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26 種族保存の本能+キモチ

当初の原稿より大分マイルドにしたつもりなんですが、大丈夫ですかね…?

一応このためにR15にしましたが少し不安…。

≪ソフィー視点≫




「すぅ…すぅ…」

「……せんぱい?」


本当に大変な一日だった。特に、この人にとっては。

ちゃんと眠っているか確認するため、ボソボソと彼の名前を囁いてみる。


「すぅ…すぅ…」

「イネスさーん?おーい、寝ちゃった?」

「すぅ…すぅ…」


私のお願い通り、こちらを向きながら眠ってくれている。

もう…無理…。


「イネス…さん…んっ」


寝ている彼にキスをする。

我慢の限界だった。

今日一日、正確には彼が私の家まで迎えに来てくれた時から、ずっとこうしたかった。

それまで、付き合うならこの人が良いな程だった思いが、あの瞬間明確に好きに変わってしまった。


「んッ…ちゅっ…イネス…さぁん」


なけなしの魔力を使いながら、私をおんぶしつつエマちゃんを抱っこして走る姿は、もう一生忘れることはないだろう。

…いや、その姿だけじゃない。今日一日の彼の姿が脳裏に焼き付いて離れてくれない。


「はぁ…はぁ…すぅーはぁー」

唇を離し、彼の首筋に顔をうずめ深呼吸をする。

汗だくになったままお風呂に入れていない彼の濃い匂いを肺いっぱいに何度も吸い込む。


「ごめんなさい…私…変態みたいです…んっ」


首筋から離れ、またキスをする。

舌を入れて彼の口内を味わいたいという衝動を、眠りから起こしてはいけないという理性で何とか抑え込む。


「んんン…ごめん…なひゃい…」

ペロッ

でもすぐ我慢できなくなり、少しだけ彼の唇を舐める。


欲しい。全部ほしい。今すぐ欲しい。


何だろう、これは。こんなにムラムラしたことは今までの人生で一度もなかった。

自分でしたり、イネスさんとしたいなと思う気持ちはこれまでもあったが、こんな身が焦がれる感覚は初めてだ。

死にそうな思いをした日なのに。…いや、だからなのかな…?


「すきっ…んちゅ…好きです…ちゅっ…大好きです…はむっ」


もう、止まらない。

彼が起きてしまっても構わない。むしろ今起きて、こんな自分に少しでも欲情して、そのまま無茶苦茶にしてほしいと思ってしまっている。


「はぁ…はぁ…ごめん…なさい…んちゅ…んんんッ」

もう一度謝り、彼の唇を感じながら自分の下腹部に手を伸ばす。

もうだめだ。一度こうしないと、絶対眠れない。


「んん…っ…ふっ…ちゅっ」




彼との出会いは大学1年のとき。適当に入ったアウトドアサークルだった。

それまでおしゃれに興味がなかった私は、大学デビューのために派手目な服装を何着か揃え、ピアスも2個開けた。

別に彼氏が欲しいというわけではなかったけど、なんとなく大学に入りこれまでより明るく楽しくやろうと思った、それだけの理由。


彼の第一印象は優しそうで少しカッコいい人。

たまに語尾が伸びる間抜けな感じが可愛く、明るくノリも良かったから、サークル内でいじられキャラと知り『まあそうだよね』という感覚だった。


アウトドアサークルのくせに、アウトドアの行事は年に1回しかやらない、基本的には飲んだり親しくなった人と集まって遊びに行くだけの緩いサークルだった。

楽しくサークル活動をしながら数カ月が経つと、周りの女子や高校の友達みんなに彼氏ができ始めた。

私も何度か告白されたけど、良いなと思う男性がいなかったから全部断ってた。


そして、周りがみんな『そういう話』をし始めた。

あんなことした、こんなことされた、あれが気持ちいい、あれが恥ずかしかった。

経験のない私はへーそーなんだーと流すだけだったけど、やっぱりいろいろ聞いてると”してみたいな”という考えにどうしてもなってしまった。

別に焦りとかはなかった。ただ興味が出ただけ。


そして下期に入り、サークルで大き目の飲み会があった。

そこで彼はいつも以上に先輩にも後輩にも飲まされ、ベロベロになってしまった。

まあ、私も飲ませた一人なんだけど。


飲み会が終わって解散した後、住まいの話になって自分の住所を教えると、『ふえぇ?兄貴とご近所だぁ』と間抜けな声で驚いてた。

それから『じゃあ送ってくよぉ』と言われ、優しさに甘えて送ってもらった。


家に着いた後、『ばいば~い』と言い帰ろうとする彼を半ば強引に家に招き入れ、休んでもらった。

私も酔ってたし、この人なら良い、そう思える唯一の人だったから。


そこからベッドに寝かせ、『大丈夫だって、悪いよぉ~』と遠慮する彼にキスをしてみた。ファーストキスだったけど、とくに特別な感じもなく、まぁこんなものか、という感想だった。

彼は最初頭にはてなを浮かべ、そのあと『だめ~。僕好きな人いるから~』と言ってきた。

酔ってるんだから仕方ないですよと謎理論を展開してみたら『そうなのかな~?』とあっさり受け入れてしまってた。


でも私はそういう知識が全くなかったから、とりあえず服を脱いでから彼の衣服を無理やり剥ぎ取り、あとは彼に任せようと思った。

でも、彼は服を脱がして寝転んだ後、すぐに寝落ちしてしまった。

一人でやってみるかと彼の身体をいろいろ触ったけどよく分からず、なんか悲しい気持ちになったのでその日はそのまま私も寝てしまった。


翌朝の彼の焦り様はとても愉快…というより、申し訳なくなるほどだった。

『ごめん、本当にごめん、変なことしちゃったよね、もう顔も見たくないよね、僕もうサークルやめるから、勝手だけど慰謝料は働きだすまで待っててもらえないかな』

涙ながらに謝る彼を見て、ああ、やっぱり付き合うならこの人だなと再認識した。


私が気にしていないことを何とか理解してもらって、これまでと変わらない関係でと納得してもらった。

…というか最後までしてないし、その状況を作ったのは私だったんだけど。


その翌週、酔っていない彼を家に招き入れ、『1回も2回も変わらない!』と、彼に対して2回目の謎理論を呈し、断り切れない彼と、私は初めてを経験した。


初めては地獄の痛みだった。これの何が良いんだろうと心から思った。苦痛に悶えてるってバレないために声を殺して何とか耐えた。

でもその時分かったことがあった。彼は最中ずっと優しくて、彼の指や唇に触られると心地よく、安心できた。ああ、このためなら痛みも我慢して良いかもと思えるほどに。


そこからは週に1~2回、付き合ってもいないのに体だけの関係が続いていた。5回目くらいから私も痛くなくなり、最初から最後まで楽しく気持ちよく行為に励めるようになった。


そして身体を重ねるたびに、彼への想いが深まっていった。




「んっ、ふぅ…んんッ…ちゅっ、はむ」


そんなこんなで、彼がそのあと付き合った彼女と別れたと聞いた時、早く彼に触れたい、触れられたい、という気持ちでいっぱいになってしまい、この間あんな態度を取ってしまったのである。

でも、その時はそれだけしか感じていなかった。


「いね…さんっ………ッ!」


でも、今は違う。

今日の彼の行動力、気遣い、信頼感は本当に私の心を打った。そして最後、私だけに見せた弱音と涙…。


「はぁ…はぁ…はぁ…」


あの涙で、今日『好き』になった私の想いは、その日中に『愛』へと変わってしまった。

私がこの人を支えたい。この人に何があっても、どんなことが起こっても、この人の涙を拭って、心と身体に癒しを与えるのは私でありたいと思うようになった。


「はぁ…はぁ……。イネス…さん、私、あなたのこと、すっごく好きになっちゃったみたいです…」


袖で簡単に彼の唇辺りを拭いながら、返事はないことを分かり切ったまま、彼に囁く。


「でも、ずるいです。あんな姿見せられて、恋に落ちない女の子なんていないと思います。」


彼の胸に顔をうずめ、匂いを感じながら目を閉じる。


「これから大変ですけど、私が傍にいます。だから、精一杯お兄ちゃんを頑張ってください。家族のために奔走してください。私も力になります。それで、疲れたり、泣きそうになったら、私が胸を貸しますから。」


一度離れ、唇に軽く寝る前最後のキスをする。


「私、頑張っちゃいますから。あなたの周りが落ち着いたら、これまでみたいじゃなくて、本気でアタックしちゃいますから。」


再度彼の胸に顔をうずめる。


「おやすみなさい、イネスさん。どうか、あなたの頑張りが実を結びますように。」


心地いい疲れと、大好きな人の匂いを感じながら、私は深い眠りについた。

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