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前章①

 最初に生まれたのは無でした。


 無は有を生み出します。有は形をなして自らを『神』と呼ぶようになりました。最初の神は二人、後の『大天神』『創造神』です。

 二神はこの世に降り立った最初の神として、何をすべきなのか、成すべきかを話し合いました。それを二神は「夢」として、自らの力を使って叶えることにしました。溢れるほどの力は、二神の「夢」を叶えてくれます。


「ね、上にキラキラした世界が見たいな」

「キラキラ……?」

「うん、明るい粒が上にたくさんある感じ!」

「……いいじゃないか、創り出してみようか」

 創造神は考えました。大天神が言うキラキラした世界とは何なのか、キラキラとは何なのか、輝くと言うことに近いのか、と。

 創造神は「魔法」が得意でした。そして、それらを創り出し発展させる事に生き甲斐を感じていました。それは、創造神が大天神に勝る、唯一無二の才能でした。

「……光、をどうしたいのかな」

 呟いた言葉に魔法が宿ります。胸の前に伸ばした手には明るく強い光が立ち上ります、それはどこまでも真っすぐで、先が見えない程の光柱です。創造神の顔が明るく照らされ、大天神の紅潮した顔が覗き込みます。

「え!違うちがうよ!」

「そうか、じゃぁこうしてみようか」

 大天神の言葉に合わせて光の量を減らします。すると、光柱は徐々に小さく淡く、創造神の掌に収まるほどに落ち着いてきました。創造神は笑い、それらを掲げて言葉を紡ぎて魔力を流します。

「光よ、粒となれ」

 光はうようよと動き出し、飛び出します。

「わ」

「この天を、駆け巡れ。描け、そなたらは星である」

 魔法は続きます。掲げた掌からは無数の、光が流れるように天を覆います。

 右へ左へ、上へ下へ。回って転がって、広がって縮んで。二神の周りを回り、揺れて、離れていきます。それはまるで、光が意思を持って天を駆けている様でした。

 創造神によって、光は「星」になりました。

「わ、わっ……凄いっ!凄いよ!」

「巡れ、ゆらめけ」

 創造神の指が何かを弾くように動けば、一粒の光が跳んで別の場所へ動きます。すると、それはまるで何かの形になりました。五つの角がある何かの形。

 大天神は、その瞳のなかに星を閉じ込めます。輝く光を、その白い透き通るような瞳に落とし込み、逃げ出さないように目を閉じます。創造神は、とても嬉しくなって更に言葉を紡ぎます。

「巡れ、弾けろ」

 すると、ある星が強く色を持って輝きだしました。赤色に、あちらでは緑に。青や橙、白に金。

 様々な色の星が生まれていきます。大天神の瞳に映る輝きも増えていきます。様々な色が、白い瞳の中で混ざり合い美しい虹を作り出しました。今度は、まばたきもせずただただそれを取り込み、己のなかに落とし込みます。

 創造神の中には、魔力を持った言葉が湯水のように溢れ出していました。頭の中に渦ができ、己にしか分からない言語が出来上がります。それを創造神は、指先で腕を振って体現していきます。

 これを後に人は「古語」と呼ぶようになります。


「ねぇ!ねぇ!凄い!凄いね!君はなんでも作り出せるんだね!」

「なんでもという訳にはいかない、君の方こそ大丈夫なのかそんなに取り込んで」

「大丈夫さ!だって、世界を作るには色んなものを見ないとね!」

「そうか、君がそう言うなら良いんだ」

 創造神は、口角を少しだけ上げて天をみます。

「いつまでも見ていたい、ずっと見せてよ!」

「いいぞ、君と話す時間を削っても良いのならな」

 創造神は、笑って言います。

「え、そうなの」

 大天神は、驚き隣の創造神を見つめます。すると、創造神は何のこともなく当たり前のように言葉を返します。

「ああ、魔法は常に集中していなければいけない。じゃないと、この光が私達に振り注いで、此処は破壊されてしまう、きっと形も残らないだろうな」

 創造神は、カラカラと笑いました。大天神は、何が面白いのか分からず首を傾げます。創造神の笑いのポイントは本当に分からない、今の何が面白かったのだろうと、大天神は体を曲げました。

「君はいつも変だよね」

「君には負けるさ」

「そうかなぁ」

 創造神は、星を落としました。すると星は、二人の足元を通り元の場所に戻ります。

「そうだよ」

「ならば問おう。大天神よ、私殿との時間を奪われず、この天を維持するためにはどうすれば良い」

 創造神の魔法が紡がれる、それはまるで歌の様に響き天を震わせます。星は歌に乗って縦横無尽に駆け巡り、大天神の頬を掠めていきました。

 大天神は、体を起こしながら動き回る星を見つめます。そして、考えるのです。


 大天神は、総てを司る神として生まれました。天を統べる、神を統べる、己の力さえも創造神の力さえも統べる神。どんなものであれ、大天神を超えることはできず、超えることは許されない絶対の神。

 創造神よりも強大な力は、世界を壊し創り変える事ができ、新たなものを「生み出す」事ができる神でした。

「分かった、神を作ろう」

 そう言った瞬間に、大天神の瞳が虹色に輝きます。それは、取り込んだ星達が踊っているようでした。

「神を創り出す魔法を、我に」

「御意」

 創造神は、星を巡らせる言葉の隙間で、新たな魔法を創り出します。それは、神を創り出す魔法。今迄、創り出した事のない魔法。創造神は胸を高鳴らせ、耳の中で音色の様なアイデアが弾けていきます。

 創造神は、笑って考えます。自分達の様な神を、星を統べる神はどんな者なのかと。そして、大天神は虹色の瞳でそれを見守りました。

 そして、その時はやってきます。

「星をつなぐ」

 まるで、振り注ぐ光のような魔法でした。

 創造神の口から紡がれる魔法に、大天神も重ねるように紡ぐ。大天神は、腕を持ち上げ手を掲げます。


 「星ならず、光を統べる」

「流れる星を、形あるものへ」

 「光を創り、星は流れる、その先にある光を」

「形無きものへの存在意義を与えよ」

 「光とは大天神のものであり、そなたはその片理を持つだけである」

「嗚呼、歌えよ、踊れ」

 「何人たりとも、これは破られぬ」

「「出でよ、オーリー!!」」


 星よりも強い光、それは光柱よりも大きく高く一瞬で星を割りました。轟音と共に天が揺れ、二神の視界を一瞬で奪い熱を生みました。

 しかし、それも一瞬のことで、瞬きをすれば残ったのは小さくも偉大な、小さな魂でした。その瞬間、新たな神ができあがったのでした。


 大天神の掌に生まれた光の球体は天にある星を集めて、磨いた様な神でした。

「できた」

「できたな」

 大天神は、掌に生まれた神を見て頬を染め、白い瞳を細めました。両手で抱えて創造神の目の前につ突き出します。

「みて!みて!みて!」

「見えてる、見えてるよ!」

「ほら!ほら!ほら!私たちが創った!私たち二人で!」

「知ってる、知ってるよ!」

「わぁぁぁっ!凄い、凄いなぁ〜。嗚呼、オーリー……オーリー!」

 大天神は、オーリーと名付けられた神を胸に抱いてステップを踏みます。すると、踏んだステップの音から魔力が溢れます。小さな光は、星よりも細かく煌めき大天神とオーリーが通った場所を辿るように、粒子が流れていきます。

 赤や黄色、白に青など様々な色が溢れた道は後に「誕生星河」と呼ばれ、新たな世界で見られるようになりました。

 創造神は、オーリーを抱えて機嫌よくステップを踏む大天神に声をかけます。

「君、早いところオーリーに器を。そのままじゃ、欠片になって消えるよ」

「あ!そうだ、そうだね!」

 創造神は、ため息をつきます。

 大天神は、息を思いっきり吸い込みます。周りの空間が歪み、吐き出した息に魔力が溶けてオーリーを包み込みます。包み込むような粒子が吐息から溢れ出し、流れていきます。

「そなたに器を 脆く儚い魂を守る硬い殻を授けよう」

 大天神の魔力がオーリーを取り巻きます。

 先程の様な、強い光ではなく。淡く緩やかな優しい光、大天神から溢れる魔力を吸い取り言葉を芯に渦を作ります。徐々にそれは大きくなり、大天神の元を離れていきます。

 大天神と創造神は、それを見守ります。

「そなたの名は『オーリー』 大天神の名のもとに 星詠みの神を名乗る事を許す」

 その言葉は、オーリーを天高く送り届けます。その瞬間、周りが揺れました。

「止まった」

 今まで、縦横無尽に秩序なく動いていた星が突然、止まりました。

 創造神は目を見張ります。なぜなら、魔法は浮かび指先を介して魔法を唱えているのにも関わらず、星々がまるで主が変わったことを理解している様に止まったからです。それは、秩序が生まれた瞬間でした。

 創造神は、口を開けて天を見ます。それとは反対に、腕がストンと落ちました。

 目の前では、オーリーの魂が意志を持って光を集め始めます。渦を作り、それに合わせるように星々は煌めきを一層強く、鮮やかにしオーリーへと届けます。光は徐々に、形を創り出します。それは、自分達と同じ形で、自分達の特徴を継いだ美しい神の姿でした。

 金の髪はまるで、流れ星の尾の様に漂い、大天神の様な瞳は金に輝き無邪気さを覗かせます。そして、美しく弧を描く唇は創造神そのものです。

「オーリー」

 大天神が手を差し伸べます。すると、オーリーは嬉しそうに笑い手を取り、跪きます。

「主よ」

 その声は聴いたこともないような、美しさを持っていました。そう、まるで星々の鳴き声の様でした。


 天の星々が一斉に光ります。それは、オーリーの生誕を祝福する様な、喜びに満ちた光でした。

 創世記によりこの日は「星詠みの神誕生」とし、この日を「光星誕」と記し新たな世界では神に感謝する日として受け継がれて行くのでした。


 創造神は、目の前で起きた奇跡に目を見張り。大天神は、跪く星詠みの神を見下ろしながら、興奮と充足感に笑みを深めるのでした。

●大天神…神を司る神、総てを統べる神にして神を裁く事ができる。その身に有り余るほどの魔力を持っている、魔法の発案は苦手、感覚派なので殆どの魔法は創造神から学ぶ。

●創造神…創造を司る神、何かを創る事が得意。特に魔法を創る事が得意で、常に頭の中で魔法の構築を行なっている。魔力量は大天神に劣るが、創造神にかしか使えないような魔法が幾つもある。しかし、構築式さえ理解できれば大天神にも使える気がしている。

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