女騎士の実力
エルゴードの目が細められ、冷たい笑みが浮かぶ。
「ほう……貴様、生きていたのか。」
女騎士は歯を食いしばり、剣を構えた。
二人の戦いが、さらに激しさを増していく。
女騎士は鋭い剣撃を繰り出し、エルゴードの魔法を切り裂きながら接近する。
「チッ……!」
エルゴードも杖を振るい、影の槍や蔦の鞭を繰り出して応戦する。
激しい攻防が続く中——
「……くっ!」
徐々に、女騎士の動きが鈍り始めた。
エルゴードの魔法がかすり、身体に傷が増えていく。
「貴様の剣技は見事だが、疲労は隠せぬな。」
エルゴードが余裕の笑みを浮かべる。
(まずい……このままじゃ負ける!)
セリアは焦った。
このままでは、女騎士が倒されるのも時間の問題。
(何か、何か手はないの……!?)
そのとき。
「ゴハン!」
セリアの肩にいたグリが元気よく叫んだ。
……そこで、セリアはひらめいた。
「そうよ……あれなら!」
セリアはグリに素早く指示を出した。
「グリ! 飛び回って!」
「トビマワッテ!」
グリは勢いよく飛び立ち、エルゴードの周囲をぐるぐる旋回し始める。
「……何をしている?」
エルゴードは不審そうに眉をひそめたが、次の瞬間——。
「ピキィィィィ!!!」
耳をつんざくような大音量の鳴き声が響き渡る。
「ぐっ……!?」
エルゴードの動きが一瞬止まる。
(よし、効いてる!)
「さらに、もう一発!」
セリアは小さな火の魔法を唱え、エルゴードの足元に発射した。
ボッ!
「ぬっ……!?」
エルゴードはとっさに後ろへ飛び退く。
その瞬間。
「……もらった!!」
女騎士が一気に踏み込んだ。
「……っ!!」
剣が、エルゴードの胸を貫く。
エルゴードの顔に驚きが浮かんだ。
「が……っ……!?」
数秒後。
その体は、黒い霧となって、ゆっくりと崩れ落ちていった——。
静寂。
セリアは肩で息をしながら、女騎士を見た。
「勝った……?」
「……ああ。」
女騎士は剣を収め、静かに頷いた。
「ゴハン!」
グリが得意げに羽ばたく。
「いや、絶対お前は戦ってないでしょ!!!」
こうして、黒樹のエルゴードとの戦いは幕を閉じた。




