そして朝が来る
朝日が窓から差し込み、セリアはゆっくりと目を覚ました。
「ん……ふぁぁ……よく寝た……。」
体を伸ばしながら、隣を見る。
しかし、そこにフィオナの姿はなかった。
「……あれ?」
寝床はすでに冷たくなっており、しばらく前に出かけたようだ。
セリアは布団から出ると、髪を整えながら村の人に尋ねた。
「あの、フィオナさんは?」
村人の一人が笑いながら答える。
「フィオナなら、今朝早く狩りに出かけたよ。」
「狩り?」
「ああ。彼女が村にいるときは、いつも朝早くから狩りに行って食料を調達してくれるんだ。だから、この村の人間は飢えることがない。」
セリアは驚いた。
(そんなことまでしてるの……?)
「それに、フィオナが狩りに出ると、周辺の獰猛なモンスターもいなくなる。村としては、本当にありがたい存在さ。」
村人の言葉には、心からの感謝がこもっていた。
「……フィオナさんって、ほんとにすごい人なんだな。」
セリアはしみじみと呟いた。
そのまま村の井戸へ向かい、顔を洗ってさっぱりとする。
「ゴハン!」
「はいはい、わかったわよ。」
村人が用意してくれた朝食を、グリと一緒に食べる。
パンとスープ、そして新鮮な果物。シンプルだが、温かい食事だった。
「うん、おいしい。」
食事を終えると、セリアはフィオナの帰りを待つことにした。
村の広場に座り、朝の空気を感じながら、ゆっくりと時を過ごす。
「フィオナさん、どんな狩りをしてるのかな……?」
静かな村の朝は、穏やかに過ぎていった——。




