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セリアとグリの奇妙な冒険
旅立ちの日は、思いのほかあっさりとやってきた。
王の命令は絶対。どれだけ異を唱えようとも、セリアは『神獣グリ』とともに魔王討伐の旅に出ることを余儀なくされた。
城門前に、整えられた一行が揃っている。
「よし、準備は整ったな!」
騎士団長が高らかに宣言すると、周囲の兵士たちは威勢よく頷いた。
それに対して、セリアはため息をつく。
(本当に行くんだ……しかも、この鳥と一緒に)
「グリ、いい加減おとなしくしてよね……」
「トウバツ! トウバツ!」
「だから、どこでそんな言葉覚えたのよ!」
セリアが頭を抱える一方、周囲の者たちは神妙な顔でグリを見つめている。
「やはり神獣様はやる気に満ち溢れておられる……!」
「きっと魔王討伐に導いてくださるのだ!」
何を言っても無駄だと悟ったセリアは、深いため息をついた。
(……もういい、どうにでもなれ)
そして、セリアとグリの奇妙な旅が、ここに始まったのだった。