寄り道しよう
戦いが終わり、セリアたちはようやく目的の薬草を見つけた。
「これが……ラグネルの薬草ね。」
セリアは手のひらで優しく包み込み、その瑞々しい葉を見つめる。
「やっと手に入った……これで、リューゲン王国へ戻れる。」
「ゴハン!」
「いや、報酬は飯じゃなくて温泉とかにしたいんだけど。」
疲労がピークに達し、セリアは深いため息をついた。
そんな中、女騎士が静かに口を開く。
「……寄り道をしてもいいか?」
「え?」
女騎士は倒れた兵士の遺体を背負いながら、森の奥を指さす。
「森を抜けた先に、小さな村がある。私が世話になっている場所だ。」
セリアは少し考え込んだ。
女騎士が、この兵士を大切に思っていることは伝わってくる。
「そこに行って、この人を埋葬するつもり?」
「そうだ。……戦場で死ぬ者は多いが、せめて知っている土地に眠らせてやりたい。」
女騎士の言葉には静かな哀しみが滲んでいた。
「……それと、村には温泉がある。一晩、疲れを癒してから戻るのも悪くない。」
「温泉!?」
セリアの目が一気に輝いた。
「……まあ、確かに私も疲れたし……」
「ゴハン!」
「お前はさっきから食い意地張りすぎ!!」
セリアは呆れながらも、軽く肩をすくめた。
「……わかったわ。寄り道して、村に行きましょう。」
こうして、セリアたちはリューゲン王国へ戻る前に、女騎士が世話になっている村へと向かうことになった。




