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静かな夜に
俺はモニターを見つめたまま、腕を組んで唸った。
「……フィオナ、六騎士の生き残りだったのか。」
魔王軍を追い詰めた最強の騎士団。
だが、罠にはまり全滅したと思われていた。
「まさか、その中の一人が生きていたとはな……。」
しかも、今は身を隠しながらリューゲン王国を守っている。
セリアがどんなに誘っても、彼女が魔王討伐の旅に出ない理由は明確だった。
「……もし魔王がエルゴード戦を見ていたら、確かにヤバいよな。」
自分が生きていることがバレれば、村も国も危険にさらされる。
彼女がここに残ると決めたのも、納得できる。
それにしても……。
「こっちの世界にも、こんなドラマがあるんだな……。」
異世界を覗いているだけのはずなのに、まるで一緒に旅をしているような気分になってくる。
俺は、ふぅっと息を吐いた。
「……さて、こっちもそろそろ寝るか。」
気がつけば、現代の時間もすっかり夜。
グリの動向をずっと見守っていたせいで、体も少しだるい。
モニターを閉じ、布団に潜り込む。
「グリ、無茶するなよ……。」
そう呟きながら、俺はゆっくりと目を閉じた。




