14 親になるということ
≪ジョージ視点≫
子供たちが寝室に入り、リビングで俺とコレット二人になる。
「ねぇ、あなた。あの子は、大丈夫なの?」
「ああ、あいつなら大丈夫だ。」
「…私には、話せないこと?」
「すまん。」
「…そう。」
今のあいつの状況を、あいつの苦悩を、あいつの決意を、ここで俺からコレットに話すことはできない。
あいつが自分のタイミングで打ち明けることしか、許されないと思う。
「でも大丈夫。ジンは強い子だ。絶対に、お前とナタリーにも話す時が来る。」
「分かったわ。待ってる。」
俺の愛した女だ。自分の息子がどんな決断をしても、悲しみはするだろうが理解しようとしてくれるだろう。
だが、ナタリーはどうだろうか。今までも当たり前のように人間を嫌っていたが、今日のことでそれに拍車がかかってしまった。ジンがこのことを告白した時、あの子は受け入れることができるのだろうか。
「ねぇ、あなた。今日、ジンとどんな話をしたかは分からないわ。でも、とても重要なことだったのは想像できるし、正直、間違ったことをしたんじゃないかって感じてる。あの子が涙を流すなんて普通じゃないもの。…それでもまだ、あの子のこと愛してる?」
「当たり前だ。ナタリーと同じくらい愛してるに決まってる。あいつのためなら命でもなんでも捧げられる。」
「…そう。安心したわ。」
『間違ったこと』に対しての否定はできなかった。実際、ジンは『間違ったこと』をしてしまっている。
コレットはおそらく、それを確かめるためにあえてその言葉を使ったんだろう。
「お前は、どうなんだ?仮にあいつが間違ったことをしてしまったとしても、あいつとまだ一緒にいられるか?」
「当たり前でしょ?母親を舐めないで。おなかを痛めて産んだ子じゃなくても、間違いなく彼は私の愛する息子よ。あなたと同じように、命を懸けてあの子を守るわ。」
「そうか。ありがとう。…なぁ、コレット」
「ん?」
「俺たちは、俺たちだけは、あいつの味方でいような。支えてやろうな。」
「それも当たり前よ。何があっても、あの子を幸せにしてみせる。」
本当に、安心した。
この先、ジンにどんな困難が待ち受けているかなんて想像もできない。傷つき、疲弊し、限界を迎える瞬間が、幾度となくあいつを襲うはずだ。
でも、何があっても俺とコレットがそばにいる。
だから息子よ、無理してきな。お前が安心できる場所を、俺と母さんが守っていてやるから。




