えられない。」
あ、マジでそうかも。
「そっか、分かった。」
それ以上は突っ込まない。ダビデもかなり無理してるっぽいし。
「ちなみにだけど、昨日ネイトにも同じようにアリエルのこと聞かれて、いろいろ考えて次の休みにデートに誘うことにしたよ。」
ダビデも疲れてそうだから、少し助け舟を出してみる。
「そうなのか!?めちゃくちゃいいと思うぞ!うん!!」
すんごい勢いで乗船してきた。
「なら俺からアリエルに話しておこうか!?」
「いいよ。僕から誘うから。」
「そうだな!デートは本人同士で決めたほうが気持ちが良いよな!うん!」
本当に気持ちがいいやつだな。
笑顔でうんうん言ってるダビデを横目に、アリエルのことを考えてみる。
これはいよいよさっきの仮説が現実味を帯びてきたな。正直一番仲のいい女の子だし、お互いのことを十二分に分かってるから、現時点で付き合う女性といったらアリエルしか出てこないのも事実だ。
そうやって、先のことを見据えてデートとかしたら、こんな僕でも恋したりするのかな。
正直不安はあるけど、デートに誘ってみてOKだったらそのつもりで接してみよう。
駅に目的地に到着した。ニヤニヤを隠しきれていないダビデと別れて、指定された番号へ向かう。




