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03 恋する少女の日常

≪アリエル視点≫




「おはよー」

「あらアリエル、おはよう」

「おは!」


現在午前4時。昨晩は1時に寝たから、だいぶ眠れたほうかな。どおりで頭が冴えてる訳だ。


お父さんとお母さんに朝の挨拶をして、二人と同じように仕事の準備を進めていく。

今日はウレーでお仕事だ。片道4時間弱かかるから、正直行きはめんどくさいけど帰りは寝てたらすぐだし、お家で寝る必要もなくなるから良し悪しはどっこいどっこい。


ジン君は今日はどこでお仕事だろう。

ウレーだったらうれしいな。電車で4時間もおしゃべりできる。

今日は同じタイミングで駅に行けるといいな。駅までの十数分隣を歩ける。

私がジン君を想うのと同じように、ジン君も私のこと思ってくれてたらいいな。こうやって朝から晩までお互いのことを想ってるなんて、超ステキ。




今日も私はジン君のことを考えながら一日を過ごすのだろう。あの、見た目がちょっと変わってて、身体が誰よりも弱くて、でも心は誰より強くて優しい、可愛くてイケメンな私の想い人。

自己肯定感皆無な彼は、きっと私がこういう気持ちを抱いてるなんて微塵も考えていないんだろうなぁ。ちょっとは気のあるそぶり、出してるつもりなんだけど。


幼いころ、何度彼に助けてもらったことか。私が困っているときに必ず助けてくれて、でも弱っちいから結局私が彼を手助けして…。

そんなことが何回もあって、気づいたら私は彼のことが大好きになってた。

まあ彼の口ぶりからするに、彼は私を助けた記憶なんてなく、情けなくも自分が女の子の私に助けられてばかりの幼少期だったと思ってるっぽいけど。




「「「いただきます」」」

各々の準備が終わり、全員で朝食をとる。内容は今日もパン切れ一枚とゆで卵一個だ。

「「「ご馳走様でした」」」

全員60秒ほどで完食。私も一回は人間みたいにお肉をお腹一杯食べてみたいなー。

そうだなぁ。ジン君とレストランにデートして、一緒にたくさんのお肉とワインを楽しんで、その後もいろいろ楽しんで、グヘヘヘ。




「ところでアリエル、ジンと進展はあったのか?」

おっとっと、幸せな世界へ旅立ってしまっていた。私の夢は置いといて、とりあえず今は彼との関係を進展させないと。

ちなみに、この質問をしてきたお父さんはもちろん、お母さんも私のジン君に対する想いを知っている。

それを知ったとき、二人とも大喜びだった。それくらい、私の家族からもジン君は信頼されてる。


「今はまだないよー。でもね。」

フフンと鼻を鳴らす。二人の顔が期待に膨らむのが分かる。

「ジン君の親友に手伝ってって頼んだ!!」

二人の顔がしょぼしょぼしていくのが分かる。なぜ?

「なによ。お母さん、ジン君もあんたに気があるとか言うと思ったのに。」

「ドヤ顔するにしては内容しょぼすぎだぞ娘よ。子供でもこさえてきたのかと思ったのに。」

お母さんはともかく、こいつは何を言っているんだ。進展はないと言うたぞ。もう今日は口きいてあげない。


「とにかく!とても信用できる人たちが仲間に加わったの!これで百人力のはずなんだから!二人とも座して待ってて!」

「まあ座して待ってるのは良いけど。ちなみに昨日ジンが破れた作業着俺に直してほしいって渡してきたんだけど、お前直すか?」

「……直す」

パパ好き。


「睡眠時間削ってしまって申し訳ないとか、家族にそういうの得意なのがいないとか、ずっと申し訳なさそうにしてて面白かったぞ。また今度お礼させてもらうって。返すときに俺の手が空いてなかったからアリエルにやらせたって言えばお前にお礼が来るんじゃないか?」


え…?パパってこんなシゴデキだっけ?いつもほげーって顔して、下ネタ以外何も考えてなさそうなのに何でそんなこと思いつくの?恋愛マスターじゃん。今までで一番尊敬した。てかお礼って何が来るんだろう?お花の冠とか?休日にデート連れてってくれるとか??え…キスもありなの???あっそんなことまで…。


「お礼は子供がいいなって言うんだぞ!」

「今回はその非礼も許そう。」

「なんか恋愛に対する行動や思想が若いころの母さんに似てきたなぁ」

「あら。じゃあ想い人ゲットできるわね。」

「よせやい」


イチャイチャしてる二人を横目にジン君の作業着を胸に抱きながら彼のことを考える。両思いでもないのに、彼のこととなるとこんなにも人生が楽しくなる。彼ももっと人生を楽しんでほしい。

彼がこういった感情を持つ相手が私だと最高だけど、そうじゃなくても彼が幸せになれるなら私も嬉しいと思う。…いや、やっぱ無理かも。超きつい。

てか作業着の匂いが香ってくるんだけど良い匂い過ぎない!?超好きな匂いなんだけど。汗臭いはずなのに全然嫌じゃない。なんか聞いたことある、お互い体臭が好きなカップルは遺伝子的に相性がいいとかなんとか。え?運命じゃないのこれ。


「グヘへへ」

「…母さんそっくりだな」

「え、嘘って言って嫌なんだけど。」




「「「いってきまーす」」」

そんなこんなで出発の時間。神様お願い!ジン君たちも同じタイミングで出発させて!

「あ!カドラー家勢ぞろいじゃん!おはよう!」

「おっ、おはよう!」

神様ありがとう!


「皆さんおはようございます。ジン君おはよ」

朝の挨拶をしながらカドラー家全員の顔を見る。そして最後にジン君を見つめる。ヤバい超かっこかわいい。そのままジン君の隣を陣取り、みんなで歩いて駅に向かう。隣にいるだけで少し心拍数が上がる。

正直仕事はしんどいけど、ジン君のおかげで毎日が楽しくてドキドキだ。恋人になれたら、これ以上に幸せになるのかな。




ジン君との会話を楽しみつつ、ハッピーエンドの将来への希望を募らせながら、一日が始まる。

よし!今日も一日頑張るぞ!

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