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グリが消えた日
そんなある日。
「ちょっと換気でもするか……」
久々に部屋の空気を入れ替えようと思い、窓を開けることにした。普段は閉め切っているせいか、部屋の空気が重く感じる。
しかし、問題はグリだ。普段は放し飼いにしているが、窓を開けたままだと逃げる危険がある。
「グリ、お前はちょっとケージの中な」
「イヤダ! イヤダ!」
「いや、ダメだから」
グリは文句を言うように羽を広げたが、抵抗も虚しく俺に捕まえられ、ケージの中に入れられた。
「すぐ終わるから、大人しくしてろよ」
「オトナシクシロヨ!」
「それ、お前が言うなよ……」
俺は苦笑しながら窓を開けた。すると、突然、強い風が吹き込んできた。
「うわっ……」
部屋の中の書類が舞い上がり、グリのケージがグラつく。
次の瞬間——。
ガタンッ!!
「えっ……!?」
風の勢いでバランスを崩したケージが、窓際からそのまま落下していった。
「グリ!!!」
慌ててベランダへと駆け寄る。
しかし、下を見ても——そこにグリの姿はなかった。